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[e・Gov]電子行政/電子政策

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【連載】
韓国の電子自治体事情

第3回 u-Koreaのネットワークを支える「IPv6」

(2006年04月21日)

われわれの生活をユビキタス社会(Ubiquitous Society)へと導くための中核技術の1つとしてIPv6(Internet protocol Version 6)技術がある。u-Koreaのインフラとなるホーム・ネットワークにおいてIPv6はきわめて重要な役割を担う。実際に韓国ではホーム・ネットワーク対応のユビキタス・マンションの販売が始まったほかDMB(Digital Multimedia Broadcasting)放送サービスもスタートした。少しずつだが、ユビキタス社会の到来を実感できるようになってきている。

高 選圭
韓国 中央選挙管理委員会 選挙研修院 教授
情報科学博士

 韓国では今、衛星を介してテレビ放送を視聴できるDMBサービスに対応する携帯電話機(店頭価格は5万円弱)が関係者の予想を大きく超えて売れている。また、ホーム・ネットワークが整備されたいわゆるユビキタス・マンションの販売も本格化している。

 ユビキタス・マンションのテレビCMでは、携帯電話を利用して、ガス器具、洗濯機、冷暖房、電気炊飯器を操作し、IPv6とRFID(Radio Frequency Identification)を利用した冷蔵庫の管理などが実現できるとうたっている。このユビキタス・マンションは、ソウル市のほか地方都市でも建築が進められており、ホーム・セキュリティの充実とあいまって人気を博しているという。

IPアドレスなどの不足事態がIPv6を韓国で急速に広める一因に

 このように、市民レベルでユビキタス社会が実感できるようになったのは、ホーム・ネットワークの整備にIPv6が用いられたからでもあるが、根本的にIPアドレスが不足していたことが根底にあった。韓国では国民の70%、すなわち3千万人以上がインターネットを利用している。

 しかし、2004年当時で韓国が保有していた IPv4基盤のIPアドレスは3,150万個でしかなかった。u-Korea時代に必要な基盤ネットワークには、無線インターネット通信や情報家電を含めて、2005年には6,000万個、2010年には2億個以上が必要になると予測されていた。

 そこで韓国政府は、u-Koreaの基盤ネットワーク構築のため、2003年9月に「IPv6普及・促進計画」を策定し、産官学の研究者と責任者で構成する「IPv6戦略協議会」を発足させた。ここで協議が積み重ねられ、2004年4月には「IPv6普及・促進基本計画」を確定した。

 同計画には、IPv6をBcN(Broadband convergence Network)、 ホーム・ネットワーク、Telematics(移動体通信システムにリアルタイムに情報サービスを提供する)に適用することなどが盛り込まれている。

 IPv6の基本推進戦略としては、まず公共部門の通信網から IPv6の導入を推進し、民間部門への普及を促進するとしている。そのため、既存の「KOREN」という基幹研究網を活用して、IPv6をテストするKOREA v6を構築し、事前にIPv6の装備とサービスを検証する。

 また、アプリケーションの開発を促進するため、ホーム・ネットワーク、次世代移動通信事業、WLANインターネット、無線携帯インターネットWiBro(Wireless Broadband)、Telematicsなどとの連携も進めながら、2010年には韓国全土をカバーするAll-IPv6網を構築する計画である。

ユビキタス・キャンパスの構築などIPv6は具体的な運用段階へ

 u-Koreaでは、2010年までに計画されているAll-IPv6網の構築に向け、3つの段階を経ることが想定されている(ちなみに、現在はその第2段階に入っている)

 まず第1段階(2003〜2004年)は、アクセス網と端末機にIPv4/IPv6 Dual Stack(デュアル・スタック)を適用する。Dual StackとはIPv4とIPv6とを共存させるための技術である。次の第2段階(2005〜2006年)では、Dual Stackの導入を継続しつつ、商用サービスの導入を進める。最後の第3段階(2007〜2010年)では、IPv6のみに対応するアクセス網の整備と端末機の普及に向け、ネットワーク設備の交換を行う計画となっている。

 そのほか、u-KoreaではIPv6の応用サービスの開発と普及のため、VoIP、P2Pサービス、Telematics、電子政府サービスなど、IPv6のメリットを活用したアプリケーションの開発を支援する。

 すでに、ホーム・ネットワークの整備やFTTHモデル事業との連携を通じて、IPv6基盤のデジタル・ホーム・サービスが実施されている。また、電子政府関連では、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)、モバイルIPv6、USN(Ubiquitous Sensor Network)、GIS(地理情報システム)などの連携を図りながら、IPv6基盤のTelematics応用技術を開発し、ユビキタス政府サービスを実現する計画である。

 教育機関の取り組みとしては、まず2005年1月28日、龍仁地域大学(Song-dam college)でユビキタス・キャンパスがスタートし、u-Campus教育システムの運用が始まった。同大学の学生は、携帯・PDAなどの個人端末機を英会話の授業ツールに利用したり、講義の予約や出欠確認を行ったりしている。また大学からは、周辺の産業界が必要とする教育内容を発信しており、人材の養成にも力を入れている。2006年からは、技術系の高校にも同システムを拡大していく計画である。

 IPv6は、韓国政府が推進している「IT839戦略」においても中核となる基盤技術である。そのため、韓国の情報化政策を取り仕切る情報通信部に所属する韓国電算院が、2004年7月からIPv6のモデル事業を実施している。モデル事業のサービス分野は、家庭、学校、医療機関などの多岐にわたっており、IPv6網への参加機関は当初の70から113機関に増加している。

(月刊e・Gov 2005年4月号より)

<著者プロフィール>

高 選圭(ゴ・ソンギュ)

1966年生まれ。2000年東北大学大学院修了、情報科学博士。韓国世宗研究所研究委員、檀国大学講師、ソウル市市策電子政府研究所 首席研究員兼企画部長を経て、韓国中央選挙管理委員会選挙研修院 教授。国際大学GLOCOMフェロー、ハイパーネットワーク社会研究所共同研究員。著書は「日本の電子政府・電子投票」「日本の電子政府推進と個人情報保護」「韓国の電子政府構築と市民満足度」ほか多数。



韓国の電子自治体事情
第1回 u-Koreaの社会経済的基盤と推進段階
第2回 u-Koreaの中核を担う「USN」と「BcN」
第3回 u-Koreaのネットワークを支える「IPv6」
第4回 ホーム・ネットワークとユビキタス都市(u-City)
第5回 u-Koreaの未来像──ITに基づく新しい知能基盤福祉社会とその課題
第6回 ソウル特別市 江南区──世界一の電子自治体・電子民主主義を目指す
第7回 ソウル特別市 地方税インターネット納付システム──生活密着型電子自治体の構築
第8回 釜山広域市 道路掘削インターネット申請システム──市民中心のデジタル先端都市へ
第9回 全羅南道 順天市 サイバー教育システム
第10回 慶尚北道 音声支援情報システム──韓国一の教育都市を目指す
第11回 ソウル特別市 端草区──GIS地域情報検索システム「生活ネット」
第12回 サイバー観光文化情報システム(三多館)──済州道 済州(チェジュ)島
第13回 慶尚南道 晋州(チンジュ)市 モバイル電子自治体の構築
第14回 韓国の事例から見えてくる電子自治体の今後の課題

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