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マルチコア・コンピューティング

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マルチコア・コンピューティング

注目度を増すサーバ仮想化──米国企業の導入・活用の実態に迫る

ユーザー調査に見る仮想化技術の課題と現実

(2007年01月11日)

求められるソフトウェア・ベンダーのサポート

 ノルディン氏のようなユーザーがいる一方で、ヴイエムウェア製品の信頼性を高く評価する向きもある。その1人が、米国ナショナル・パブリック・ラジオのCIO、ボブ・ホルスタイン氏だ。同氏は、VMware ESX Serverの信頼性について、「非常に堅牢で、実務での使用に十分耐えうる」と評価している。

 現在、ホルスタイン氏は同製品をテスト中だが、今年(2007年)後半には、一部の業務サーバ上での運用を開始する計画だ。また、すべての作業が同氏の計画どおりに進行すれば、同社のシステムの中で、稼働率の比較的低いアプリケーション・サーバのすべてがVMware ESX Serverによって統合化されるという。

 統合化されたこれらのアプリケーション・サーバは、外部のデータセンター(のコロケーション・ファシリティ)に移管され、それによって創出された(ナショナル・パブリック・ラジオのデータセンター内の)空きスペースには、ラジオ放送のライブ・データを配信する基幹サーバ群が設置されることになる。

 もっとも、この計画には大きな問題が1つある。それは、アプリケーションを提供するソフトウェア・ベンダーが、仮想マシンに対するサポートに消極的なことだ。

 「商用の業務アプリケーションを提供するベンダーは、なぜかミッション・クリティカル性に必要以上にこだわり、仮想サーバ上で自社製品を動作させるリスクを積極的に負おうとしない。この問題が、われわれの計画の障害になるおそれがある」と、ホルスタイン氏は指摘する。

 確かに、(VMware ESX Serverなどによって創出された)仮想マシンを正式にサポートしているアプリケーション製品はまだ少なく、パーキンエルマーのダティーロ氏も、この点を憂慮している。

 「ソフトウェア・ベンダーの多くは、自社のアプリケーションを、例えば、“VMware互換製品”として認定しようとしていない。そのため、仮想マシン上でベンダーのアプリケーションを動作させようとすると、ほとんどのケースで、一定のリスクをユーザー側が負わなければならなくなる」と、同氏は言う。

 ヴイエムウェアによれば、こうした問題は徐々に改善されつつあるという。実際、パーキンエルマーがVMware ESX Serverの導入に踏み切ったころから、ハイペリオン・ソリューションズやビジネスオブジェクツなど、仮想マシンの正式なサポートに乗り出すベンダーもいくつか出始めてきた。

 しかしそれでも、仮想マシンのサポートを正式に行っているソフトウェア・ベンダーはいまだに少数派だ。ダティーロ氏は、「いずれ大半のソフトウェア・ベンダーが仮想マシンのサポートに動くとは思うが、今のところ、この問題が劇的に改善される兆しは見えていない」と、不満を漏らす。

 この点については、IAAIのノルディン氏も、「(IAサーバ上の)仮想環境を正式にサポートしているソフトウェア・ベンダーが数社程度でしかないというのは、この市場が未成熟であることの証明だ」と現状を嘆く。さらに同氏は、「この種の問題(すなわち、対応アプリケーションの少なさという問題)は、かつてMVSや商用UNIXの世界でも同様に見られ、その解決にかなりの時間がかかった。その意味で、仮想化ソフトウェアのベンダーも、この問題の解決に向けて、そろそろ本腰を入れるべきだろう。さもないと、ユーザー側の不満は募る一方となる」と、警鐘を鳴らす。

ITスタッフのスキル向上と意識改革

 サーバの仮想化を巡るもう1つの問題点として、仮想化技術に対するIT技術者(ユーザー側のITスタッフ)のスキル不足がある。

 この点について、パーキンエルマーのダティーロ氏は、自身の経験を踏まえながら、以下のように指摘する。

 「仮に、仮想サーバの本格活用を考えるのならば、まずは、自社のIT技術者に対して、仮想化に関する多くの経験と知識を身に付けさせることが肝心だ。サーバの仮想化技術を扱うのは、そう簡単なことではない」

 この点については、IAAIのノルディン氏も同意見だ。

 「ユーザー企業は、仮想サーバを運用することの難しさを決して軽視してはならない。サーバの仮想化に乗り出そうと考えるならば、ITスタッフのトレーニングに多くの時間と費用がかかることを覚悟すべきだ」と、同氏は言う。

 さらに、パーキンエルマーのシニア・ネットワーク・エンジニア、マイク・フレンチ氏は、「サーバ仮想化プロジェクトの成否は、ITスタッフの教育と理解によって大きく左右される」と言い切る。

 同氏は、パーキンエルマーがVMwareを導入する以前から、仮想化技術に精通していた。そのため、同社によるVMwareの導入に際して、同僚のITスタッフに対する技術説明/教育に多くの時間を費やしたという。
 
 「技術に対する無理解という壁を突破するのは大変なことだ。だが、仮想化に対するITスタッフの十分なスキルと知識という土台があれば、仮想化技術の導入で問題が起きることはない」と、同氏は言う。

 また、ITスタッフの教育やスキルアップと同様に、彼らの意識を変革することも、サーバ仮想化のプロジェクトを円滑に進めるうえでは重要である。というのも、ITスタッフの抵抗により、サーバ仮想化のプロジェクトが頓挫したり、先送りにされたりするケースは珍しくないからだ。

 例えば、米国ザ・ティムケンのCIO、ジョン・エルサッサー氏も、そうした事態に直面した経験を持つ。

 「私は当初、仮想マシン上で、自社で開発したいくつかの業務アプリケーションを稼働させる計画だった。だが、それに対するITスタッフらの抵抗が強く、結局、その計画は頓挫してしまった」と、同氏は言う。さらに同氏はこうも続ける。

 「社内アプリケーションの運用・保守に責任を持っているITスタッフに、仮想マシンの信頼性や実用性を認めさせるのは容易ではない。特に、基幹業務を支えるアプリケーションを仮想マシン上で稼働させようとすると、ITスタッフからかなりの抵抗がある。この問題は、仮想化技術のさらなる発展と普及、そして時間によって解決するしか手はない」


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