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仮想世界への参入を図る企業が自問すべき8つのテーマ

大半の企業が優れた仮想世界戦略を立てられずにいる今こそ参入のチャンス!

(2007年10月26日)

仮想世界は、現実社会においても文字どおり“市民権”を獲得しつつあり、そこでの成功が現実社会での成功にもつながるようになってきた。だが、企業側の仮想世界に対する取り組みの現状を見ると、同世界への参加意欲はあるものの、まだその世界において明確な戦略を確立しているとは言い難い状況にある。そこで本稿では、これから仮想世界でビジネス・チャンスを見いだそうと考えている企業に対して、“参入の条件”を“8つの質問”のかたちで示すことにしたい。

ジョン・ブロドキン
Network World オンライン米国版

 米国IBMは「Second Life」に営業拠点を置き、トヨタも同じ仮想世界を通じて自社のコンセプトカー「Scion」のプロモーション活動を行っている。このほかにも、現在はまだ仮想世界に本格的に足を踏み入れてはいないものの、この世界でビジネスを展開することを検討中の企業は少なくない。

 ただし、仮想世界が新たなビジネス・チャンスをもたらすものであるということはわかっていても、そのためにきちんとした戦略を立てている企業となると、今のところ数えるほどしか存在しない。

IBMがSecond Life上に開設した「オープンソース&スタンダード・オフィス」

 消費者信頼感指数(Consumer Confidence Index)で知られる米国の民間調査機関コンファレンス・ボードは、最近の調査報告の中で、「仮想世界は新たな要素としてビジネス社会に広まりつつあるが、実際に戦略を打ち出している企業は非常に少ない」と指摘している。

 一方、米国ガートナーは、企業の仮想世界への進出によって、新たなIT関連のリスクと機密性の問題が生じていると警告している。

 また、報じられるところによると、IBMはSecond Lifeのような仮想世界での業務を担当する同社の社員に対して、差別的な行為や嫌がらせ行為、および閲覧を許可されていない人と知的財産を共有する行為を禁止しているという。同社はさらに、こうした担当者が仮想世界で使用する「アバター」(オンライン上で自分自身を表すキャラクター)にも、ビジネス上、適切な身だしなみをさせるよう、社員に通告しているともいう。

 いずれにしろ、今後、仮想世界への企業の参入が活発化することは間違いあるまい。それを見据えて、IBMとSecond Lifeの開発元であるリンデン・ラボは、先ごろ、よりビジネス・フレンドリーな仮想世界を実現するべく、オープン・スタンダード・ベースのテクノロジーと方法論の開発に着手した。

 コンファレンス・ボードのカウンシル・マネジャー、エドワード・ロシュ氏は、今回の報告の中で、企業のビジネス・マネジャーが仮想世界への参入を決める前に自問しておくべきテーマを、8つ挙げている。以下、それを紹介しておこう。

【1】仮想世界に進出する戦略上の目的は?

 ここでのカギは、ライバル企業の動向を軸に、徹底した競争分析を行うことである。企業が仮想世界に参入する目的としては、例えば、1)イーベイによるオンライン・オークション市場の独占に見られるような、先行者利益を確保するため、2)競争上の必要性にかられて、3)研究開発上の実験のため、4)24時間体制の事業運営を実現するため、などが考えられる。

【2】企業としての目的は?

 仮想世界に進出した企業の多くは、何はともあれ、自社のプレゼンスをアピールしたいと考えるだろう。プレゼンスを確立すれば、広告や仮想コマース、顧客サービスやコラボレーションなどを行う際にも、仮想世界を利用できるようになるからだ。

【3】仮想製品を提供する計画は?

 仮想世界への進出は、企業がこれまで手がけてきた製品やサービスについて、一から考え直すチャンスでもある。仮想世界を通じて既存製品の販売促進を手がけるのもいいだろうし、あるいはまったく新しい「仮想製品」を開発するのもいいだろう。最近は、エンターテインメント、アバター向けの衣服およびエフェクト、仮想財産のレンタルといった仮想製品/サービスの販売・提供事業が仮想世界において急成長を遂げている。

【4】責任者をだれにする?

 英国のロイター通信の場合、Second Lifeに支局を設け、支局長を置いている。仮想世界に進出したからといって、仮想世界部門や担当副社長を設置する企業はほとんどないだろうが、プロジェクトを率いる責任者を置く必要はある。その場合、責任をゆだねるのは、部門間に設置した委員会でもいいだろうし、セールス/マーケティング・チームや企業サイトを運営しているグループに任せるのもいいだろう。

【5】進出するのはどの仮想世界?

 最も人気の高い仮想世界を選ぶというのであれば、ほとんどの企業がSecond Lifeを選択することになろう。それではもの足りないという場合には、複数の仮想世界に同時に進出するという手もある。あるいは、公共性が高い空間がいいのか、それともプライベートを重んじる空間がいいのかといったことによってや、通貨を使うかどうかといったルールの違いによっても、選ぶ仮想世界は異なってくることになる。

【6】コストはどれくらい見込んでおけばいいのか?

 支出として必要になるのは、デザインおよび機能要件、構築とメンテナンス、ホスティング、システム統合などの費用だ。

【7】支出を何でまかなうか?

 現段階で、仮想世界に投じた資金をビジネス上で回収するのは非常に難しい。しかしながら、支出を正当化する方法はいくらでもあるものだ。例えば、広告、セールス/マーケティング、顧客/市場調査、あるいは研究開発の予算などとして組み込むことができるだろう。また、仮想世界は社内研修にも利用できる(費用は人事の予算として計上できる)。新製品やサービスを仮想世界で販売する場合には、仮想世界を製造/プロビジョニング費用の一環として計上することを検討するとよいだろう。

【8】IT部門は仮想世界への進出に積極的か?

 IT部門は変化を嫌う傾向が強い。ところが、仮想世界への進出は、彼らに人員不足、セキュリティ対策、製造データベースとの連携といった課題を押しつけることになる。ロシェ氏は報告の中で、「最終的に、IT部門はこの取り組みの責任の一端を負うことになるだろう」とし、「とにかく予算を組んでうまくかわすことだ」と提言している。

(Computerworld.jp)




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