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[e・Gov]電子行政/電子政策

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【連載】
韓国の電子自治体事情

第12回 サイバー観光文化情報システム(三多館)──済州道 済州(チェジュ)島

(2006年08月25日)

 電子自治体の構築にともなった情報インフラの整備とサービス内容は地域の事情によってかなり異なる。韓国一の観光地である済州島では島の歴史と観光資源を情報化するシステムを構築し地域の競争力向上に一役買っている。

高 選圭
韓国 中央選挙管理委員会 選挙研修院 教授
情報科学博士

ユビキタス都市を目指す済州島

 最近の情報化において新しいパラダイムとなっているユビキタス社会への進展は、地方自治体にも競争的にユビキタス自治体とユビキタス都市構築へのきっかけを提供し、地方社会・都市基盤の環境整備に大きく貢献している。

 こうした状況の中で、韓国南部の済州道に属する人口約53万人の島、済州(チェジュ)島では現在、自動車に搭載される情報通信技術の実証実験であるTelematics(テレマティクス)テストベッド事業などを進めている。

 済州地域では、これらテレマティクス産業を発展させると同時に、u-Jeju(ユビキタス済州)の基盤整備と次世代移動通信の中心都市を構築するためのさまざまな政策を進めている。済州島が2004年から進めているテレマティクス都市構築では、2005年7月に各種サービスの提供を開始し、今後は観光、流通産業などとの連携も図られる予定であり、年間で1,000億ウォン(日本円で約114億円)以上の経済的な効果をもたらすと予測されている。

 u-Jejuの基盤整備は、実にさまざまな分野で進められている。まず、島の全72町村地域に町村情報センターを構築した。これらは、地域住民に対する情報と文化空間の提供とともに、将来の知識情報化社会で主役となる農村地域の子供たちに対する情報教育と学習空間を提供するのが目的だ。同時に、島内222の地域コミュニティに対し、ホームページの構築と地域特産物の電子商取引の実施を支援している。

 この事業は、観光情報の発信はもちろん、現在、都会で生活している済州島出身者への情報提供、そして電子商取引によって済州島の特産物を世界中に提供することにあり、地域の活性化につながっている。

電子行政もまずは地域特性に準じて

 ご存じのように、済州島は韓国の最南端に位置し、周辺を海に囲まれた地域だが韓国一の観光地でもある。電子自治体の構築で実現している電子申請・交付サービスも、その対応項目は地域の特性に準じたものが多い。

 例えば、漁業開始申告・漁船建造許可・変更申請・観光旅客運輸事業開始届・建設業登録申請書交付などはすべて電子的に行われている。また、行政関連許認可の申請の際、透明性を確保するために行政手続きのプロセスをすべて公開している。

 中でも、住民と行政間の柔軟なコミュニケーションを実現するべく、ホームページ上で「(住民同士の)政策討論」および「知事へのメール」コーナーを充実させている。政策討論は地域の懸案や問題に対する住民の意見を積極的に行政に反映させる目的で運営されており、一方の知事へのメールでは、道政の最高責任者に住民が意見を直接伝達することができる。

 また、この地域は台風による自然災害が多い場所でもある。そこで、災害に対応する緊急救助情報システムを整備し、さまざまな災害・行政情報と生活関連情報を提供している。

 こうした一連の取り組みは、住民満足度を高めるためだけでなく、他の地域との差別化を図る試みとして続けられている。

「知事へのメール」コーナー。済州道政の最高責任者に住民は意見を直接伝達することができ、道でもそれらの意見に対して責任ある対応を目指している

島の特性を前面に出す観光システム

 済州島における電子自治体の構築事業の中で、最も優れたものとされているのが、「済州島サイバー観光文化情報システムhttp://www.jejusamda.com/」である。同システムは、この地域が風・石・女性(海女)に特徴があることから、別名「三多館(samda museum)」とも言われている。

 済州島は火山島であり、過去の噴火による大小の石が各地に点在し、更に、1年を通して風が強いことから農作物の栽培には適さない地域である。こうしたことから、漁業が主な産業となるが、男たちは漁業中に遭難することがあるため、女性が海女として生計をたてる場合も多かった。

 前述のとおり済州島は韓国一の観光地であり、日本の高知県と同緯度に位置しているため、韓国のハワイと呼ばれるほど1年を通して気温は暖かく、新婚旅行先としても人気が高い。済州島サイバー観光文化情報システムは、このような地域の歴史と現在の観光資源を情報化するために構築されたものだ。同システムのホームページは、石の文化館・風館・女性館で構成されており、済州島の観光地を案内する体験コーナーもある。

 また、済州島の観光資源である石・風・海女の文化が3Dを中心とした最新の映像・画像技術で構築されており、地域の歴史・文化を情報コンテンツ化することによって、地域情報の発信と観光産業の活性化に大きく寄与している。同システムのサイトには1日平均で約1万5,000件のアクセスがあり、地域の学生にも学習コンテンツとして人気が高いという。

済州島サイバー観光文化情報システム内の三多館(samda museum)のトップ画面。島に関するさまざまな歴史を知ることができる

(月刊e・Gov 2006年1月号より)

<著者プロフィール>

高 選圭(ゴ・ソンギュ)

1966年生まれ。2000年東北大学大学院修了、情報科学博士。韓国世宗研究所研究委員、檀国大学講師、ソウル市市策電子政府研究所 首席研究員兼企画部長を経て、韓国中央選挙管理委員会選挙研修院 教授。国際大学GLOCOMフェロー、ハイパーネットワーク社会研究所共同研究員。著書は「日本の電子政府・電子投票」「日本の電子政府推進と個人情報保護」「韓国の電子政府構築と市民満足度」ほか多数。



韓国の電子自治体事情
第1回 u-Koreaの社会経済的基盤と推進段階
第2回 u-Koreaの中核を担う「USN」と「BcN」
第3回 u-Koreaのネットワークを支える「IPv6」
第4回 ホーム・ネットワークとユビキタス都市(u-City)
第5回 u-Koreaの未来像──ITに基づく新しい知能基盤福祉社会とその課題
第6回 ソウル特別市 江南区──世界一の電子自治体・電子民主主義を目指す
第7回 ソウル特別市 地方税インターネット納付システム──生活密着型電子自治体の構築
第8回 釜山広域市 道路掘削インターネット申請システム──市民中心のデジタル先端都市へ
第9回 全羅南道 順天市 サイバー教育システム
第10回 慶尚北道 音声支援情報システム──韓国一の教育都市を目指す
第11回 ソウル特別市 端草区──GIS地域情報検索システム「生活ネット」
第12回 サイバー観光文化情報システム(三多館)──済州道 済州(チェジュ)島
第13回 慶尚南道 晋州(チンジュ)市 モバイル電子自治体の構築
第14回 韓国の事例から見えてくる電子自治体の今後の課題

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