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【解説】
Google Street Viewの「日本の風景」が投じた波紋

技術進化とプライバシー保護のはざまでわき起こった論争から、地図情報サービスの将来を考える

(2008年09月19日)

Street Viewだけではない、高度な地理情報サービス

 実際、Street Viewのようなサービスは、さまざまな企業でも取り組みが始まっている。例えば移動体通信事業者のウィルコムは、2009年に投入する次世代PHSネットワークに合わせて、全国16万の基地局にカメラや気象センサーなどを設置していくプロジェクトを発表している。このプロジェクトによってどのようなサービスを提供するのかはまだ決定しておらず、今年8月に設置されたBWAユビキタスネットワーク研究会を軸として、今後検討が行われるという。

 現時点で提供される可能性があるサービスとして挙げられているのは、渋滞中継や事故現場確認といった公共サービス。あるいは監視カメラとして、セキュリティ・ビジネスへの応用。また、二酸化炭素や窒素酸化物のセンサーを設置して、公害情報や気象情報をよりきめ細かく行ったり、農業支援を行ったりという使い方も浮上している。

 「全国16万カ所にカメラを設置するプロジェクト」と聞けば、多くの人が「気持ち悪い」と感じるだろう。だがこうしたプロジェクトは同時に、上記のようなサービスを通じて、さまざまな利便性をもたらすことも、まちがいない事実である。

 Googleのライバルである米国Yahoo!も、高度な地理情報サービスを積極的に展開している。

 Yahoo!は先ごろ、「Fire Eagle」というサービスを正式にリリースした。これは位置情報プラットフォームとでも呼ぶべきサービスで、同プラットフォームを使うことによって、ユーザーの位置情報を一元管理することが可能になる。現在、Fire Eagleには無線LANから位置を特定できる測位システムの「Navizon」や、携帯電話で撮影した写真に位置情報を付加できる「ZoneTag」、特定の場所でコンテンツを共有できる「Loki」などのサービスが参加しており、Fire EagleのAPI(Application Programming Interface)が利用できるようになっている。

 例えばNavizonで自分の居場所を特定すると、そのデータはNavizonからFire Eagleを経由してZoneTagやLokiなどに送信され、ユーザーの位置データが各サービスで自動更新される。これによりユーザーは、サービスごとにいちいち自分の居場所を入力する必要がないわけだ。この位置データはFire Eagleを経由すれば、PCやスマートフォン(iPhoneも含む)、ネット対応のカーナビなど、さまざまなデバイスで共有することもできる。

 ユーザーの位置データは、Fire Eagleのプラットフォームによってセキュアに管理される。そのため、位置情報が個人情報とひもづけられたかたちで複数の企業のサービスに分散してしまう心配がない。このセキュリティに対する姿勢はプライバシー侵害の懸念を払拭することにもなり、地理情報サービスの展開を視野に入れている企業に注目されているという。

 また、日本のヤフーも新しい地理情報サービスへのトライアルを始めた。同社は8月、「LatLongLab」という実験サイトを公開している。これはもともと地図製作・販売会社のアルプス社が準備していたものだが、今年4月に同社がヤフーと合併したため、ヤフーの名前でリリースされることになった。LatLongは、英語のLatitude(緯度)Longitude(経度)のことで、緯度経度のような地理情報を使った新サービスを提供しようという意味が込められている。


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