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[e・Gov]電子行政/電子政策
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【連載】
韓国の電子自治体事情
第6回 ソウル特別市 江南区──世界一の電子自治体・電子民主主義を目指す
(2006年06月09日)
電子政府の進度が高いことで知られる韓国。住民生活に直結する自治体でも数多くの取り組みが行われている。同じ地方自治体の事例を見ていくことで日本の自治体にも参考になることがあるはずだ。
高 選圭
韓国 中央選挙管理委員会 選挙研修院 教授
情報科学博士
あらゆるサービスを電子化する
ソウル特別市の25自治区の1つである江南区は、「世界一の電子自治体・電子民主主義の構築」を目指している。実際に取り組みが始まったのは1995年からと早く、1997年10月には江南区のホームページから、さまざまな住民サービスの提供が始まった。
2000年には、「Cyber City Smart江南」計画が実行に移され、江南区ポータル・サイトの構築、電子申請などを含め、61に及ぶ情報化関連の事業がスタート。翌2001年には、統合データベースや電子文書管理システムの構築とともに、江南区の総合情報化計画である「STARプロジェクト」が開始され、2002年7月に第1段階が完了した。
現在は、「Cyber City Smart江南」の第2段階に入っており、これまでに51の内部行政業務処理システム、59のインターネット・サービス・システムを合わせて110の電子自治体システムの構築・整備を終えている。
江南区役所 電算情報課の金龍雲チーム長によると、1995年からの10年間で約500億ウォン(日本円で約5,300億円)という膨大な予算を費やしたが、そのかいあって区の職員数は約2,000人から約1,300人へと大幅に削減されたという。
このように、江南区役所が電子自治体に積極的な背景には、行政の業務改革、住民の参加、行政業務の民間へのアウトソーシング、政策決定過程の公開のほか、インセンティブを通じた職員の自発的な参加を推進してきたことがある。
| 江南区内に設置されている24時間対応の無人証明書発行機(KIOSK)。本人確認は、住民登録証と指紋確認で行われる |
U-Serviceと証明書の電子交付
2004年12月からは、ユビキタス自治体サービス(U-Service)の提供も始まった。これまで同区の電子申請は、インターネットに接続されたパソコンのみに対応していたが、U-Serviceでは、PDAや携帯電話など、さまざまな情報通信機器から申請が可能となり、その証明書や結果を個人のプリンター、電子メール、ファクスなどで受信、出力することができる。
現在、電子申請と電子的交付が可能なサービスは、地籍図謄本、土地利用計画確認願、個別公示地価確認願、一般建築物台帳、健康診断結果書、健康診断書、予防接種確認書など11種類の書類と証明書である。
証明書類はKIOSKでも発行
江南区は、土地、建築・住宅、税務行政の情報化と関連データベースの統合が実現したことから、24時間対応する無人証明書発行機(KIOSK)でも証明書の発行を中心に、さまざまな住民サービスを提供している。
このKIOSKから交付される証明書は、土地(林野)台帳、建築物台帳、土地利用計画確認願、個別公示地価確認書、住民登録謄本・抄本、納税証明書、自動車登録証明書、国民基礎生活受給者証明、兵籍証明書などだ。KIOSKは、地下鉄駅の18個所、コンビニの7個所を含め、官公庁、金融機関、医療機関、デパート内に合計61台が稼働している。
KIOSKを利用する際の本人確認は、住民登録証と指紋確認で行われる。韓国では、住民登録証を作る時に親指の指紋を登録しており、これを本人確認の手段として利用する。現在、本人確認が必要な17種類の証明書類は、このKIOSKで交付している。
電子申請、電子的交付、そしてKIOSKの利用状況は、1日平均約1,500件、月平均(25日)では約3万7,000件に上り総交付件数の25%(2003年末の統計)にとどまっているが、江南区はこれを50%とするためのシステム整備に取り組んでいる。
電子民主主義の新たな試み
電子民主主義の試みも活発だ。江南区では、公式サイト内に「サイバー住民自治」を設けている。ここでは、電子メールアドレスを登録している27万の住民を対象に、政策提言や討論、リアルタイム住民会議の場が提供されており、インターネット住民投票なども実施されている。
具体的に見ていこう。まず、区民の政策提言や討論のシステムは、直接、住民が政策を提言することが可能で、それらの政策提言に対して住民同士で討論が行われる。提言と討論の結果はすべて公開されており、住民の賛成が多数を占める政策提言は、区政に反映できる仕組みだ。
このシステムは2001年9月から開始されたが、これまでに950件以上の政策提言と討論が行われ、住民からの政策提言もインターネット住民投票によって22件採択された。これにより、住民の行政参加の意識向上につながると同時に、政策決定に至る透明性、民主性が確保され、行政に対する住民の満足度が高まっている。
<著者プロフィール>
高 選圭(ゴ・ソンギュ)
1966年生まれ。2000年東北大学大学院修了、情報科学博士。韓国世宗研究所研究委員、檀国大学講師、ソウル市市策電子政府研究所 首席研究員兼企画部長を経て、韓国中央選挙管理委員会選挙研修院 教授。国際大学GLOCOMフェロー、ハイパーネットワーク社会研究所共同研究員。著書は「日本の電子政府・電子投票」「日本の電子政府推進と個人情報保護」「韓国の電子政府構築と市民満足度」ほか多数。
- 韓国の電子自治体事情
- 第1回 u-Koreaの社会経済的基盤と推進段階
- 第2回 u-Koreaの中核を担う「USN」と「BcN」
- 第3回 u-Koreaのネットワークを支える「IPv6」
- 第4回 ホーム・ネットワークとユビキタス都市(u-City)
- 第5回 u-Koreaの未来像──ITに基づく新しい知能基盤福祉社会とその課題
- 第6回 ソウル特別市 江南区──世界一の電子自治体・電子民主主義を目指す
- 第7回 ソウル特別市 地方税インターネット納付システム──生活密着型電子自治体の構築
- 第8回 釜山広域市 道路掘削インターネット申請システム──市民中心のデジタル先端都市へ
- 第9回 全羅南道 順天市 サイバー教育システム
- 第10回 慶尚北道 音声支援情報システム──韓国一の教育都市を目指す
- 第11回 ソウル特別市 端草区──GIS地域情報検索システム「生活ネット」
- 第12回 サイバー観光文化情報システム(三多館)──済州道 済州(チェジュ)島
- 第13回 慶尚南道 晋州(チンジュ)市 モバイル電子自治体の構築
- 第14回 韓国の事例から見えてくる電子自治体の今後の課題




