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【解説】
「なくした“人生の一部”を取り戻せ」――オープンソースのノートPC追跡ソフト「Adeona」が完成

紛失/盗難にあったノートPCを持ち主の下へ――商用版にどこまで対抗できるか

(2008年07月15日)

ノートPCをなくしてしまうのは、今や人生の一部をなくすのと同じだ。思い出の写真や好きな音楽、個人的な日記など、かけがえのないデジタル・データに永遠に別れを告げることになる。ましてや仕事用のノートPCともなれば、機密情報を漏らした張本人として処罰されかねない。そうしたなか、米国Washington大学とCalifornia大学San Diego校の共同研究チームは7月14日、持ち主の情報プライバシーを守りながら無料でノートPCを追跡してくれるオープンソース・ソフトウェア「Adeona」を発表した。

Robert McMillan
IDG News Serviceサンフランシスコ支局

「大切な人生を取り戻す方法」を共同研究

Adeona研究チームのWebサイト

 「大切な人生を取り戻す方法」というテーマに取り組んだのは、Washington大学とCalifornia大学San Diego校の共同研究チームだ。彼らが開発したソフトウェアにつけたAdeona(アデオナ)という名前は、初めて旅に出た子供が帰宅の途につくときに親元まで導くローマ神話の女神に由来する。

 両校の研究チームの1年間に及ぶ研究開発の成果であるAdeonaの仕組みはこうである。まず、ユーザーがノートPCに無料のクライアント・ソフトウェアをダウンロードする。すると、そのソフトウェアはインターネット上のサーバに、ノートPCの所在に関する暗号化したメモを匿名送信する。そして、ノートPCが行方不明になった際、そのPCのユーザーは別のプログラムをダウンロードし、ユーザー名とパスワードを入力してサーバから所在地情報を取り出す。これは「OpenDHT(Open Distributed Hash Table)http://opendht.org/」と呼ばれる、何年も前からある無料のストレージ・サービスだ。

最後に使われたIPアドレス/ルータ情報から窃盗犯を追跡

 Adeonaのインストーラは、Adeona研究チームが運営するWebサイトのダウンロード・ページから、Linux、Mac OS X、Windowsの各OS版が無料でダウンロードできるようになっている。

MacBookなどでは、液晶ディスプレイ上部のiSightカメラを利用して、使用中の人物の““証拠写真”も撮ることが可能

 AdeonaはノートPCを盗んだ人物の住所と電話番号まで割り出すわけではないが、最後に使われたIPアドレスと、そのPCがインターネットに接続するために使用した近隣のルータについて情報を与えてくれる。捜査機関はこの情報を基に犯人を追跡できる、とWashington大学准教授のタダヨシ・コーノ(Tadayoshi Kohno)氏は説明する。「ノートPCについての情報を得られたら、それを警察に伝えればよい」(Kohno氏)。なお、Mac OS X版のAdeonaに至っては、「isightcapture」というフリー・ソフトウェアを用いて、その「MacBook」や「MacBook Pro」を使用中の人物の“証拠写真”も撮ることができる。

 Adeonaプロジェクトに詳しい米国Johns Hopkins大学の教授、アビエル・ルビン(Aviel Rubin)氏は、Adeonaサービスがスタートしたらぜひ利用したいと賛辞を送る。「得られた情報がすべてノートPCの追跡や犯人の逮捕につながるとは限らないが、大きな前進であることは確かだ。こうしたサービスがなければ、ノートPCをなくしたら一巻の終わりになってしまう」(Rubin)


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