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【解説】
MicrosoftのYahoo!買収が及ぼす米国株式市場への影響

「巧妙な取り引き」と好感も、景気後退の懸念拡大に揺らぐ投資家の信頼

(2008年02月04日)

インターネット業界の低調な決算発表がIT投資家を懸念させた先週は、2月1日に報じられた米国Microsoftの米国Yahoo!買収提案をもって波乱のうちに幕を閉じた。本稿では、アナリストらのコメントを基に、今後のナスダック市場の展望を占ってみたい。

Mark Ferranti
IDG News Service ニューヨーク支局

 インターネット大手の米国Google、Yahoo!、ならびに米国Amazonほか多数のIT系大手企業は先週、2007年第4四半期の売上高を発表し、今後の数四半期については軒並み控え目な見通しを示した(関連記事)。

 MicrosoftのCEO、スティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏が1月31日にYahoo!の取締役会に宛てた提案書は2月1日の朝(現地時間)に公になり、株価にも直ちに影響が及んだ。Microsoftの提案額は446億ドルと、Yahoo!の31日の終値に対し、62%上乗せするものだった。結果、Yahoo!株は時間外取引で急騰し、終値は9ドル20セント高の28ドル38セントと、47.97%も上昇した。

 大多数のアナリストは、この買収提案がGoogleに悪影響を及ぼす可能性は短期的にはないとしたが、Google株は先週、48ドル40セント安の515ドル90セントの終値で引けた。一方、Microsoft株は、2ドル15セント安の30ドル45セントの終値をつけた。

 米国Citigroupのアナリスト、マーク・マヘイニー(Mark Mahaney)氏は調査ノートで、Microsoftによる買収が実現しなかった場合に想定されるYahoo!の売上高と株価の変動を考慮すると、Microsoftの提示額は妥当で「巧妙な取り引き」と分析している。

 
■ITベンダーを苦しめる米国経済の下振れ懸念

 低調な“決算報告週間”は、この買収提案をもって締めくくられた。大手ITベンダー各社の2007年第4四半期決算は全般的に堅調であったが、Googleや米国VMwareなど主要企業の売上高はアナリスト予測を下回った。

 多くのアナリストが景気後退を予測する現下の米国の経済情勢では、市場観測筋は悪いニュースに飛びつく。

 Yahoo!の同四半期の売上高は増加したものの、利益は前年同期の2億6,900万ドルから2億600万ドルに減少した。1月30日に開かれた業績説明会では、同社CEOのジェリー・ヤン(Jerry Yang)氏が約1,000人の従業員をレイオフすると発表し、米国経済の下振れ懸念が経営の逆風になっていると述べた。

 アナリストらは、Yahoo!が昨年発表した検索エンジン広告システム「Panama」が、期待どおりの効果を生み出していないことを懸念している。なかには「Yahoo!の投資予想はあいまいで、検索市場においてもGoogleに地歩を奪われ続けているもようだ」と指摘する声もある。

 米国Citigroup Global Marketsが先ごろ実施したエクイティ・ファイナンス調査では、Yahoo!の評価は「buy(買い)」から「hold(中立)」に下げられた。しかしMicrosoftの買収提案が公表されると、Citigroupはこれを「現在進行中の問題を修正する適切な動きだ」と評価した。

 Googleは1月31日に48億3,000万ドル(前年同期比51%増)の四半期売上高を計上したが、一部の項目を除く1株当たり利益は4ドル43セントと、アナリストのコンセンサス予測である4ドル44セントをわずかに下回った。大抵の企業にとってはこれほど堅調な成長は大いに満足すべきものだが、市場はGoogleがあらゆる予想を大幅に上回り続けることに慣れてしまっている。

 市場観測筋の多くは、Googleが予測を下回ったのは景気低迷の兆候ととらえている。消費者が支出を切り詰めた場合、広告をクリックする欲求の低下にGoogleは直面するだろう。投資家は同社が検索売上げに依存し続けていることを懸念している。この問題は投資家にとって、MicrosoftとYahoo!が合併した場合に予想される競争よりも大きな懸念事項かもしれない。

 
■市場の乱高下に備えるIT投資家

 インターネット業界に不安感が漂うなか、歓迎すべき明るいニュースもあった。1月30日に行われたAmazon.comの業績発表だ。2007年第4四半期の同社の売上高は56.7億ドルと前年同期比42%増を記録し、利益は倍以上の2億700万ドルに上った。また、同年度の売上高営業利益率の見込みは予想を下回ったものの、売上げ見込みは予想を上回った。

 またAmazonは翌31日に、オーディオブック・コンテンツ・プロバイダーの米国Audibleを買収すると発表し注目を集めた。この買収はAmazonがオーディオ・ブックや雑誌、ラジオ番組の市場においてライバルの米国Appleと戦ううえでプラスになると目されている。なお、Amazon株は同日、3ドル49セント高の77ドル70セントの終値をつけたが、2月1日には徐々に値を戻した。

 インターネット分野以外では、米国Lenovo、ドイツのSAP、米国Verizon、台湾のTSMCなど、さまざまな分野の企業が堅調な第4四半期決算を発表した(ただしSAPはBusiness Objectsの買収に伴い、売上げ増も純利益は減少した)。しかしながら、このように経済が不安定な時期の常として、VMwareの期待外れの四半期決算と弱含みの予測が大きく注目されることとなった(関連記事)。

 VMwareが1月28日に発表した2007年第4四半期の売上高は4億1,250万ドルで、アナリスト予測の4億1,740万ドルを下回り、同社の株価は34%下落した。2007年12月のセンセーショナルなIPO(新規株式公開)以来、同社への期待が高まっていただけに、売上高が予測を下回ったことで(利益倍増を達成したにもかかわらず)投資家から不安視された形だ。

 金融グループ大手の米国UBSは調査ノートの中で、VMwareの2008年の展望について、新規顧客の獲得数が減少する可能性を示唆している。このコメントはおそらく的を射ている。大手企業の大多数のCIO(最高情報責任者)はサーバ仮想化を自明の戦術的行動と考えており、すでに仮想化技術を実装済みという企業が増えつつあるからだ。

 2月1日の市場の取引終了までに、MicrosoftのYahoo!買収提案の興奮はハイテク銘柄中心のナスダックの総合株価指数をプラスに転じさせる力となった。同指数は23.50ポイント高の2,413.36をつけた。しかし、米国経済全体が不確実性に覆われるなか、IT投資家は今後数四半期の乱高下に備えているもようだ。

(Computerworld.jp)




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