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エンタープライズ検索テクノロジーの「着眼点」

企業ITインフラ上での位置づけを押さえ、導入に備えよう

(2006年09月19日)

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SOAとの親和性が高いアーキテクチャ

 企業ITインフラにおけるエンタープライズ検索の位置づけや役割を整理していくと、「企業システムに、また新しいシステムやモジュールが増えた」というよりは、明らかに既存のものとは違う、新世代のアーキテクチャをまとっている様子が見えてくる。その実態を、現在、企業コンピューティングの世界で徐々に普及しつつあるSOA(サービス指向アーキテクチャ)との関係と考え合わせながら整理してみたい。

 まず、先にも触れたように、エンタープライズ検索システムによる企業内データの統合は疎結合の手法をとる(図4)。業務アプリケーションと連携させる場合には、専用のインタフェースを追加したり、アクセス権の統合を行ったりといったある程度の準備が必要となるが、基本的にアプリケーション間のつなぎは緩いものとなる。そのため、アクセス先とアクセス権限、格納データの意味と取り扱い方法さえ理解していれば、サービス同士を容易につなげていくことが可能だ。


図4:疎結合で連携されるエンタープライズ検索システムとディレクトリ・サービス(資料:ファストサーチ&トランスファ)

 また、エンタープライズ検索システムのクローラは、適宜、ディレクトリや各種アプリケーションの最新情報を参照し、インデックス化していくため、連携を考慮して柔軟性を欠いた運用設計を行う必要もない。いわば、SOAの概念を基本的に備えたツールだと言うことができる。

 一般的な導入を行った場合、エンタープライズ検索システムのキーワード入力ボックスは、EIPやグループウェアの各ユーザー・ページなど日々利用されるサービスに追加する形で実装されることになろう。

 今日、インターネットの世界でWeb検索がすべての入り口となりつつあるように、エンタープライズ検索でも「とりあえず、ここから始める」といった起点を企業内に提供するサービスとして位置づけられる。特に、参照/検索系の機能集約を図った場合、個別アプリケーションごとに付加されている検索機能を補完する形で、他のアプリケーションもデータ参照/検索の範囲とする統合検索サービスを提供することになると予想される。

 現在、SOAの基盤を導入していこうという動きは、徐々にではあるが着実に企業・組織に広まりつつある。というのも、SOAには、複雑な連携やインタフェース作成の手間をさほどかけずに既存の資産をうまく活用できる可能性があるためだ。

 ベンダー側でも、すでに標準的な言語や技術、プロトコルをサポートしたSOAプラットフォームを提供し始めている。若干のカスタマイズは発生するものの、サービス単位でフローを設計し、異なったシステム同士を連携させる仕組みがすでに製品に実装されており、早晩、個々のアプリケーションについてもSOA対応であることが当たり前になりそうだ。

 こうしたSOAの普及は、エンタープライズ検索システムの側から見ると、社内で分散したシステムからデータを取り出しやすい環境が整ってきたということを意味する。直接APIを呼び出すようにするのか、SOAのプラットフォームでまとめられたサービス・リストを選択してつなげるようにするのかは、それぞれのベンダーによって異なろうが、膨大な数のインタフェース構築サブプロジェクト抜きで、容易に全体をまとめることのできる状況が整いつつあるのは確かだ。

データと人間をつなぐ新しいミドルウェア・サービス

 上の説明によって、エンタープライズ検索が、今後主流となっていくであろうSOAベースの企業システムとすんなり融和できるツールであることを理解していただけただろうか。ただし、厳密に言えば、企業ITインフラ全体の中でのエンタープライズ検索の位置づけは、いわゆるミドルウェア・アプリケーションではない。

 1980年代から1990年代にかけて、ベンダーの間では、それまでのハードウェアに代わってソフトウェア、なかでもアプリケーションが重視され、さらにアプリケーションの安定動作を支えるミドルウェア・アプリケーションを押さえることが市場競争力を強化するうえでのポイントとなると期待されていた。IBMがアプリケーション・サーバを核とするミドルウェア製品群「WebSphere」に注力していたのもそのためだ。

 一方、エンタープライズ検索は、純粋なミドルウェアとは異なり、さまざまなアプリケーションの抱えるデータを統合するプラットフォームの役割をも担う。

 このコンポーネントは、ユーザーのデータ利用の窓口となり、データの評価と整理を全体的にまんべんなく行うことになるわけだ。よって、ミドルウェア・アプリケーションではなく、データ/サービス主導でとらえたときに核となる基本機能を提供する新しいミドルウェア・サービスと呼べばよいだろうか(図5)。


図5:エンタープライズ検索の導入によって生じる「アーキテクチャの重心移動」

 図6にファストが提供する「ESP(Enterprise Search Platform)」の概念図を示した。これは、その名称が示すように、企業内で他のシステム/アプリケーションと統合・連携された形で動作する「エンタープライズ検索プラットフォーム」の1つの姿だと見ることができる。

 SOAの時代になり、社内のシステム連携が進めば、検索技術の必要性が増すことになるのは間違いない。そして、多数のシステムがつながり、ユーザーのアクセス範囲が拡大すれば、ユーザーが取り扱い可能なデータ量は急増する。そうなれば、前述した情報の需要と供給のギャップは、今後さらに拡大することになる。

 そうしたなかにあって、エンタープライズ検索は、システムやアプリケーションの検索機能を統合するだけでなく、情報の需要と供給のギャップを埋めるべく、ユーザーとデータの間の橋渡しをするプラットフォームとして機能することになるのである。


図6:ファストが提供するESP(Enterprise Search Platform)の概念図



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