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[米国]
連邦上院委員会が「ネット中立化法案」を否決──賛成反対同数で混迷続く

(2006年06月29日)

 米国連邦議会上院の商業科学運輸委員会は6月28日、ブロードバンド・プロバイダーに対し、自社やパートナーと同じスピードとサービス品質を競合他社にも提供するよう義務づける法案を賛成反対同数で否決した。

 上院商業科学運輸委員会の採決は、賛成と反対が11対11の同数だった。このため、広範な内容のブロードバンド法案が上院本会議にかけられる際に、ネット中立化修正条項が付け加えられることはなくなった。

 ネット中立化修正案は、オリンピア・スノー上院議員(メーン州選出、共和党)とバイロン・ドーガン上院議員(ノースダコタ州選出、民主党)が提案していたもので、インターネット・ベースの事業を展開している企業が送信したコンテンツのタイプに基づき、AT&Tやコムキャストなどのブロードバンド・プロバイダーが追加料金を課す行為を禁じる内容になっていた。

 一方、ロン・ワイデン上院議員(オレゴン州選出、民主党)は28日午後(米国時間)、ネットの中立化を強く求める条項が入っていないという理由で、ブロードバンド法案の賛否を保留すると表明した。

 同氏は、賛否を保留することで、上院での法案審議の開始に反対する意向を示したものと受け止められている。上院の幹部がワイデン議員の翻意を促すことができなかった場合、賛否の保留から審議拒否へと態度を硬化させる可能性もある。

 上院本会議場に姿を現したワイデン議員は、「ブロードバンド・プロバイダーが勝手なことをやり始めたら、高速通信を利用するのに今よりも高い料金を支払わなければならないだけでなく、現在無料で利用しているもの、すなわちWWW(World Wide Web)上にある全サイトへの自由なアクセスにも料金を払わなければならなくなる。これは、差別以外の何物でもない」と語った。

 商業科学運輸委員会の共和党議員は、スノー議員の修正案について、インターネットに新たな規制を持ち込むことになると批判している。共和党議員の中で、同修正案に賛成しているのはスノー議員だけだ。

 同委員会の委員長を務めるテッド・スティーブンス上院議員(アラスカ州選出、共和党)は、ネット中立化法を推進している電子商取引企業について、ブロードバンド・プロバイダーが構築したネットワークを使ってマルチメディア・コンテンツを提供し、収益を上げようとする「極悪」企業だと非難した。

 「インターネットにあらゆる資源を投入する意志があると主張しているこれらの人々は、自分たちでネットワークを構築するべきだろう」(同氏)

 委員会が修正案を否決したことにより、ネット中立化法を巡る審議は、今年いっぱい停止する可能性が高い。6月初め、米国議会下院は、独自のブロードバンド法案を可決したが、ネット中立化修正条項は269対152で否決されている。

 ネット中立化法を推進している人々は、ブロードバンド法案が上院本会議に送られる際に、引き続き同法の制定を求めていくとしている。ネット中立化法の支持者には、消費者団体のほか、グーグル、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトなどが名を連ねている。

 スノー議員は、ネット中立化法がなければ、大手ブロードバンド・キャリアが、自社やビジネス・パートナー以外の企業向けに低速ネットワークを用意し、競合他社から送られてくるWebコンテンツをブロックしたり、サービス品質を低下させたりする可能性があると主張している。

 AT&Tとベルサウスの幹部は、一部競合企業のWebコンテンツを優先的に配信する場合に、追加料金を請求するビジネス・プランを打ち出している。これらのブロードバンド・プロバイダーは、次世代ブロードバンド・ネットワークをロールアウトするための費用をまかなうため、新しいビジネス・プランが必要になっていると主張する。

 スノー議員は、大手ブロードバンド企業が、追加料金を支払うことのできない規模の小さな先進企業を排除することにつながるとし、こうした主張に反対している。

 メディアの多様性促進に向け活動を展開している団体フリー・プレスの政策ディレクター、ベン・スコット氏によると、消費者団体は、スノー議員の修正案が委員会で否決されたことを批判しながらも、賛成と反対が同数だったことから、この問題に関する議論が活発化することを期待しているという。

 消費者の権利擁護を掲げるパブリック・ナレッジのギジ・ソーン会長は、「上院商業委員会は、インターネット・コンテンツの管理を電気通信会社やケーブル会社に引き渡した。同委員会は、これまでのインターネットの歴史の中で、これらの企業が持つことのできなかったもの、すなわちネット上でやり取りされるものを管理するための手段を譲り渡してしまった」と語っている。

 一方ベライゾン・コミュニケーションズは、委員会がブロードバンド法案を承認したことに賛辞を送っている。同法案には、電気通信プロバイダーがケーブルテレビ会社と競合するテレビ番組サービスをIPベースで提供する際に、地域事業権の取得を義務づけている規制の緩和が盛り込まれている。

 なお、商業科学運輸委員会は、ジョージ・アレン上院議員(バージニア州選出、共和党)が提出した修正案も承認した。この修正案は、アクセス税などインターネットのみに適用される税金の課税猶予措置を永続的に延長するというもの。

 インターネット税の課税猶予措置は、1998年以降何度も延長されており、2007年末に再度期限切れを迎える。猶予措置の永続的な延長については、地方自治体にとって不利になると主張している議員グループが上院本会議で反対に回る可能性もある。

(グラント・グロス/IDG News Service ワシントン支局)




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