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[米国]
コグノス買収でささやかれるIBMの方針転換

ISVパートナーとの競争回避という方針に終止符?

(2007年11月14日)

 カナダのビジネス・インテリジェンス(BI)ベンダーであるコグノスを50億ドルで買収する計画を、米国IBMが11月12日に発表した(関連記事)。これを受けて、「IBMは、ビジネス・アプリケーションを販売するパートナーとは競争しないとする長年の方針を転換したのではないか」との見方がアナリストの間に広がっている。

 既報のとおり、IBMによる発表の約1カ月前には、SAPがビジネスオブジェクツを買収すると発表している(関連記事)。これで、パートナー関係にあるIBMとSAPが今後は直接競合する形となる。

 「コグノスの買収は、パートナーシップに関するIBMの方針転換の表れだ」とフォレスター・リサーチのアナリスト、ポール・ハマーマン氏は指摘する。「コグノスはIBMにとってやや毛色の異なるベンダーだ。IBMは今後、コグノス買収に追加する形で他のアプリケーション・ベンダーを手に入れるかもしれない」(ハマーマン氏)

 IBMとSAPのパートナーシップは、IBM製データベースおよびミドルウェアの上でSAPのERPアプリケーションを走らせるという内容だ。ガートナーのアナリスト、アンドレアス・ビッテラー氏によると、SAPの協力の下でERPアプリケーションの実装に従事するIBMの従業員は数千人に上っている。

 IBMは、「コグノスの買収は、ISV(独立系ソフトウェア・ベンダー)のパートナーとは競争しないという当社の方針に反するものではない」と方針転換について否定している。IBMのソフトウェア部門でシニア・バイスプレジデント兼グループ・エグゼクティブを務めるスティーブ・ミルズ氏によると、IBMはコグノス製品に似た「Lotus Notes」などのアプリケーションをすでに有しており、1983年からクエリや解析機能、リポート・ツールを提供してきたという。

 ミルズ氏はコグノス買収に関する発表の際、「IBMの基本戦略は従来どおりだ。BIはわれわれにとって新たな分野ではなく、あらゆる種類のアプリケーションにまたがる横断的なテクノロジーなのだ」と強調した。

 ガートナーのビッテラー氏は、IBMが従来の方針を転換させたのかどうかは、BIをどう定義するかで見方が異なると話す。

 「BIは主にメタデータを扱うが、予算の策定やプランニングなどのアプリケーションにも利用されることから、IT基盤とアプリケーションの境界線に位置すると見なすこともできる。一方、BIをアプリケーションとして分類した場合は、IBMが従来の方針を180度転換し、業務アプリケーションの分野に本格参入したと見なすことができよう」(ビッテラー氏)

 ただし、IBMが近い将来ERPとCRMに手を広げることはないと考えてよさそうだ。「もしそうなったら、コグノス買収よりも大きなサプライズだ」とビッテラー氏。

 今後、IBMのセールス・チームは、ビジネスオブジェクツよりもコグノス製ソフトウェアのサービス契約に注力するだろう。とはいえ、IBMとパートナー各社は、双方に利益が見込めるかぎり今までの関係を続けていくとアナリストたちは見ている。

 「サービスの面から言えば、IBMはSAPやオラクルにかぎらず、どのベンダーとも提携を続けていくはずだ」(ビッテラー氏)

 コグノスの製品を用いたBIとデータ・ウェアハウジングのプラットフォームを提供しているヒューレット・パッカード(HP)にとって、IBMのコグノス買収は他人事でない。だが、それでも両社のパートナーシップが解消されることないだろうとハマーマン氏は予想する。「IBMとHPのパートナーシップも続くと思う。収益が見込めるうちは関係を維持しようと努めるはず」と同氏は見ている。
 

オラクルのハイペリオン買収が再編勃発のきっかけ

 IBMがコグノス買収を決断したのは、オラクルがハイペリオン・ソリューションズを33億ドルで買収し(関連記事)、一連のBIベンダー合併に向け動き出した今年3月初旬ではないかと思われる。

 オラクルによるハイペリオン買収を受けて、多くのアナリストは、IBMとSAPが対オラクル戦略の一環としてビジネスオブジェクツやコグノスの買収に動き出すと見ていたが、結局その予測は正しかったことになる。

 前出のとおり先手を打ったのはSAPで、今年10月にビジネスオブジェクツを67億9,000万ドルで買収することで合意したと発表した。

 フォレスターのハマーマン氏は、これら3件の買収のうち、IBMのコグノス買収が「最も無駄のない契約」だと評価している。

 「重複する製品が少ないのがよい。SAPとビジネスオブジェクツの場合、特に業績管理の点でかなり重なる部分がある」(ハマーマン氏)

 ガートナーのデータベース・アナリスト、コリーン・グラハム氏は、IBMがコグノスを買収したねらいについて、マイクロソフトとオラクルがデータベース製品に基本的なBI機能を組み込み始めたことへの対策だと見ている。「IBMはコグノスのテクノロジーを自社データベースのDB2に統合する」と同氏は予想する。

 次々と買収・合併が繰り広げられるのは、BI市場が大きな利益を見込めるからにほかならない。ハマーマン氏によると、今年行われたある調査で、IT幹部は優先的支出先のトップとしてBIを挙げたという。

 「BI市場はさらに合併の余地がある」というのがアナリストたちの一致した見方だ。ハマーマン氏は買収のターゲットとして、中堅BIベンダーのマイクロストラテジーとSASインスティチュートの名を挙げている。

(ジョン・ブロドキン/Network World オンライン米国版)




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