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グリッド・コンピューティング

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グリッドの経営価値【後編】

データセンターとグリッド

(2007年05月16日)

本シリーズでは、今日の企業が直面する経営課題やIT上の課題を、グリッド化されたIT基盤がどう解決しうるのかを、前後編の2回に分けてお届けしている。その後編である本稿では、データセンターへのグリッドの技術の適用によって、いかなるメリットが創出されるかについて検証することにしたい。

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災害復旧の基盤構築で求められるもの

 データセンター(ないしは、その運用)を巡る課題はいくつかある。なかでも大きな課題の1つは、災害復旧(ディザスタ・リカバリ)の仕組みをどう整えるかであろう。

 言うまでもなく、日本は地震大国である。今年(2007年)だけでも、3月25日に能登半島が、また4月15日には三重県中部が、立て続けに震度5の強い揺れに襲われた。

 そんな国土の中で、ビジネスを支えるIT基盤の継続性を確保するには、データセンターを日本の各所(場合によっては、世界の各所)に分散させ、広い地域にまたがるバックアップと復旧の仕組みを整えなければならない。しかも、データセンターを機能不全に陥らせるのは震災ばかりではない。火災、水害、停電、ひいてはサイバー・テロに至るまで、データセンターの継続運用を脅かす“敵”は数多く存在する。

 もっとも、災害復旧や事業継続のために、同じような構成のデータセンターを2つ以上保持するとなれば、ITリソースやネットワーク基盤に対する投資がかさみ、システム運用・管理面での負担も増す。もちろん、金銭的、および人的なリソースに余裕がある大企業であれば、そうした負担も苦にはならないだろう。

 しかし、大半の企業は、災害復旧のためのIT基盤作りに、それほど多くの投資を行うことはできない。また、規模の大小にかかわらず、あらゆる企業にとって、ITの投資対効果を高めることは1つの経営課題ともなっているのだ。

 そこで求められるのが、ITリソース全体の使用効率を高め、かつ、管理・運用面での負担を減らすためのソリューションとなる。

実証実験が示すグリッドの価値

 結論から先に言えば、グリッドの技術は、上述したようなソリューションをかたち作るうえで、きわめて有効なテクノロジーだ。

 それを端的に示す一例として、日本の大手自動車メーカー、マツダにおけるビジネス・グリッドの実証実験が挙げられる。

NECの加藤雅之氏(システムソフトウェア事業本部 第一システムソフトウェア事業部 グリッド推進センター シニアマネージャー)

 この実験は、経済産業省が(2003年度〜2005年度にかけて)主導した「ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクト」の一環として行われたものだ。システムの設計・構築には、同プロジェクトを通じてNEC、日立製作所、富士通などが共同で開発したビジネス・グリッド・ミドルウェア(同ミドルウェアについては、本稿末の囲み記事を併せて参照されたい)が用いられている。

 この実証実験では、いくつかの目標が定められたが、その1つは、ITリソースの使用効率(投資対効果)の向上と、災害復旧を含む業務システムの信頼性・継続性の確保という2つの課題を一挙に解決することである。

 この目標の下、2つの地域に分散するデータセンター(マツダ本社のデータセンターと災害復旧用のバックアップ・センター)のITリソースが、ビジネス・グリッド・ミドルウェアによって仮想的に統合化され、両センターにまたがる業務(処理)の分散配置と、専用の待機リソースを持たない災害復旧の仕組みが実現された。

 また、ビジネス・グリッド・ミドルウェアの機能を通じ、業務(システム)の定義情報に基づく“最適なサーバの選択”やプロビジョニングが自動的に実行される仕組みが整えられたほか、2つのデータセンターにおける運用の一元化と簡素化も具現化されている。

 具体的には、ローカルとリモートの両サイト(データセンター)における、日々のデータ・バックアップ/レプリケーション、さらには、災害時のシステム復旧といった運用業務を、統一的で簡便な操作環境の下で一括して行える仕組みが実現されたのである。

 「このシステムの場合、ユーザーは、どこのITリソースで何が動作しているかを知る必要はなく、あくまでも“業務(の遂行)”という観点から、システムの構築・起動・復旧といった操作が行える。例えば、リモート・サイトのシステムを復旧させる場合でも、GUI画面上で、対象業務の復旧にかかわる簡単な操作を行うだけで、必要な処理が実行されるのだ。これは、災害復旧のインフラ構築、および運用の簡素化という命題に対して、グリッドの技術がいかに有用なソリューションを提供しうるかを示す好例だろう」と、NECのグリッド推進センターでシニアマネージャーを務める加藤雅之氏(システムソフトウェア事業本部 第一システムソフトウェア事業部)は言う。


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