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マルチコア・コンピューティング

サーバ仮想化ソフト「注目5製品」の特徴

有力ベンダーの最新製品に見る、技術/機能のトレンド

(2006年12月19日)

メインフレーム時代から培われてきたサーバ仮想化技術が、今日のサーバ製品のボリューム・ゾーンであるx86プロセッサ・プラットフォームで、本格的な導入フェーズを迎えている。この分野を牽引しているのが、進境著しい仮想化ソフトウェア市場である。ここでは、主要ベンダーが提供する最新の製品を紹介しながら、仮想化ソフトウェアの技術/機能のトレンドを探ってみたい。

ポール・ベネチア/トム・イェイガー
InfoWorld米国版

x86プラットフォームで進展するサーバ仮想化技術

 1999年に発売されたヴイエムウェアの「VMware Workstation」が、Windows NT 4.0上で複数のWindows 95を動作させる様子は、多くの人々に驚きをもって迎えられた。しかし、1台の物理ハードウェア上で複数のシステムを動作させる「仮想化」そのものは、由緒ある伝統的な技術である。1970年代のメインフレームにおいてはソフトウェア・パーティショニングが一般的に使われていたし、その後のUNIXサーバにおいても、エンタープライズ向け製品を中心に仮想化機能が活用されてきた。

 ではなぜ今日、AMDやインテル、マイクロソフト、ノベル、レッドハットなどのOS/ハードウェア・プラットフォーム・ベンダーが、われさきにとばかりに仮想化を巡る競争に参加しているのか。その答えは驚くほど簡単だ。当初、この技術の導入コストは高く、利用できるアプリケーションも限られていた。しかし、低価格ながら信頼性の高いx86プロセッサ・プラットフォーム向けの仮想化ソフトウェアが登場したことで、広範なユーザーが仮想マシン(VM)技術を利用できるようになったからだ。これは、低価格なx86サーバ・マシンの普及時期とも重なった。

 さらに重要なことは、ユーザー企業が仮想マシンを実運用環境に導入し始めるのに伴い、仮想化のメリットをより生かすための新しい技術や製品へのニーズが増加しているということだ。とりわけ今年は、基盤となる技術が成熟化したこともあって、ベンダー各社は、ITマネジャーが今日直面している広範な課題に対処するために、ユーザー・ニーズを満たす仮想化技術/製品を次々と投入している。

サーバ仮想化の最大の魅力はコスト・メリット

 ユーザー企業にとって、サーバ仮想化の最大のメリットはコスト削減にある。1台の物理サーバ上で複数の仮想サーバを稼働させることは、当然のことながら、必要のないサーバ・マシンを減らすことを意味する。IT機器ベンダーのシムクエスト・グループでシニア・ネットワーク・アーキテクトを務めるマット・プリッグ氏は、特に中堅/小・中規模企業において、そうしたニーズが強いのだと指摘する。

 「企業が取り扱うデータ量がこの数年で飛躍的に増加した。従来1、2台という単位でサーバを購入していた小・中規模企業は、一度にまとめて6、7台のサーバを購入しなければならなくなった。仮想化によって、これまでと同じサーバ台数に抑えたまま、複数のOSとアプリケーションを稼働させることは、そうした企業にとって大きな魅力である」(プリッグ氏)

 大規模企業にとっては、このメリットはさらに大きい。大規模なデータセンターに足を踏み入れると、ラックに収納された何十台、何百台のサーバ、せわしなく点滅するライト、轟音を上げる空調機器や冷却ファンなど、壮観な光景を目の当たりにする。しかし、これらのサーバのほとんどのCPUは、実際には何の仕事もしていないのだ。サン・マイクロシステムズの推計では、大多数のサーバの稼働率は15%程度にすぎない。このように、システム・リソースのほとんどは無駄になっているのに加え、ハードウェアを維持するのに必要な電力、換気、空調用リソースは浪費され続けているというのが現状なのである。

 しかし、1台のミッドレンジ・サーバをサーバ仮想化技術と組み合わせれば、6台ないし7台のローエンド・サーバに取って代わることができる。特に、仮想サーバ群によって構築された「仮想データセンター」では、初期導入コストだけではなく、冷却コスト、運用コスト、廃棄コストも含めたTCO(所有総コスト)が大幅に削減される。また、仮想化ソフトが備える動作中のサーバのスナップショットを作成する機能は、システム・パッチ適用/アップデートの失敗やウイルス/ワームへの感染などに対する保険になる。そのうえ、CPUやメモリ、ネットワーク帯域といったリソースを、物理的な制約を超えて、動的に割り当てることも可能になる。

