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[e・Gov]電子行政/電子政策

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【連載】
韓国の電子自治体事情

第4回 ホーム・ネットワークとユビキタス都市(u-City)

(2006年05月13日)

韓国政府が、ユビキタス社会の実現に向けてIPv6(Internet Protocol Version 6)技術とともに力を入れているのがホーム・ネットワーク(Home Network)の構築である。すでに、韓国では家庭内の電子機器をコントロールするサービスも始まっており地方自治体が取り組むu-Cityなどとの連携を深めながら本格的なユビキタス社会へと着実に向かいつつあるようだ。

高 選圭
韓国 中央選挙管理委員会 選挙研修院 教授
情報科学博士

韓国政府のホーム・ネットワーク構築戦略

 ホーム・ネットワークとは、次世代移動体通信や超高速インターネットなどの有・無線ネットワークを基盤に、家庭内のAVデータ通信および情報家電機器をネットワークで相互につなげることにより、機器や時間、場所に関係なく多様なサービスを利用可能にする新しい通信環境と位置づけられている。

 ホーム・ネットワークは、デジタルTVや知能型ロボット、次世代移動体通信、デジタル・コンテンツなどとの緊密な連携によって、新しい需要を呼び起こすとともに、付加価値の高いサービスの創出に結び付くと期待されている。

 韓国政府は、ホーム・ネットワークの技術開発、標準化、モデル事業の実施を支援し、関連産業を育成することで、世界最高水準のホーム・ネットワーク国家になることを目指している。2003年7月には「デジタル・ホーム基本計画」が策定されており、ホーム・ネットワーク産業育成の重要性が強く認識されている。韓国政府は、基本計画の策定後、法・制度整備、関連企業への融資などを積極的に進めている。

 ホーム・ネットワーク産業の活性化には、通信、放送、情報家電および関連サービスの相互接続性の確保が絶対条件である。そのため、韓国政府は通信、放送、建設、情報家電などの関連企業の積極的な参加を促している。そして、ホーム・ネットワーク・サービスの開発、および多様な機器とサービスとの相互接続性の課題を解決するため、2003年から4年間の計画で、ホーム・ネットワークのモデル事業を展開している。

50以上のサービスを提供中懸念される安全性にも配慮

 ホーム・ネットワークの構築戦略では、その土台作りとして、2003年から2004年まで、インフラ整備とともに商用化可能な技術を活用したホーム・ネットワークの普及に取り組んできた。そして、2005年から2007年までの第2段階では、BcN(Broadband Convergence Network:ブロードバンド統合網)、IPv6、ユビキタス・ネットワーク(Ubiquitous Network)関連の技術とサービスを開発・提供する計画となっている。

 現在、コリア・テレコム(韓国のNTT)とSKテレコム(移動体通信トップ)を中心とする83の企業が参加して、ソウル特別市を中心とした首都圏、釜山、大丘、大田、光州市の約1,300世帯に向けて50以上のサービスが提供されている。順調に進めば、2007年までに韓国全世帯の61%、1,000万世帯に普及するとする予測もある。

 便利になる一方で、利用者の安全性を懸念する声もあったことから、セキュリティ認証技術の標準化が進められ、ホーム・ネットワークで利用する内部機器やアクセス権限などは、すべて家庭で個別に設定できるように規定された。また、個人情報の保護にも努めている。

 コリア・テレコムが提供しているホーム・ネットワーク・サービス「ホームエヌ」の利用料は、当初は日本円で月額1,600円であったが、普及が進んだ結果、1,100円への値下げが予定されている。同時に、家庭の照明器具をコントロールできる「ホームエヌ・マネジャー」サービスも開始される予定だ。

 電子政府関連としては、行政自治省が携帯電話とデジタル・テレビを利用して、いつ、どこからでも電子政府サービス上で申請が可能なユビキタス政府(u-Gov)事業の構築を進めている。ソウル市江南区では、u-Gov事業として、デジタル・テレビを利用したu-Govサービスを提供する。また、建設交通省はRFIDおよびUSNを利用した国家地理情報システム(NGIS)を推進している。

