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【解説】
Google Street Viewの「日本の風景」が投じた波紋

技術進化とプライバシー保護のはざまでわき起こった論争から、地図情報サービスの将来を考える

(2008年09月19日)

ブログ界で大きくなっていった批判の声

写真1:2008年5月にパリで目撃されたGoogleの撮影車両。世界各国で目撃された“仕様車”とほぼ一致する(ただし車種は各国で異なっているようだ)

 Street Viewに対するこうした批判の声は、ブログの世界でも大きくなっていった。

 例えば、産業技術総合研究所の高木浩光氏は、自身のブログ「高木浩光@自宅の日記」で、Street Viewの撮影位置が地面から約2.5メートルの高さであり、このためブロック塀や生け垣越しに家の中が丸見えになってしまっているケースが多数出ていることを指摘した。

 Googleは具体的にどのような方法でStreet Viewの撮影を行っているのかを明らかにしていない。だが撮影している様子を目撃した人の証言などから、ある程度は判明している。それらの情報によれば、撮影に使われているのはトヨタのハイブリッド車「プリウス」で、車体にはGoogleのロゴ・マークが入っている。この車の屋根に金属製の支柱(50センチ強)を垂直に立て、支柱の先に360度撮影可能なパノラマ・カメラを取り付けているようだ(写真1、写真2)。

 このような“仕様”にしたのは、車体が写真に写り込まないためではないかと推測される。しかしこの結果、カメラの目線が人間よりもずっと高い位置になってしまい、民家の塀などを通り越して、“見えてはいけないもの”まで写真に写り込んでしまうことになった。

写真2:支柱の先に搭載された360度撮影可能なパノラマ・カメラ。同社は同時に3Dレーザー・スキャナを使用し、建物などのモデリング・データも収集している

 またIT企業役員の樋口理氏は、自身のブログ「higuchi.com」で、「Google の中の人への手紙 [日本のストリートビューが気持ち悪いと思うワケ]」という題名のエントリーを書いた。この中で樋口氏は、「自宅のプライベート空間とパブリックな空間の境目は、所有権的にも精神的にも公道と私有地の間にある」と思うが、日本では路地のような家の前の生活道路が自分の生活空間の一部(庭先)になっていると指摘。Street Viewはそうしたプライベートな生活空間を撮影しており、無礼であると批判した。

 このエントリーは大きな反響を巻き起こし、ソーシャル・ブックマークの「はてなブックマーク」では、700ユーザーものブックマークが付けられた。「日本って公道から見えるところで布団を干したり色々したりしてるからねぇ」、「感情的に『気持ち悪い』としか言えないことをよく筋道立てて説明してると思う。(グーグルが)文化の違いってのを理解できてないことになるのかな」といった賛同が多く寄せられた。一方、「いつの時代も技術の進歩と共に人間の考え方も変化してきた。あなたは現在の技術の進歩に考え方の変化が追いつけない人間」、「気持ち悪いという感覚はわからないでもないが、『日本人は』という論調に非常に違和感がある」などの反論も少なくなかった。

 またこの記事は、著名なブログ「アンカテ」を書いているアルファブロガーのessa氏によって英語に翻訳され、英語圏のニュース・サイトである「Global Voices」に転載された。この記事に対する海外からの反響は、essa氏が「ストリートビュー批判の『Googleの中の人への手紙』の海外での反響」という記事で紹介している。

 ここでの反応も日本国内と同じで、賛同と反論が相半ばした。

 例えば、「日本のブロガーによる興味深い観点だ。(中略)私自身はStreet Viewの熱烈なファンだけど、このサービスに対する文化的な面からの観察と異議申し立てには非常に魅了された」といった賛同の一方で、米国の著名なブロガーであるロバート・スコーブル(Robert Scoble)氏は、「(樋口氏の主張は)ちょっとおかしい。日本人のツアーが米国に来ると、彼らは何でもビデオに撮るじゃないか。今起こっていることは、われわれのテクノロジーが、すべてのことに関してわれわれの信念を試しているのだと思う。これまでツアー客がストリートを撮影するのはオーケーだった。Googleが同じことを自動的に行うと全然違う話になってしまう。どうしてそういう理屈になるのか興味があるね」と反論している。


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