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エンタープライズGoogle「期待の声」と「死角」

Web検索エンジンの覇者、“ファイアウォールの内側”に挑む

(2006年06月09日)

強力な検索エンジンの魅力

 では、グーグルとベアリングポイントの強力なタッグは、本当に大手企業をひきつけることができるのだろうか。米国の健康サービス会社、IMSヘルスのCIO(最高情報責任者)、アーヴィング・タイラー氏は、「当社ではまだGSAを導入していないが、グーグルの非構造化データを取得するアプローチは気に入っている」と期待を寄せる。同社は現在、ナレッジ・マネジメントおよび検索に米国ヴィネットのECM(Enterprise Contents Management)システム「Vignette」を使用している。しかし、同製品を利用する際には、企業内のすべてのデータが中央のサーバに格納されていなければならない。

 「Vignetteでは、フォルダ構造を用いてデータを構造化して整理できるが、情報をローカルのハードディスク上に格納してから、ナレッジ・マネジメント・システムに移動させる必要がある。だが、Googleの強力な検索エンジンなら、ナビゲーションの経路を知らなくても情報を見つけることが可能になり、ユーザーの負担は大きく軽減されるはずだ」(タイラー氏)

Web検索とエンタープライズ検索の明確な違い

 このように、“シンプルさ”を貫くグーグルに対する、ユーザー企業側の期待は大きい。しかし、ベアリングポイントとグーグルのパートナーシップで、GSAが企業にすぐれたエンタープライズ検索機能を直ちにもたらすことができるかどうかについては疑問は残る。というのも、Web検索とエンタープライズ検索とでは、根本的に技術的な要件が異なるからだ。

 米国フォレスター・リサーチのシニア・アナリスト、マシュー・ブラウン氏も、この点には懐疑的な見解を示す。

 「エンタープライズ検索は、企業固有の課題をターゲットとし、企業固有のインテグレーションとカスタマイズを必要とする。グーグルがこれらに今すぐに取り組めるとは思えないし、ベアリングポイントとの協業でどこまでカバーできるのかも疑問だ」(同氏)

 ブラウン氏は、エンタープライズ検索をうまく機能させるには、拡張可能なプラットフォームを継続的に微調整し、無数のシステムやリポジトリ、ビジネス・ロジック、さまざまなメタデータと連携させる仕組みが必要になると指摘する。その際、レレバンシー(Relevancy:適切さ、関連性)に関する機能は、革新性というより、継続的な作業に該当するという。

 グーグルは、自社のWebサービスのAPIの多くを公開しているものの、Google検索エンジンの卓越したレレバンシー機能を実現する「PageRank」アルゴリズムについては、かたくなに秘密を守り通している。この伝家の宝刀が自由に使えなければ、エンタープライズ検索分野でのグーグルの影響力は、ある程度の段階でとどまってしまうかもしれない。

 ブラウン氏は、「グーグルは、Google検索エンジンのレレバンシーの肝であるPageRankアルゴリズムを重要な資産だと考えている。そのため、PageRankの内部構造を見せたり、検索関連の付加価値サービスを顧客が行ったりすることを許さない。今後もSMB市場では勢力を見せつけるだろうが、大企業相手のエンタープライズ市場には、その影響力は及ばないだろう」と指摘し、辛辣な言葉を続ける。

 「企業が、どうしても課題の核心に触れたいと思って、あらためてグーグルの機能/特徴を注視したときに、他のエンタープライズ検索ベンダーが実現できていることをグーグルは実現できていないことに気づくはずだ」

 この市場でグーグルを迎え撃つ立場にある、ノルウェーのファストサーチ&トランスファ社長、アリ・リアス氏は次のように語る。

 「Web検索からエンタープライズ検索への移行は大変難しい、と言っておこう。単なるサービスを、高度な柔軟性を備えたエンタープライズ・ソフトウェア製品へと昇華させる必要があるからだ」

 ファストは1997年、「AlltheWeb」というWeb検索ポータルによって創業した。だが、リアス氏によれば、同社が現行のエンタープライズ検索システム「Enterprise Search Platform(ESP)」を開発する際にはほとんどゼロから再構築せざるをえなかったという。

 グーグルが、実用的サービスをWeb上で提供するすぐれた能力を持っていることは疑いようがない。しかし、それだけでは不十分のようだ。

 「企業向けビジネスにおいては、正確さ、精密さ、レレバンシーが求められる。それにこたえるのは、たいへん困難なチャレンジなのだ」(リアス氏)

COLUMN 02 Enterprise Search Engine
“個人”から“組織”へと拡張されるGmailの活用領域
IDG News Service

 グーグルは、同社のWebメール・サービス「Gmail」の利用範囲を“個人”の世界から企業や大学などの“組織”の世界へと広げる新たなホスティング型電子メール・サービスの試験運用を開始した。

 Gmailプロダクト・マネジャーのステファニー・ハノン氏は、グーグルの企業ブログへの書き込み(2月10日付け)の中で、サンノゼ・シティ・カレッジ(SJCC)が約1万人の学生を対象に新しいホスティング・サービスを試験運用していることを明らかにした。

 同カレッジのドメイン名を使って、全ユーザー(約1万人の学生)のGmail電子メール・アカウントがホスティングされている。このホスティング・サービスのベータ・テストに参加したい組織は、グーグルの「Gmail for your domain(あなたのドメインでGmailを)」サイトから応募することができる。

 このサービスでは、エンドユーザーはそれぞれ2GBのメール保存容量を利用できる。また、ユーザー組織のIT部門がユーザー・アカウントを管理するためのコントロール・パネルも用意されている。

 グーグルはこれまで、Gmailをコンシューマー向けのWebメール・サービスとして提供してきたが、新サービスの開始は、同社がGmailに対してより広い活用領域を想定していることを示している。なお、Gmailは2004年4月に発表されたが、それ自体がまだベータ・テスト中である。

 グーグルはGmail以外にも、当初コンシューマー向けに提供されたサービスを、企業・組織向けに発展させた商品を提供している。

 例えば、検索アプライアンス「Google Search Appliance」のほか、検索できる最大ドキュメント数を5〜10万件に設定し、基本機能だけを搭載した低価格版の「Google Mini」(写真A)も販売している。


写真A:GSAの低価格版「Google mini」(価格:1,995〜2,995ドル)


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