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[米国]
特許承認基準の変更を巡り最高裁で論争──マイクロソフトら5社は申立書を提出
(2006年11月29日)
特許承認の基準を巡り、米国で論争が起きている。米国最高裁判所は11月28日、特許承認基準の変更につながる可能性のある訴訟で尋問を行った。マイクロソフトやシスコシステムズなどベンダー5社は、特許承認基準を変更するよう求めている。
自動車のアクセルペダルの特許に関するこの訴訟では、発明内容が自明との理由から特許を認めることはできないという判断が下級審で下されており、最高裁では現在、この判断に至った過程が審理されている。
もともとこの裁判は、電子アクセルペダルの特許を持つテレフレックスとテクノロジー・ホールディングが、自社の特許を侵害したとしてKSRインターナショナルを訴えたもので、被告側は、アクセルペダルに関する発明に独創性はないとして特許を無効にするよう主張していた。
11月28日に行われた口頭弁論の後、特許を専門とする弁護士の間からは、40年前から自明性の判断に使われている教示・示唆・動機審査と呼ばれるアプローチを、今回の裁判で最高裁が覆すのではないという声も出ている。
連邦巡回裁判所の上訴裁判所は、自明性を判断するうえでこのアプローチを採用。発明の自明性を宣告するには、平凡な技能を持つ人物が「先行技術」製品を組み合わせて新しい発明を行うに至ったことを裏付ける教示、示唆、動機の証拠が必要として、発明の自明性を認めた一審の判断を覆した。
一方、別の特許専門弁護士たちは、最高裁がこの問題で大きく動くことはないものの、従来のアプローチに何らかの変化があれば、それだけで特許所有者が大きな影響を受けるとの見方を示している。パーキンス・コイエ法律事務所の弁護士で知的財産が専門のポール・アンドレ氏は、最高裁が動機審査の要件を排除するだけで、現在認められている特許の大半は疑わしいものになる可能性があると指摘する。
アンドレ氏によると、仮に動機審査の要件が変更された場合、特許保有者による特許侵害訴訟の件数は減少するかもしれないという。「特許侵害裁判の被告は、これまでよりも容易に特許の正当性に対して異議を申し立てることができるようになる。特許が無効と判断されるケースも増えるだろう」と同氏は話す。
もっとも、動機審査の要件が変更される可能性は小さい、というのがアンドレ氏の見方だ。1966年の判決以来維持されているこの自明性の判断基準を最高裁が変えるとは考えにくいからだ。同氏は「最高裁が本当に基準を変えたかったのであれば、とっくに変わっていた」と語り、特許専門弁護士の大半は自分と同じ意見だとしている。
しかし、最高裁判事の中には、自明性の判断基準に疑問を投げかけている人もいる。最高裁長官のジョン・ロバーツ氏は、自明性の判断に関して裁判所はもっと柔軟に考えるべきだと提言している。また、フォーリー&ラードナー法律事務所の弁護士で、知的財産が専門のシャロン・バーナー氏も、今回の審問とは無関係に行われたインタビューで、最高裁が連邦巡回裁判所に新たな基準を導入するよう命じる可能性があるとの見方を示す。
電子アクセルペダルの裁判では、シスコとマイクロソフトを含む5社の企業が、動機づけ基準によって自明性の立証が極めて困難になっており、これが不適切な特許を生み出す原因になっているとの申立書を最高裁判所に提出した。
この申立書の中で、ヒューズ・ハバード・リード法律事務所の弁護士であるピーター・サリバン氏は、「マイクロソフトとシスコが数十件の疑わしい特許を侵害したとして訴えられている」と述べるとともに、「(動機審査のおかげで)特許承認の要件があまりにも寛大になっており、技術革新の阻害につながっている」と記している。
一方、自明性基準が変更されると既存製品を組み合わせた発明で特許を取得するのが難しくなるとして、基準の変更に反対する申立書を提出した特許専門弁護士のグループもある。米国知的財産法律協会の弁護士が作成したこの申立書によると、現在の基準は確固とした根拠を持ち、十分に考えられたものだという。
専門発明家連合のロナルド・ライリー会長も、動機審査がなくなった場合、自明性を判断する基準が存在しなくなるとして、特許承認基準の変更に反対する立場をとっている。
「自明でなかったものも、後知恵で自明とされるケースは多い。創造性のない大企業は、発明家に報酬を払いたくないがために、発明に費やされた努力を認めたくないのだ」(ライリー氏)
(グラント・グロス/IDG News Serviceワシントン支局)