ハードウェア・エミュレーションとホスト・ベース

図1:ハードウェア・エミュレーション方式とホスト・ベース方式

 サーバ仮想化技術は、大きく2つに分けることができる(図1)。1つは、各仮想サーバが物理サーバのBIOS、CPU、メモリなどのハードウェアをエミュレートし、それぞれが個別にOS環境を備える「ハードウェア・エミュレーション」方式である。一般にこの方式では、BIOSレベルからのカスタマイズが可能であるなど高い柔軟性を持つ反面、処理のオーバーヘッドが大きくなるという欠点を持つ。代表的な製品としては、ヴイエムウェアの「VMware Server」や「VMware ESX Server」、マイクロソフトの「Virtual Server」がある。詳しくは後述するが、この方式は、ホストOS上で仮想マシンを作成するタイプと、ホストOSの代わりにハードウェア上にハイパーバイザーと呼ばれる仮想化制御レイヤを置き、その上でゲストOSを動作させるタイプに分類できる。最近では特に、ハイパーバイザーを採用したオープンソースの仮想マシン・モニタ「Xen」が注目を集めている。

 これらのハードウェア・エミュレーション方式に対して、各仮想サーバが単一のホストOS上にあって、それぞれが物理サーバのハードウェアを共有するのが「ホスト・ベース」方式である。一般にこの方式では、ハードウェア・リソースを柔軟に管理できる反面、ゲストOSとなることができるOSはホストOSに依存するという特徴を持つ。代表的な製品としては、SWソフトの「Virtuozzo」や、サンのUNIX OS、のSolaris 10で提供されている「Solarisコンテナ」機能を挙げることができる。

 こうしたソフトウェア・ベースのものだけでなく、AMDやインテルはハードウェア上で仮想化技術を支援するCPUの拡張機能を提供している。インテルの「Virtualization Technology(VT)」やAMDの「Secure Virtual Machine(SVM)」(開発コード名:Pacifica)は、ハードウェア・エミュレーションという最も負荷のかかる処理の一部をCPUのマイクロコードに任せることにより、オーバーヘッドを最小限に抑えるものだ。VTやSVMの登場によって、現在では、仮想サーバのワークロードには、x86プラットフォームのCPUのほうが向いているという状況にすらなっているのである(コラムを参照)。

 それでは以下、これらの製品における仮想化技術のアプローチを具体的に確認していくことにしたい。

VMware Virtual Infrastructure 3
●ヴイエムウェア

 ヴイエムウェアは、ハードウェア・エミュレーション方式の製品ラインアップでx86プラットフォーム向けの仮想化ソフトウェア市場を長年リードしてきたベンダーである。冒頭で触れたPC向けのVMware Workstationをはじめとして、今年2月に無償化されたエントリー向けのVMware Server(VMware GSX Serverの後継)、エンタープライズ向けのESX Serverなどを主力製品とする。前2者がホストOS(LinuxまたはWindows)を必要とするホスト・ベースの製品であるのに対し、ESX Serverは、非常に軽量なLinuxベースのハイパーバイザーを採用しており、ホストOSを必要としない。ESX Serverの特徴は、OSの制約から解放されたベア・メタル・システムにインストールされるために、各仮想システムをホストするためのオーバーヘッドが少なくて済み、多数の仮想サーバ・インスタンスを同時にサポートできることにある。

 そして、ヴイエムウェアは今年7月、このESX Serverの新バージョンである「ESX Server 3」を含むスイート製品「Virtual Infrastructure 3」をリリースした。ESX Server 3では、最大4CPU構成で16GBのメモリ割り当てが可能になったほか、64ビットのゲストOSが正式にサポートされた。SANとの接続性も大きく改善され、NFSシェアとiSCSI SANボリュームのどちらからでもVMファイルを読み出すことができるようになった。SANからVMを起動することも可能だ。

 同スイートを構成する製品のなかでは、特に、仮想化環境管理ツール「VMware VirtualCenter」や、VMの動的な移動を可能にする「VMware VMotion」、ハードウェア・リソースの動的な移動を可能にする「VMware DRS」に注目できる。

 VMotionは、各VMを稼働中のゲストOSを停止させることなく、またクライアントのセッションも維持したまま、他のESX Serverに移動するという技術である(図2)。例えば、ハードウェアに障害が発生した場合、VirtualCenterは、自動的にVMを他のハードウェア上のESX Serverに移行させる。さらに、今回のバージョンで追加されたVMware DRS(Distributed Resource Scheduler)を利用すれば、VirtualCenterが管理する複数のハードウェア・リソースから論理的なリソース・プールを作成し、そのプール内での動的なリソースの移動が可能になる。例えば、VM内で動作しているデータベース・サーバが、1台の物理ホストのリソースを大量に消費しているために、同じホスト上で動作している他のVMのパフォーマンスが低下している場合、VirtualCenterは影響を受けているサーバを別のサーバ・インスタンスに移行させることにより、すべてのVMのリソース間でのバランスをとることができる。


図2:「VMWare VMotion」機能は、物理サーバを超えてVMを移動させることができる

 これらは、メインフレーム時代の仮想化技術には見られなかった画期的な技術と言える。同スイート製品が、同社の仮想化技術のメインストリーム市場への進出に大きな拍車をかけていることは明白である。同製品をデータセンターに導入すれば、システム管理者は各物理サーバを巨大なリソース・プールの単なる構成要素と見なすことができ、サーバごとにリソースを手作業で分配して負荷を処理するといった苦労から解放されるだろう。


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