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マルチコア・コンピューティング

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[米国]
インテルとAMDが描く「モバイルCPU」のロードマップ

両社の開発競争は高速・低消費電力型のチップへ

(2007年03月12日)

インテルとAMDがノートPC向けプロセッサの開発でしのぎを削っている。両社とも、速さだけでなく消費電力の低さが雌雄を決するとみて、マルチコア化とともに回路線幅の微細化に力を入れている。ここでは、今年リリースされるものを中心に、両社の「モバイルCPU」のロードマップをまとめてみた。

ジョージ・ジョーンズ
Computerworld オンライン米国版

 ノートPCへの不満として、だれもが真っ先に挙げるのがバッテリ駆動時間の短さだ。多くのユーザーがデスクトップPCからノートPCへと移行する時代に、電源コンセントがなければ、わずか4、5時間しかPCを利用できないというのは、まったくもって時代遅れの感が否めない。

 ただ、ありがたいことに、インテルやAMDなどのチップ・メーカーはこの問題をよく理解しており、改善に向けた取り組みを積極的に進めている。電力性能比が向上すれば、内部温度の上昇を抑えることができ、電力消費の効率性もアップする。そうなれば、バッテリ駆動時間も大きく延びることが期待される。

 一般に、プロセッサの処理速度を上げると、バッテリによる駆動時間は短くなる。ところがインテルは、昨年リリースしたノートPC用のCore 2 Duoプロセッサで、処理性能を改善しながら電力消費を大幅に抑えることに成功した。このデュアルコア・プロセッサにより、インテルはAMDとの差を一気に広げようと攻勢をかけている。

 しかし、それをAMDが黙って見ているはずはない。収益に占めるモバイル・プロセッサの比重を考えれば、こうしたインテルの動きに対抗するべく、AMDが新プロセッサの投入を計画していることは容易に想像がつく。

 以下、AMDによる驚異的かつ斬新なCPUデザインへのアプローチも含め、モバイル・チップ市場における2007年の両社の動きを展望する。

モバイル・チップ市場をリードするインテル

 AMDはデスクトップPC向けチップの市場シェアでは優勢だが、モバイル分野ではインテルの独走を許している。インテルのCentrinoプラットフォームの圧倒的な人気が、その大きな理由だ。Centrinoは、特定のプロセッサとチップセット、および無線ネットワーク・インタフェースで構成されるモバイルCPUプラットフォームだ。

 Core 2 Duoプロセッサの成功やアップルとのパートナーシップは、モバイル・チップ市場でのインテルのシェア拡大に貢献した。この優位性を維持し、AMDとの差をさらに広げるため、現在インテルは2つの技術に注力している。1つは「Santa Rosa」(開発コード名)という新しいCentrinoモバイル・テクノロジー、もう1つは「Penryn」と呼ばれる新しいプロセッサ・アーキテクチャだ。

 また、インテルは今年第2四半期に、Santa Rosaとともに、現行のCentrino Duoプラットフォームをベースとする一連の新製品をリリースする。

インテルの命運を担うSanta Rosa

 今年第2四半期(おそらく4月)に、インテルは第4世代目のCentrinoプラットフォームとなるSanta Rosaを発表する予定だ。

 このSanta Rosaはインテルの命運を担うものになる。Core 2 Duoプロセッサのサポートに加え、Santa Rosaでは以下のような機能強化が行われる。

  • 800MHzフロントサイド・バス(FSB)。従来の667MHz FSBを高速化し、CPUの稼働状況に応じてクロック周波数を変化させるダイナミックFSBスイッチング技術を採用
  • GMA X3000統合モバイル・グラフィックス・パーツを組み込んだ、高速かつ発熱量の少ないMobile 965 Expressチップセット
  • Socket Pと呼ぶ新しいCPUソケット。上述の800MHz FSBに対応し、現行Socket Mをリプレース
  • 新しいワイヤレス・プラットフォーム「Kedron」(開発コード名)において、IEEE 802.11a/b/g仕様だけでなく、より高速な802.11nをサポート
  • 800MHz DDR2メモリをサポート
  • フラッシュ・ハードドライブ(NANDドライブ)をサポート
  • USBポート10個とSATAポート3個を搭載
  • 各種のソフトウェアやドライバ、拡張機能のブートを効率的に実行する、EFI(拡張ファームウェア・インタフェース)という新形式のBIOSを採用

 なお、Centrinoプラットフォームの派生バージョンに当たるSanta Rosaには、リリース時に「Centrino Pro」という名称が与えられる予定だ。

Core 2 Duoベースの低消費電力型プロセッサが登場

 インテルは今年上半期にさまざまなタイプのCore 2 Duoプロセッサをリリースする予定だが、その中には低消費電力型や超低消費電力型の製品も含まれている。そうした新製品は、驚異的な電力性能比を達成したCore 2 Duoプロセッサをベースに、よりハイレベルな電力性能比と空前のバッテリ駆動時間を実現している。

