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[米国]
グーグルのユーチューブ買収価格は適正か?

(2006年10月18日)

 米国グーグルのユーチューブ買収にアナリストらは混乱し、「あの忌まわしきドットコム時代の再来か」「まだ1セントも稼いでいない設立1年の会社に、なぜ16億5,000万ドルも払うのか」といった疑問を呈した。しかし、こうした専門家たちの意見は的外れである。彼らは、インターネット企業の価格がついにそれ相応のレベルへと低下したことに気づいていない。今や高いとは言えなくなったのだ。

 テレビ番組を例に考えてみよう。ダン・ラザーのような実績あるジャーナリストが、なぜ「48アワーズ(48 Hours)」のような番組のホストを務めたか不思議に思ったことはないだろうか。この番組では、毎週30分以上を殺人事件に費やし、視聴者は高価なコマーシャルをはさんで番組の最後の最後までつきあわされる。そして、最後に判明するのは、夫が妻を殺したのかどうかというだけ。つまるところ、人間の最悪の部分について、血なまぐさいディテール付きで聞くのが好きな連中に迎合した番組である。

 最近の例で言えば、元米国下院議員で政治トークショーのホストに転じたジョー・スカーバラ氏が、なぜ自分の番組にバーミューダの失踪少女に関するコマを長々と追加し、取り乱した両親や友人、親類に少女が生きていると思うかと延々とインタビューする理由を疑問に思ったかもしれない。

 その答えは言うまでもなく、視聴率である。残念ながら、今やWWW(World Wide Web)についても同じことが言えようになった。

 ドットコム時代、インターネット企業は次々とつぶれた。それは結局、価値のあるものを提供できなかったからだ。例えば、テン・スクウェアという会社は、全米のガソリン・スタンドに置かれた端末を使って、広告やクーポン(スターバックスの割引券など)を配信しようとした。ベンチャー・キャピタリストは、この事業にこぞって大金を投資した。彼らは、インターネット・ビジネスの起業アイデアが何であれ、いずれそのネット・サービスが、実店舗のサービスにとって代わるため、自分たちはマーケット・シェア獲得で先陣を切ることができると信じていた。

 しかし、マーケット・シェアの獲得が直接金に結びつくわけではない。やがて、10セントのコーヒー割引券のためだけに、ガソリン・スタンドを閲覧する者などだれもいないと気づく。そして、投資した金額がすべて浪費に費やされたとわかったとき、大混乱に陥った。2000年4月、その混乱はピークに達し、インターネット企業の多くが一度に消滅した。

 しかし、今の状況は、当時と大きく違っている。グーグルは、まだ収益のない新興企業に16億5,000万ドル支払うことによって、こう宣言しているのだ。

「インターネット広告のおかげで、マーケット・シェア(すなわち膨大な数のビジター)があれば、それだけで巨額の収入に変えることができる」

 1990年代には、インターネット広告の準備は整っていなかったという理由もあろう。しかし、その理由はどうあれ、グーグルがユーチューブを買収したのは、ユーチューブがビデオWebサイトへの全訪問数の約46%を押さえているからにほかならない。ユーチューブは、1日に約1億ページ・ビューを記録するWebサイトだ。その99%が時間の無駄だとして、あるいは時間の無駄でなくなるような品質のビデオがないとして、それが問題になるだろうか。まったく問題ないのである。

 グーグルとそのライバル企業は現在、熾烈なマーケット・シェア争いを演じている。これは、今となっては、マーケット・シェアの獲得そのものが成功を意味するからだ。

 今後、ビジネスの“次の目玉”は、素晴らしいテクノロジーではなく、どのオンライン・サービスが最も多くの「閲覧者」を獲得できるかになろう。その際、「コンテンツは最低の知的レベルでもいい」という状況が当たり前になるとするなら、その後も多くの二番煎じが登場し、上述したような投資家の不満を耳にすることはなくなるはずだ。

 しかし、このことは、創意に富む20代の若者がみずからの才能をふるい、われわれの生活を変えるような革新的テクノロジーを生み出すことがなくなる、ということも意味している。

(エフライム・シュワルツ/InfoWorld オンライン米国版)




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