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ITIL

【連載】
エンタープライズ・オープンソース[ベスト・セレクション]

第2回 ネットワーク

(2008年03月19日)

もともとコミュニティ・ベースで開発が進められてきたオープンソース・ソフトウェアだが、今や多くの有力ベンダーがサポートし、企業が安心して利用できる環境が整っている。もちろん、OS、Webサーバ、メール・サーバなど、一部の分野では以前から企業利用が進んでいたが、最近は多様な分野において「エンタープライズ・オープンソース」が本格化しているのだ。本連載では、そうしたエンタープライズ・オープンソース・ソフトウェアを8分野に分け、各分野において特にすぐれたものを紹介していく。第2回目となる本稿では、ネットワーク分野における秀逸なソフトを取り上げる。

Tom Bowers/Paul Venezia/Tom Yager
InfoWorld米国版


ネットワーク
AsteriskはもはやVoIPの“顔”。AppleはOpen Directoryでオープンソースでも健闘

 ネットワーク分野で今、最も注目されている技術は、おそらくVoIP(Voice over IP)だろう。オープンソースはVoIPの分野でも躍進しており、企業利用にも徐々に広がりつつある。コストや柔軟性を考えると、遅かれ早かれ大企業にもオープンソースVoIPが浸透していくことになるだろう。

VoIPに加えストリーミングがネットワーク分野での注目株

 VoIP分野のBOSSIE(Best of Open Source Software Awards)は、文句なしに「Asterisk」に決まった。もちろんAsterisk以外にも、「OpenPBX」や「FreeSwitch」といったすぐれたオープンソースVoIPソフトは存在する。しかし、Asteriskはその中でも飛び抜けて完成度が高く、拡張性にもすぐれている。確かに複雑すぎるようにも見えるが、設定範囲が非常に幅広いおかげで、他のソフトや機器との併用も容易に行える。

 注目度の点では、ストリーミング・メディアも負けてはいない。この分野のBOSSIEは、「Azureus Vuze」に決まった(画面1)。Azureusは、「BitTorrent」によるP2Pファイル転送ネットワークのクライアント・ソフトであり、バージョン3.0でストリーミング・メディアの世界に足を踏み入れた。


画面1:「Azureus Vuze」の画面。共有コンテンツは断片化され、多くのユーザー経由で送られてくる

 Azureus Vuzeは、一般的なストリーミング・メディアとは異なり、BitTorrentネットワークにおける多対多のコンテンツ配信を行う。その大きな特徴は、ダウンロードのスピードがネットワークの帯域幅だけではなく、同一のコンテンツをすでに持っているユーザーの数などでも決まるということだ。具体的には、ユーザーがコンテンツの最初の断片を再生しているときに、Azureus Vuzeが、その他の断片をコンテンツ共有コミュニティ内のユーザーから収集し、バックグラウンドで順番どおりに並べ替えるという手法だ。

 このようなBitTorrentのすぐれた技術を取り入れたAzureus Vuzeは、次世代のストリーミング技術と呼ぶのにふさわしいものであろう。

オープンソースの世界でAppleの名声を高めた「Open Directory」

 オープンソース・ディレクトリ・サービスのBOSSIEには、Appleの「Open Directory」を選出した。ディレクトリ・サーバの構成例を挙げると、LDAPv3、Kerberos、BerkeleyDB、Zeroconf、ポリシー・ベースのパスワード・サービス、シングル・サインオンといったものが含まれる。Open Directoryは、このセットと同等のものを単体で実現するのだ。

 Mac OS Xに組み込まれたディレクトリ・サービスのキー・コンポーネントは、Open Directoryのパーツとして提供されている。なお、OpenDirectoryそのものは、Appleのオープンソース・プロジェクトであるDarwinの一部である。

 DarwinのOpen Directoryプロジェクトは、Mac OS Xのディレクトリ・サービス全体を包含するものではないが、Open Directoryサーバ、プラグイン、クライアントAPI、そしてユーティリティは、導入後すぐに利用でき、ドキュメントの完成度も高い。Open Directoryの投入により、Appleはオープンソースの世界においてより大きな名声を得たと言える。

分析・探知の分野では機能性の高さが決め手に

 ネットワーク・プロトコル分析の分野では、「Wireshark(旧Ethereal)」をBOSSIEに選んだ(画面2)。Wiresharkは高価な市販ネットワーク分析ツールが備える機能のいくつかを欠いてはいるが、それでもきわめて機能的なソフトウェアだ。


画面2:「Wireshark」の画面。キャプチャしたTCPプロトコル・パケットが一覧表示されている

 Wiresharkでは、幅広い分析が可能で、トラフィック・スレッドの解析も手軽に行える。市販ツールの多くがパケット解析エンジンとしてWiresharkを採用していることからも、その出来のよさが理解できよう。

 ネットワーク上で実行していれば、トラフィックの状況を理解するのに役立ち、データをクリアかつ正確に示してくれる。もし、自動診断機能やトラブル・シューティング機能までもが備わっていたとしたら、不満を口にするユーザーの数はゼロだったかもしれない。

 ワイヤレス・ネットワーク探知ソフトウェアの分野では、まだ新参者と呼べる「Kismet」をBOSSIEとした。KismetはIEEE 802.11a/b/gのいずれにも対応し、ビーコンを発しないネットワークの探知も可能であるなど、機能性は抜群だ。

 この分野の古参である「NetStumbler」では、ネットワークの探知にアクティブなアプローチ(アクティブ・スキャニング機能など)が用いられる。一方、Kismetではパッシブなアプローチによって、ネットワーク探知のためのパケット収集が行われる。そのどちらもすぐれたソフトであることはまちがいないが、Kismetには、より大きなコミュニティのサポートを得ることができるという、技術面での強力なバックボーンがある。



エンタープライズ・オープンソース[ベスト・セレクション]
第1回 業務アプリケーション
第2回 ネットワーク
第3回 プラットフォーム/ミドルウェア
第4回 セキュリティ
第5回 モニタリング
第6回 ストレージ管理
第7回 開発言語
第8回 開発ツール

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