自治体によるu-Cityの建設で雇用の創出など大きな経済効果が

 ユビキタス社会の実現に向けた取り組みは、ユビキタス都市(u-City)の建設によっても進められている。u-Cityの建設は、ユビキタス技術を活用し、u-行政、u-文化、u-福祉、u-環境、u-流通などを実現することで、より便利で安全な生活を実現する試みである。韓国の地方自治団体は、u-Cityの建設に積極的に取り組んでいる。

 具体的には、韓国第3の都市で港湾都市でもある仁川(インチョン)広域市の松島(ソンド)地区で進められている「ユビキタス松島計画」、ソウル市江南(カンナン)区の「Ubiquitous Intelligent都市事業」、済州(チェジュ)島の「Telematicsデストベッド(自動車に搭載する情報通信技術の実証実験)事業」などがある。

 中でも、北東アジアのビジネス中心都市を目指して、ソウル市が上岩洞(サンアムドン)に2002年から建設中のデジタル・メディア・シティ(DMC)では、国内外の企業や研究機関の誘致を進めている。そして、その中心を走るデジタル・メディア・ストリート(DMS)の建設も本格的に始まっている。DMCプロジェクトが完了する2010年には、雇用創出効果が16万人、生産誘発効果が日本円で8,500億円、付加価値の誘発効果が同じく5,300億円に達すると予測されている。

 すでに、u-Cityの建設を目指す自治体で構成される「ユビキタス都市(u-City)推進協議会」も発足しており、静かで(calm)、知能的で(intelligent)、都市民のニーズに合う(tailored)、生産的(yield)なユビキタス都市の実現に向けた取り組みが本格化している。

u-Koreaは、すでに暮らしの中にも浸透しつつある。写真は、安養(アニャン)市がユビキタス・ネットワークを基盤に導入したバス交通情報システム。バス停に設置されたモニターには路線別の到着時間が表示されている。同様のシステムはソウル市にも導入される。

(月刊e・Gov 2005年5月号より)

<著者プロフィール>

高 選圭(ゴ・ソンギュ)

1966年生まれ。2000年東北大学大学院修了、情報科学博士。韓国世宗研究所研究委員、檀国大学講師、ソウル市市策電子政府研究所 首席研究員兼企画部長を経て、韓国中央選挙管理委員会選挙研修院 教授。国際大学GLOCOMフェロー、ハイパーネットワーク社会研究所共同研究員。著書は「日本の電子政府・電子投票」「日本の電子政府推進と個人情報保護」「韓国の電子政府構築と市民満足度」ほか多数。



韓国の電子自治体事情
第1回 u-Koreaの社会経済的基盤と推進段階
第2回 u-Koreaの中核を担う「USN」と「BcN」
第3回 u-Koreaのネットワークを支える「IPv6」
第4回 ホーム・ネットワークとユビキタス都市(u-City)
第5回 u-Koreaの未来像──ITに基づく新しい知能基盤福祉社会とその課題
第6回 ソウル特別市 江南区──世界一の電子自治体・電子民主主義を目指す
第7回 ソウル特別市 地方税インターネット納付システム──生活密着型電子自治体の構築
第8回 釜山広域市 道路掘削インターネット申請システム──市民中心のデジタル先端都市へ
第9回 全羅南道 順天市 サイバー教育システム
第10回 慶尚北道 音声支援情報システム──韓国一の教育都市を目指す
第11回 ソウル特別市 端草区──GIS地域情報検索システム「生活ネット」
第12回 サイバー観光文化情報システム(三多館)──済州道 済州(チェジュ)島
第13回 慶尚南道 晋州(チンジュ)市 モバイル電子自治体の構築
第14回 韓国の事例から見えてくる電子自治体の今後の課題

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