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【インタビュー】
大古社長が語るシトリックスの仮想化戦略
「ゼンソースの技術はアプリケーション・デリバリに不可欠」
(2007年10月12日)
シトリックス・システムズがゼンソースを買収――。2007年8月15日に発表されたこのニュースは、瞬く間に世界中を駆け巡った。それは、仮想化技術に対する関心の高さ、そしてその市場の牽引役として名乗りを上げたシトリックスに対する期待の大きさを物語っていると言えるだろう。ゼンソースの買収はシトリックスにとってどんな意味を持つのかを、シトリックス・システムズ・ジャパン代表取締役社長の大古俊輔氏に聞いた。
聞き手・構成
福田悦朋
IDGジャパン 発行人
| 「ゼンソースの製品は、アプリケーション・デリバリ・プラットフォームのコンセプトにピッタリ当てはまる」と語るシトリックス社長の大古俊輔氏 |
――シトリックスが提唱している「アプリケーション・デリバリ・プラットフォーム」とは、どのようなコンセプトなのか。
アプリケーション・デリバリ・プラットフォームは、必要なときに、いつでも、どこからでもユーザーにアプリケーションを届けるという発想から生まれたコンセプトである。われわれの主力製品「Presentation Server」がまさにそのコンセプトに基づいている。
アプリケーションのユーザーにとって最も重要なことは、そのインストールやアップグレードについてではなく、快適なパフォーマンスで使用できるかどうかである。したがって、企業内のデスクトップPCでも、外出先のノートブックPCでも、さらにはスマートフォンであってもアプリケーションは快適に使用できなければならない。
――ゼンソースの仮想化技術は、アプリケーション・デリバリ・プラットフォームの中でどのような位置づけになるのか。
サーバ側にあるアプリケーションをデリバリするというアプローチには3種類がある。
1つ目は、1つのOSイメージ上でアプリケーションを稼働させ、それを複数のユーザーが使うというアプローチだ。物理的なサーバとOSが1つで済むためコスト効率が高いのが特徴であり、これに該当するのがまさにPresentation Serverである。
2つ目は、これとは正反対のアプローチであり、ユーザー単位にOSと物理的なハードウェアリソース(例えばブレードPC)を1台ずつ分け与えるというアプローチだ。個々のユーザーにはハイパフォーマンスな環境を提供できるが、コスト上の理由により多数のユーザーにそのような環境を提供することは現実的に難しいだろう。CPUの平均使用率はせいぜい10〜15%程度であることが一般的であり、効率面での無駄も大きい。また、電力消費量や発熱量の問題も無視できない。
3つ目は、これら2つの中間に位置するアプローチであり、物理的に1台のサーバを仮想的に複数に分け、それぞれ異なるOSを稼働させるというものだ。この場合、物理的なサーバの台数が少なくて済むので、運用管理コストが削減できるうえに、CPUの使用効率も高められる。また、一つの仮想環境でOSがダウンするような障害が発生しても、そのほかの仮想環境は影響を受けずに済むというメリットもある。稼働させるOSが同一である必要はなく、最新版と従来版を1台のハードウェア上で混在させることも可能だ。
このような仮想環境を実現することで、さまざまな使い方ができるだろう。例えば、1台のサーバ上に本番環境とテスト環境を仮想的に構築しておけば、新たにリリースされたセキュリティ・パッチを適用しても既存アプリケーションの動作に支障がないかどうかを、本番環境と同じ環境でテストすることが可能になる。また、Windows NT上でしか稼働しないアプリケーションを使い続けなければならない場合でも、Windows Server 2003などのサーバとコンソリデーションすることが可能なので、物理的なサーバ台数の削減を図ることができる。
ゼンソースの買収は、この3つ目のアプローチを実現するために行ったことであり、同社の製品と技術は、われわれが提唱するアプリケーションデリバリプラットフォームにとって不可欠なソリューションだった。
――仮想化技術によってサーバをコンソリデーションすると、新たに仮想化のレイヤーが追加されるため、むしろ運用管理の負荷が大きくなるのではないか。
仮想化したことによって従来の運用管理ツールが使えなくなってしまい、新たな管理ツールが必要になるのでは元も子もない。オープンソースの「Xen」は、従来から提供されている管理ツールをそのまま使えるよう互換性がとられており、プロプライエタリな技術は採用していない。そのエンジンを使用する「XenEnterprise」と「XenServer」も同じだ。
もっとも、複数のOSイメージを個別に管理するのでは効率が悪いため、セントラル・サーバで一括管理・配布する必要があるだろう。それを実現するために、「Ardence」という製品を提供している。これは2007年1月に買収した米国アーデンスの製品であり、これもアプリケーション・デリバリ・プラットフォームにとって不可欠なソリューションだった。
ここ数年、いくつもの企業を買収しているので誤解されやすいが、われわれは基本的には買収よりも自社開発の道を進むことにしている。だが、自社にそのスキルがない場合や、一から開発していると製品投入の時期を逸してしまう場合には、買収という手段をとる。これは、米国シトリックスのCEOであるマーク・テンプルトンの方針であり、われわれが投資目的や競合つぶしを目的に買収を仕掛けることはない。
- シトリックス・システムズ・ジャパン
- http://www.citrix.co.jp/
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