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ITIL/運用管理

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【解説】
ITIL適用の真実──いかに着手し、実践するか

ベスト・プラクティスを自社で活用するためのポイントを探る

(2008年05月07日)

プロセスの組み合わせは自由
まずは“小さく”スタート

 ITILの導入にはさまざまな作業が伴うが、最も改善が必要なものから段階的に進めていけば、それほど難しいものではない。

 バージニア州センタービルにある民間の自動車調査機構CARFAXが最初に着手したのは、ITILのキャパシティ・プランニングの領域だった。同社のシニア・アナリスト、ロバート・スティンネット(Robert Stinnett)氏がITIL採用に向けて取り組み始めたのは、2004年にCARFAXがBMC Softwareのエンタープライズ・ジョブ・スケジューリング・ソフトウェア「Control-M」を購入したときからだった。なお、BMCはITIL関連の教育サービスを提供しており、Stinnett氏と彼の同僚らは、そのいくつかのコースを受講していた。

 CARFAXにとってITIL導入の最初のステップは、ITのプロセスとワークフローのダイアグラムを作成することだった。「壁一面を使って、クレジットカード・プロセスや自動車履歴リポートのフローチャートを描き、ディーラーのログインやサーバどうしのやり取りなど、さまざまなプロセスを個別のサービスに分解していった」とStinnett氏。

 またCARFAXは、IT資産およびプロセス上を流れるデータの中央リポジトリとして、BMCの構成管理データベース(CMDB)「Atrium」を購入した。CMDBはITILのコア・コンポーネントだ。

 CARFAXでは、ハードウェアやネットワークのコンフィギュレーション情報と、各システムがデータをやり取りする業務アプリケーションおよびデータベースの物理ロケーション情報をCMDBに手作業で移植した。これによりCMDBは、CARFAXのIT環境全体のハードウェア、ソフトウェア、および統合リンクのインベントリ、ディスクリプションを包括する構成管理の中核となった。

 その作業が完了するまでには1年ほど要した。「われわれは古いドキュメントを読み返し、各部署にどのようなサーバやソフトウェアがあり、どのようなサービスを提供しているかを問い合わせた」とStinnett氏。

 同社はBMCのサービス・モデリング・エディタ「Service Impact Manager」(画面1)を利用して、ワークフロー・ダイアグラムをAtrium CMDBへ入力し、プロセスやトランザクションがどのようにアプリケーション間を移動するかを視覚化すると同時に、ITリソースに変更が生じた際のビジネスへの影響をリアルタイムに把握できるようにした。これにより、データベースの中の情報更新も容易になったという。


画面1:「BMC Service Impact Manager」は、ビジネスとITインフラの関係性をCMDBを基に分析し、システム障害がビジネスに与える影響範囲を動的に可視化することができる

 CMDBやサービス・モデリング・ツールを実装したことで、CARFAXは「手作業によるIT業務を、過去2年間で約400%削減することができた」(Stinnett氏)という。例えば、特定のシステムのアップグレード計画が他のシステムに及ぼす影響を自動的に確認、調整できるようになったため、CARFAXのITスタッフは、これまでのように何時間もかけてアップグレードの影響を分析したり、アップグレード後のトラブルシューティングに煩わされたりすることがなくなった。「これにより、システム変更管理やキャパシティ・プランニングの精度が向上した」とStinnett氏は強調する。

 ITILの各種プロセスについて、同氏は、「いずれも必要に応じて自由に組み立てることができる。ITILには厳格な、あるいは融通の利かないルールなどない」と考えている。

ITサービスの成熟度を測り
プロセスの優先順位を決める

 イリノイ州ノースブルックの生命保険会社Allstate Insuranceでは、2002年からITILの採用に取り組んでいる。それは一部のITスタッフがIT部門の上層部に対してITIL関連のトレーニングを受けたいと要望したことからスタートした。現在、同社はITILを全面的に導入し、すでに数百人のITスタッフがトレーニングを受けている。

 ITILの実装化にあたって、AllstateのIT部門は、さまざまなプロセスの成熟度を測る基準を設定し、優先順位を決めていった。ITオペレーションを評価する基準としては、多くの企業がCCM(能力成熟度モデル)などの参照モデルを利用しており、ITILには、ITサービスの成熟度を評価する手段として「成熟度フレームワーク」と呼ぶ独自の測定基準が用意されている。

 Allstateでは、キャパシティ管理や可用性管理、サービス・レベル管理などの各プラクティスの評価が行われた。具体的には、十分なレベルで機能しているか、従業員が適正な手順を理解しそれを順守しているか、ドキュメンテーションに一貫性があるか、などである。

 その結果から同社は、インシデント管理と変更管理、そして構成管理に着手することにした。「まず何を改善すべきかを考え、プロジェクト・プランを立案し、すぐさま実行に移した」と、Allstateのプロセス・コンサルタント、キャシー・カーチ(Cathy Kirch)氏は語る。

 Kirch氏とともにAllstateのプロセス・コンサルタントを務めるケビン・フン(Kevin Pugh)氏は、プロセス間の相互依存とハンドオフを理解し、それをドキュメント化することが、ITILを成功させるうえで重要と指摘する。「特に問題管理はインシデント管理でドキュメント化されていなければ、分析も修正もできない。警察官がリポートを作成しなければ、捜査官が仕事をできないのと同じだ」(Pugh氏)


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