 まず第1四半期には、低消費電力型プロセッサとしては初のCore 2 Duoベースとなる「L7400」と「L7200」をリリースする予定だ(現行の低消費電力プロセッサは、旧式のCore DuoやPentium Mアーキテクチャがベース)。小型軽量のノートPCに最適なこの2つのCPUは、それぞれ1.5GHz、1.33GHzのクロック周波数で動作するほか、667MHz FSBで接続された4MBの共有L2キャッシュを搭載する。

 続いて同社は、第1四半期の終わりか、あるいは第2四半期の初めに、「L7500」(1.6GHz)と「L7300」(1.4GHz)をリリースする。いずれも4MBの共有L2キャッシュを搭載するが、これらの新しいモバイル・プロセッサは、L7200やL7400とは異なり、800MHz FSBで動作する。

 Santa Rosaのリリースと前後して投入されるのが、同社初の超低消費電力プロセッサ「U7500」だ。これまでの報道によると、このチップは533MHz FSBで動作する2MBの共有L2キャッシュを搭載した、1.06GHzのデュアルコア・プロセッサになるもよう。Centrino Proプラットフォームが800MHz FSBで動作するのに対し、U7500が533MHz FSBでしか動作しないのは、電力消費を抑え、バッテリ駆動時間を伸ばすためと見られる。U7500は、3ポンド(1.36キログラム)前後の軽量ノートPCに搭載される予定だ。

ハイエンド、ミッドレンジ、ローエンドのCore 2 Duoプロセッサ群

 第2四半期になると、インテルは高速な800MHz FSBで動作するCore 2 Duoモバイル・プロセッサ群をリリースする。先陣を切るのは、4MBの共有L2キャッシュを搭載する2.4GHzデュアルコア・プロセッサ「T7700」で、「T7500」(2.2GHz)や「T7300」(2GHz)、および「T7000」(1.8GHz)も同時期のリリースが予定されている。これらはいずれも800MHz FSBで動作し、4MBの共有L2キャッシュをサポートする。

 ありがたいことに、インテルは当面、Centrino Duoプラットフォームを見捨てることはしないようだ。同社は2007年第1四半期に、Centrino Duoのハイエンド・ラインとして、「T7600」(2.33GHz)、「T7400」(2.16GHz)、「T7200」(2GHz)の3つをリリースする。これらは667MHz FSBで動作し、4MBの共有L2キャッシュを搭載する予定だ。

 ミッドレンジ・クラスに目を移すと、2つのモバイル・プロセッサを第1四半期に出荷する。667MHz FSBと2MBの共有L2キャッシュをサポートする「T5600」(1.83GHz)と「T5500」(1.66GHz)がそれだ。第2四半期には、Centrino Proプラットフォーム上に構築したT5500の別バージョン「T5500P」も準備している。

 一方、ローエンド・クラスでは、Coreアーキテクチャをベースとする数種類の新しいモバイル・プロセッサ(開発コード名:Stealey)をリリースする。まずは第1四半期に、533MHz FSBで機能する512KBキャッシュ搭載のシングルコア・プロセッサ「Celeron M 520」(1.6GHz)を投入。続いて第2四半期に、同様の構成でクロック周波数を1.73GHzに上げた「Celeron M 530」をリリースする。

 このほか、「Gilo」という開発コード名のモバイル・プロセッサにも注目が集まっている。回路線幅が65nm(ナノメートル)という以外に詳細は不明だが、業界ではクアッドコア・プロセッサではないかとの憶測がもっぱらだ。今のところ、インテルはそうした憶測についてコメントすることを拒否している。

45nmチップ「Penryn」は今年末に

 インテルは昨年末、Penrynという開発コード名で知られる45nmチップのプロトタイプ作成に成功したと発表した。これと併せて、Penrynプロセッサの製造を今年下半期から開始することも明らかにしている。今のところ、この新しいプロセッサのリリースは今年末になるというのが業界観測筋の一致した見方だ。

 Penrynは、インテルのCoreアーキテクチャをベースとしているが、CPUダイは65nmから45nmへと圧縮されている。一般に、回路線幅が微細化するほどクロック周波数は上がり、熱効率が改善されて電力消費は低減する。

 インテルでは、45nm製造プロセスへ迅速に移行することで、市場での競争優位を維持できると考えているようだ。ライバルのAMDが45nm製造プロセスで生産を開始するのは、早くても2008年の半ばと見られるからだ。


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