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グリッド・コンピューティング

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グリッドの経営価値【前編】

“内部統制”と“リスク管理”のためのIT基盤

(2007年04月27日)

グリッドによる
内部統制機能のSaaS化

 グリッドには、柔軟なかたちで復旧やバックアップのためのITインフラが構築できるというメリットもある。

 例えば、サンはかねてから、「Sun Grid Compute Utility」と呼ばれるユーティリティ・コンピューティングのサービスを提供しているが、この種のソリューションを活用すれば、経営に影響を及ぶようなITリソースを柔軟に確保したり、災害復旧のためのIT基盤の機能をグリッド・サービスとして用いることが可能になる(Sun Grid Compute Utilityのサービスは、今年5月1日から日本での提供もされている)。

 ちなみに、サンでは現在、グリッド技術を応用した仮想データセンターのプロジェクトも「プロジェクト・ブラックボックス」という呼称の下で推進している。

 このプロジェクトは、“可搬型の無人データセンター”を実現し、グリッド化する試みである。具体的には、サーバやストレージ、ネットワーク、電源装置などをトラックで搬送できるコンテナ(トレーラーハウス)に集積し、統合化し、グリッドの1つの定義でもある「資源を仮想化して、統合し、必要に応じて、仮想コンピュータ(Virtual Computer)を動的に形成するインフラ」を実現しようというのが、このプロジェクトの骨子なのである。

 同プロジェクトについて、小名木氏は以下の説明を加える。

 「プロジェクト・ブラックボックスは、“どこでもグリッド”の実現を可能にする取り組みだが、それこそが、究極の内部統制やITガバナンス、さらにはリスク管理を実現するものと言えるかもしれない」

 確かに、データセンター(グリッド)が移動可能で、どこからでもITサービスを供給できるとなれば、ユーザー企業は、事業継続のための仕組みを柔軟に、かつ容易に構築できるようになるだろう。また、プロジェクト・ブラックボックスのデータセンターでは、グリッドのサービスとして、必要なITリソースやITの機能が提供される。

 「これにより、IT資産保全のためのリスクが低減されるほか、ITシステムに対する監視やアクセス管理に必要とされる人的リソースも最小化される。結果として、人的な操作ミスやルール違反といったリスクを排除することも可能になる」と、小名木氏は言う。

 また、グリッドによるIT基盤のユーティリティ化は、SaaS(Software as a Service)モデルのさらなる発展をもたらし、それが、法規制やポリシーに則ったデータ管理のサービスや、業務プロセスの統制機能を持ったアプリケーション・サービスの登場へとつながる可能性もある。

 そうした可能性について、ネットワーク・アプライアンスの阿部氏は、「例えば、今日のSaaSベンダーは、SaaSモデルの中でさまざまな業務アプリケーションの機能を提供しているが、それに内部統制の機能を盛り込みつつ、IT基盤の部分については、外部のユーティリティ・サービスを活用するといったモデルが考えられる」と述べ、以下のような見解を付け加える。

 「このようなモデルを採用したSaaSベンダーは、IT基盤の維持・運用管理にかかる手間を大幅に削減することができるほか、サービス利用者の増減に応じて、IT基盤のコストを柔軟に調整することが可能になる。結果として、高機能なサービスが低コストで提供されるようになり、資金力のあまりない中堅・中小規模の企業でも、内部統制のためのIT環境を手軽に手に入れることが可能になるはずだ。そうなれば、利用者とSaaSベンダーの双方にとって大きなプラスとなる」

 いずれにせよ、先に小名木氏が語ったように、今日の企業では、人の経験や判断、および倫理性だけを頼りに、事業の安全性や継続性、モラリティ、およびコンプライアンス性を維持していくのが困難になりつつある。

 となれば、経営リスクを最小化するための機能や業務手順の多くを、ITに肩代わりさせる、もしくは、ITの仕組みとして実装する必要性が必ず生じる。IT基盤のグリッド化、そしてユーティリティ化は、そのような時代のニーズ/要求を満たす解決策として、大きな可能性を秘めていると言えるのである。

(Computerworld.jp)


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