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【連載】
新時代のITキャリア【ITトレーナー編】
第15回 「ITプロ/開発者向けトレーナー」
(2008年03月10日)
IT業界では常に新しい技術が誕生している。そしてそれに伴いさまざまな職種や役職が誕生している。本連載では、IT業界の職種を取り上げ、その仕事内容や必要とされる能力、労働条件や待遇といったものを紹介していくことにしたい。今回は、文字どおりITの“プロ”を育成する「ITプロ/開発者向けトレーナー」を取り上げよう。
横山哲也
グローバル ナレッジ ネットワーク、マイクロソフトMVP
【職務概要】
システム管理者やネットワーク管理者、システム開発者などの育成や、スキルアップをサポートする。一般ユーザー・トレーナーと同様、教室での講習会が大半である。もちろん、講習で利用するテキストの作成や、一般ユーザー・トレーナーの育成も職務の範囲内だ。
講習内容は、システム管理ツールの使い方から始まり、ネットワーク構築、ネットワーク設計、プログラミング言語の文法、開発手法、開発プロジェクト管理など、幅広い。また、実践に即した高度なトラブル・シューティングやシステム開発も扱う。「高度人材育成」を担当する仕事と考えてよいだろう。
【必要な経験/スキル】
ITプロ/開発者向けトレーナーと一般ユーザー・トレーナーの違いは、受講生のITリテラシーだ。ITプロ/開発者向けトレーナーの相手は、専門家である。そのため、正しい専門用語を使って、正確に情報を伝える能力が求められる。
もちろん、コンピュータに関する深い知識は必須だ。一方、個々のオフィス・アプリケーションの操作方法などは、あまり必要とされない。ちなみに筆者の同僚に、UNIXとTCP/IPを専門とする優秀なプロフェッショナル向けトレーナーがいるが、ExcelやWordの操作方法には明るくない。そんな彼がExcelに関する親戚からの質問に答えられなかったところ、母親から怒られたという。
「あんた、マジメに仕事しているのか?」と。
ITプロ/開発者向けトレーナーを目指すなら、以下の4点は押さえておきたい。
コンピュータの専門知識
少なくとも、講義に必要な知識よりも、ワンランク上の知識を修得しておく必要がある。また、MicrosoftやOracle、Cisco Systemsなどのベンダー資格を要求されることも多い。
実務経験については意見が分かれる。一般には、システム・エンジニア(SE)向けのトレーナーは、SEの経験があったほうがよいと言われる。しかし、筆者はこの意見に賛成できない。
ITプロ/開発者向けトレーナーの役割は、純粋な技術情報(理想論)を伝達することだ。現場で何が起こっているのかを知っておくことは重要だが、トレーナーに求められるのは、現実で発生する障害やその回避策を伝えることではない。
現場を経験することは大切だが、実際のプロジェクトを数多く経験するのは時間がかかりすぎて、現実的ではない。3年の実務経験より、1カ月の机上学習のほうが、多くの知識を得られる場合は多い。逆に言うと、ITプロ/開発者向けトレーナーは、事例からその本質をつかむ能力が求められるのだ。
論理的な文章を書く能力
テキストなどの教材を作成するためには、難解な技術や新しい技術を、わかりやすく説明する能力も重要となる。
プレゼンテーション能力
一般ユーザートレーナーと同様、講習会を担当することが多い。発声や、わかりやすく話を組み立たてる能力も重要だ。可能であれば、専門的なトレーニングを受けることが望ましい。
コミュニケーション・スキル
受講者が専門家だとはいえ、一般的なコミュニケーション・スキルも重要である。高度な技術を持った受講者でも、理路整然と質問できない場合もある。受講者の質問の意図を読み取り、適切な回答をするスキルも必要だ。
【適した人材】
技術に対する探求心と、すぐれた技術を広く伝えたいという使命感を持った人材。このどちらが欠けても、すぐれたトレーナーにはなれない。
【雇用側が求める能力】
卓越した技術力と、すぐれたコミュニケーション能力の両方が求められる。どちらも仕事をしながら身につけることは可能だが、短期間で新しい技術を習得できる人と、そうでない人がいる。効率のよい勉強ができない人は、この仕事に向いていない。
ただし、ITプロ/開発者向けトレーナーを雇用している企業は少ない。この種の職業の地位が高い米国でも、トレーナーを専業としている人は少数派で、コンサルタントなどを兼任している人が大半だ。雇用需要があるかどうかは、最初に見極めておきたい。
【採用の決め手となる“究極の質問”】
「質問されるのは好きですか?質問するのは好きですか?」
面接官は、この質問に「ノー」と言う人を採用しないほうが賢明だ。
トレーナーは受講生の仕事に興味を持ち、受講生が抱えている課題や状況を理解する必要がある。そうでなければ、適切なアドバイスはできない。すぐれたトレーナーは、受講者全員に伝えるべきことと、個別に対応すべきことを区別し、両方に対応できる、柔軟な思考の持ち主でなければならない。
【年収】
高いITスキルが求められるため、年収は500万円から800万円程度が平均のようだ。上限は1,000万円か。つまり優秀であれば、大台に乗ると考えてよいだろう。
- 新時代のITキャリア【ITトレーナー編】
- 第1回 「オフショア・プロジェクト・マネジャー」
- 第2回 「ベンダー・マネジャー」
- 第3回 「BIアナリスト」
- 第4回 「IT財務責任者」
- 第5回 「下流プログラマー」
- 第6回 「上流プログラマー」
- 第7回 「システム・エンジニア」
- 第8回 「プロジェクト・マネジャー」
- 第9回 「アーキテクト」
- 第10回 「ヘルプデスク」
- 第11回 「テクニカル・サポート」
- 第12回 「システム管理者」
- 第13回 「ネットワーク管理者」
- 第14回 「一般ユーザー・トレーナー」
- 第15回 「ITプロ/開発者向けトレーナー」
- 第16回 「ITコンサルタント」
- 第17回 「CIO(Chief Information Officer)」
- 第18回 「CSA(Chief Software Architect)」



