【 ここから本文 】

グリッド・コンピューティング

ソーシャルブックマークに登録 : Yahoo!ブックマークに登録 はてなブックマークに登録 del.icio.usに登録 newsing it!に登録 Buzzurlにブックマーク livedoorクリップに登録 Slashdotにタレコむ イザ!ブックマークに登録 Twitterでつぶやく
print 印刷用ページの表示


[米国]
【GridWorld報告】「グリッドのビジネス活用はなぜ進まないのか?」

(2006年09月15日)

 米国ワシントンD.C.で開催されている「GridWorld」コンファレンス(9月11〜15日)では、グリッド技術のビジネス利用に関するパネルディスカッションが行われた。討論に参加したベンダーの幹部からは、グリッド技術は科学技術分野だけでなく、企業でも採用され始めているが、ビジネス利用の課題も数多く残されているという認識が示された。

IBMのグリッド・コンピューティング担当副社長、ケン・キング氏

 IBMのグリッド・コンピューティング担当副社長、ケン・キング氏は、グリッド技術は、企業が利用するすべてのアプリケーションに適しているわけではないと認めつつも、企業コンピューティングのメインストリームになりつつあることは確かだと強調した。

 「私は、『メインストリーム』という言葉を、企業の中核データセンターで基幹アプリケーションに利用され、収益を生みだすビジネスに大きく貢献しているという意味で使っている。実際、グリッドはこうした役割を果たす動きが見られるようになってきている」(キング氏)

 また、EMCのチーフ・テクノロジスト、ダン・ハション氏は、実際にグリッド・コンピューティングの利用を拡大しようとして壁に突き当たった企業も少なくないと指摘する。「グリッドは当初の予定どおりには活用されないことが多い。そのために、全社的な導入が進まず、期待された投資効果(ROI)を得られないケースもある」(同氏)

 IBMのキング氏は、グリッドの普及を阻害するもう1つの要因として、IT部門の意識の低さを挙げた。同氏は、「グリッド・プロジェクトを行う際には、IT部門はビジネス部門に主導権を委ねる必要があるが、構築費用をIT予算でまかなわなければならないうえに、セキュリティの問題にも責任を持たなければならないという認識が、普及の足を引っ張っている」と語る。

 「このようにグリッド・プロジェクトを特別視する認識は改めなければならない。グリッドの導入も過去の新技術の導入も、何ら変わるものではない」(キング氏)

サン・マイクロシステムズのエンジニアリング担当副社長、ジム・パーキンソン氏

 サン・マイクロシステムズのエンジニアリング担当副社長、ジム・パーキンソン氏は、企業がグリッド技術に振り回され、アプリケーションごとに別々のグリッドを構築しているケースもあると指摘した。

 「われわれはユーザー企業に、リソースの共有方法や、リソースを汎用化して多くのアプリケーションで利用する方法を啓蒙していかなくてはならない」(パーキンソン氏)

 一方、他の新技術の多くとは異なり、グリッド・コンピューティングの利点に関しては、ビジネス部門の幹部が最初に理解することが多いとパーキンソン氏は語った。「ビジネス部門がグリッド・コンピューティングに着眼し、IT部門に導入を求めるという流れが見られる」

 IBMのキング氏も同意見だ。「グリッドはビジネス部門とその業務プロセスに非常に近い位置にある技術だ。グリッドはアプリケーションの仮想化にかかわるからだ」

 だが、このことが普及の障害になる可能性もある。グリッドを活用するには、アプリケーション・ポリシーの記述など、グリッド固有のタスクに対応したスキルを充実させる必要があるが、IT部門がそれに抵抗を示す場合がある、とパネリストらは警告する。

 また、グリッド対応アプリケーションの開発ツールが不足していることも、普及の障害となっていると、サンのパーキンソン氏は語った。

 「この分野は速やかな成熟化が求められる。現状では、スキル上の理由やツール上の理由から、グリッド対応アプリケーションの作成は敷居が高い。アプリケーションが充実すれば、グリッドはもっと広く利用されるようになる」(パーキンソン氏)

 IBMのキング氏はさらにこう付け加えている。「5〜10年後には、グリッドはメインストリームに一段と近づくことだろう。対応アプリケーションが増え、コア技術がOSとミドルウェアに組み込まれ、プロビジョニングやレジストレーションといったグリッド・コンピューティングの特徴的な機能が主流の製品で提供されるようになるはずだ」

「GridWorld」
http://www.gridworld.com/

(カーラ・ギャレットソン/Network World オンライン米国版)




関連記事

▲ページの先頭へ戻る


特別対談

グリッドのビジネス活用

その現在、そして未来を展望する

グリッドによるサービス・イノベーション

日本IBM首脳と問題学・構想学の権威がグリッドを語る

グリッド基礎講座

グリッド入門【前編】

グリッドの要素技術を知る

グリッド入門【後編】

グリッドの標準化動向とビジネスへの適用

ビジネス活用

グリッドの経営価値【前編】

“内部統制”と“リスク管理”のためのIT基盤

グリッドの経営価値【後編】

データセンターとグリッド

キャッチ・アップ

「ビジネス・グリッドの進展には、標準の確立が欠かせない」

イーベイ研究開発幹部

【GridWorld報告】「グリッドのビジネス活用はなぜ進まないのか?」

課題はROI/セキュリティ/IT部門の意識/活用手法?

国立情報学研、研究開発を支援するオープンソースのグリッド・ソフトを公開

研究機関でのリソースの相互連携に向け

Cellプロセッサが見据えるCPUテクノロジーの未来

ゲーム機にとどまらない、リアルタイム分散コンピューティングの可能性

事例研究

ワコビア銀行、グローバル・グリッド・システムを構築

米国と英国に分散した約1万のCPUを有効活用

トレンド・フォーカス

アルゴンヌ国立研究所、グリッド研究を支援するオープンソースのツールキットを公開
遠隔地のデータをリアルタイムに共有
2大グリッド推進団体の合併が完了、新団体「OGF」が誕生
「EGA」と「OGF」が組織を統合
10万台のPCを接続したグローバル・グリッド、1GB/秒の転送速度を達成
欧州素粒子物理学研究所の宇宙研究ネットワークで
ニューヨーク州で災害時データ復旧用グリッドの開発がスタート
中小企業のストレージ・バックアップを支援
企業グリッドの開発・普及推進でIBM、サン、HP、インテルが結集
オープンソース開発プロジェクトの支援に向け

Weekly Ranking

集計期間:01/02〜01/08


トピック一覧

ニュース特集

セキュリティ

ソフトウェア&サービス

経営/業務改革

ITマネジメント

データ・マネジメント

プラットフォーム

IT基盤技術

ハードウェア

ネットワーキング

トレンド

IT業界動向


Computerworld Global
米国
英国
中国
ドイツ
オーストラリア
シンガポール
その他の国