【 ここから本文 】
マルチコア・コンピューティング
ソーシャルブックマークに登録 :
印刷用ページの表示
【解説】
クアッドコア時代のCPU新事情[インテル編]
TICK TOCK戦略に基づき、サーバ/デスクトップ/モバイルの各レイヤでマルチコアCPUを推進
(2008年05月21日)
次期アーキテクチャ採用のNehalemは今年後半に登場
Nehalemとは、Coreマイクロアーキテクチャに次ぐ、次世代マイクロアーキテクチャを採用したCPUの開発コード名である。Nehalemという名称は、米国オレゴン州北西部の小さな町に由来している。Nehalemは、もともと米国北西部のTillamookというアメリカ原住民を指していた。
偶数年に新しいマイクロアーキテクチャを発表するIntelのTICK TOCK戦略にのっとり、Nehalemではマイクロアーキテクチャが刷新され、現在のCoreマイクロアーキテクチャを採用したCPUから大幅に性能が進化するようだ。うわさでは、インテルが1995年にPentium Proをリリースして以来、最大の進化となると言われている。
以下では、Nehalemに搭載される主な新機能を紹介する。
メモリ・コントローラをCPUコアに統合
Nehalemで採用される新マイクロアーキテクチャの設計思想/構造上で最大の変更点は、内蔵メモリ・コントローラ(メモリ間でデータの入出力を処理するために使われるチップ)だと言える。Intelは、Nehalemの登場により、ノースブリッジ・メモリ・コントローラは不要になると明言した。メモリ・コントローラをCPUコアに内蔵することで、FSBによるスループットの制約を回避できるという。
メモリ・コントローラを統合した結果、データ転送レートは最大32Gビット秒に拡張された。Intelが野心的なマルチコア計画をNehalemで実現しようとしている点を考慮すれば、この転送レートが持つ意味は大きい。なお、内蔵メモリ・コントローラの名称は「Intel QuickPath Interconnect」である。
Intelが内蔵メモリ・コントローラへの移行を決めたことに対し、AMD派の間では、「Intelは、何年も前にAMDが実現したことを、今ごろになってようやくその価値を理解したようだ」とやゆする声が上がっている。内蔵メモリ・コントローラにより、メモリのアクセス・スピードとレイテンシを改善するほか、消費電力も低減することが可能になる。
グラフィックス機能をCPUに統合
Intelは2007年9月、Nehalemにグラフィックス機能を統合することも発表した。つまり、GPU(Graphics Processing Unit)コアがCPUと同じチップ上に配置されるわけだ。
ちなみに、Intelの内蔵グラフィックス機能とAMDのグラフィックス機能の違いのポイントとしては、Nehalemでは、AMDが「Fusion」(開発コード名)で計画しているようなダイ・レベルでのGPUの統合は行われないという点が挙げられる。
メモリはDDR3 SDRAMをサポート
Nehalemでは、より高速・低消費電力なメモリであるDDR3 SDRAMをサポートする。これも、アーキテクチャ上の大きな変更点だと言える。
ここまでNehalemの主な新機能を見てきたが、その他にも、CPUの高速化技術であるハイパースレッディングや同時マルチスレッディングに改良が施される。これにより、複数のCPUコアがサイクルとメモリをプールすることで、アプリケーションを快適に実行できるようになる。加えて、L2およびL3レベルでの共有キャッシュ機能が改善されることから、CPUの実行効率はいっそう高まるはずだ。
また、Nehalemは、1枚のダイにすべてのコアを実装する、いわゆるネーティブなクアッドコア/8コアを達成するために、ゼロから構築された次世代マイクロアーキテクチャである。したがって、2009年には、2個の8コアCPUで構成された16コア・プラットフォームが登場する可能性は非常に高いと言える。
ただし、Nehalemが登場しても、ダイ・サイズが縮小されるのはまだ先の話となる。それが実行されるのは、Intelが現在、「Westmere」(開発コード名)と呼んでいるCPUからである。2009年にリリース予定のWestmereは、Nehalemのマイクロアーキテクチャを実装しつつ、32nmプロセスを適用する計画だ。IntelがTICK TOCK戦略を今後も維持していくと仮定すれば、2010年には「Sandy Bridge」(開発コード名)と呼ばれる、Nehalemの次となるまったく新しいマイクロアーキテクチャが登場することになる。
個々のCPUレベルで見ていくと、デスクトップPC向けNehalem(開発コード名「Bloomfield」)の第1弾は、2008年後半にリリースされる予定である。インターネット上では、Bloomfieldのクアッドコア版には、8MBの共有L3キャッシュが搭載され、3つのDDR3メモリ・チャネルをサポートするとの憶測が流れている。2008年第4四半期には、Bloomfieldの8コア版も発表されるという。
Intelは、サーバ向けとして「Beckton」(開発コード名)と「Gainestown」(開発コード名)の2種類のCPUを開発中だ。これらについてもインターネット上では、Becktonはネーティブな8コアCPU(デュアルソケット構成の場合は16コア)、Gainestownは比較的Bloomfieldに近いスペックになるとうわさされている。
モバイル向けCPUでも攻勢を強めるIntel
Intelは今年3月、CPUとチップセット、ワイヤレス・アダプタをすべて一新したモバイル・プラットフォーム「Centrino 2」(開発コード名「Montevina」)を発表した。Centrino 2の新しいチップセットは、「Cantiga」(開発コード名)と呼ばれ、モバイル向けとして初めて1,066MHz FSBを搭載する。
| 写真3:Atomを搭載したMIDのコンセプト・モデル(写真は韓国LGが開発したもの) |
新しいワイヤレス・アダプタ(開発コード名「Shiloh」)は、ワイヤレス信号を理論上では最長30マイル先まで伝送できる、長距離ワイヤレス通信規格のWiMAXをサポートする計画だ(ただし、WiMAXはまだ実用レベルで普及していない)。また、Centrino 2は、PCをディスプレイや外部音源に接続するための新規格「DisplayPort」をサポートする。
さらにIntelは、「Silverthorne」という開発コード名の下に開発を進めていた新型の低電力モバイルCPU「Atom」を今年3月に発表した(関連記事)。45nmプロセスを適用したAtomは、とりわけ成長が著しいインターネットに対応した携帯端末の分野をターゲットにしている。Intelは、Atomがターゲットにしているそうした携帯モバイル・デバイスをMID(Mobile Internet Device)と呼んでいる(写真3)。
Atomで特筆すべき点は、消費電力がきわめて低いことだ。Intelによれば、Atomの消費電力は同社製デュアルコアCPU(最も低消費電力)の約15分の1にすぎないという。([AMD編]はこちら)
あらゆるレンジでクアッドコアを投入し価格性能比での巻き返しを狙う



















