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【連載】
エンタープライズ・オープンソース[ベスト・セレクション]
第1回 業務アプリケーション
(2008年03月12日)
もともとコミュニティ・ベースで開発が進められてきたオープンソース・ソフトウェアだが、今や多くの有力ベンダーがサポートし、企業が安心して利用できる環境が整っている。もちろん、OS、Webサーバ、メール・サーバなど、一部の分野では以前から企業利用が進んでいたが、最近は多様な分野において「エンタープライズ・オープンソース」が本格化しているのだ。本連載では、そうしたエンタープライズ・オープンソース・ソフトウェアを8分野に分け、各分野において特にすぐれたものを紹介していく。第1回となる本稿では、業務アプリケーション分野における秀逸なソフトを取り上げる。
Tom Yager/James R. Borck/Mike Heck
InfoWorld米国版
各分野の最優秀オープンソース・ソフトウェアを選定する
Best of Open Source Software Awards
それほど遠くない昔、オープンソース・ソフトウェアは貧者のソフトウェアだった。みすぼらしいドキュメント、粗雑で古臭いWebサイト、いつまで経ってもベータ版のまま――こうした芳しくないイメージが付きまとっていた。だが、オープンソース・ソフトウェアは今日、ビッグ・ビジネスになりつつある。
オープンソースの“負け組”から“勝ち組”への転換には、よい面も悪い面もある。よい面は、商業化でプロジェクトが洗練され、機能性や方向性が明確になることだ。使い勝手が悪く、ドキュメントが不完全だった「JBoss」も、Red Hatによる買収後、磨きがかけられていった。
悪い面は、機能拡張が行われるとプロプライエタリな技術として囲い込まれてしまうことだ。例えば、ScalixがOutlook連携機能のソースコードを公開しなかったことに腹を立てたユーザーもいるだろう。それでも、プログラムの大部分をオープンソース・モデルで賄えば、クローズドなソフトウェアだけを利用する場合よりも、多くのことを自分たちで行えるようになり、投資保護のメリットも大きい。
今日のオープンソース・ソフトウェアの中には、商用ソフトウェアとして支持を得た後にオープンソース化されたものもある。RIA開発プラットフォーム「OpenLaszlo」は、オープンソース化に成功したものの1つだ。このオープンソース化で提供元の米国Laszlo Systemsは、インストール・ベースを拡大しただけではなく、AdobeによるFlexのオープンソース化への道のりを整え、時代の寵児となった。
エンタープライズ・オープンソース・ソフトウェアの成長には、商業的なサポートが不可欠だ。オープンソースの提供には、開発者、テクニカル・ライター、インストラクター、ヘルプデスク、展示会出展など、さまざまなコスト要因が存在している。ユーザー企業も、オープンソースがソフトウェア投資を不要にするといった話が幻想にすぎないことを理解すべきだ。
今回が第1回目となるBest of Open Source Software Awards(BOSSIE)で、われわれはITの主要分野から、特にすぐれたオープンソースを選出した。オープンソースは今、エンタープライズ・コンピューティングのあらゆる領域に進出しているのだ。以下では、エンタープライズ・コンピューティングを支える業務アプリケーション分野で多くのユーザーから支持を集めるオープンソース・ソフトウェアを紹介しよう。
業務アプリケーション
CRM、ERP、CMS、ポータル、コラボ……業務アプリ分野でもオープンソースは多方面に展開
軽量・低価格なCRMアプリケーションを熱望する声は、Salesforce.comのようなSaaSベンダーに大きな成功を、そしてオープンソースに絶好のチャンスをもたらした。ERP分野においても、苦難の道のりを経ながら選択に迷うほど数多くのオープンソース・ソフトウェアが登場している。また、ポータルやCMS(コンテンツ管理システム)のオープンソース版を探しているなら、決して失望することはないだろう。
優秀な開発コミュニティも高評価を得た「SugarCRM」
CRMのトップ・チョイスは、オープンソースCRMのパイオニア「SugarCRM」だ(画面1)。インストール方式、ホスト方式、ドロップイン・アプライアンス方式という3つの利用形態が用意され、多様なニーズに対応できるとともに、Ajax(Asynchronous JavaScript+XML)インタフェースの採用でエンドユーザー側の操作性も配慮している。また、オフライン利用のためのクライアント同期機能も利便性にすぐれ、OutlookやWordとの親和性も高い。
| 画面1:「SugarCRM」が提供するダッシュボード。新しいチャート生成/表示機能を備えている |
今でもSugarCRMは、その洗練度をますます高めている。最近リリースされた5.0のベータ版では、チャート生成/表示機能が改良されたダッシュボードや、Ajaxメール・クライアント、フィールド・レベルのアクセス・コントロールといった機能強化が行われた。加えて、新しいカスタム開発キットを使うことで、特定の業種・業態に特化した機能の開発も容易に行えるようになっている。
機能以外の面については、すぐれた開発者コミュニティの存在も高評価につながった。コミュニティのおかげでSugarCRMは、VoIPとの統合をはじめとする各種のプラグインや拡張機能のライブラリが充実している。
オープンソースCRMの世界には、「Concursive(旧Centric CRM)」や「CentraView」、「openCRX」など、SugarCRMのライバルは多い。特に手ごわいのは、JavaベースのConcursiveだろう。顧客サービスやSFA(Sales Force Automation)向けのチーム・コラボレーション・ツールに加え、オープンソースのリード・ジェネレーション・ツール・ベンダー、米国LoopFuseとの連携の下に強力なオンライン・マーケティング・ツールを提供している。最近、Intelからの出資を受けたことも気になるところだ。
オープンソース化が難しいERP市場で健闘する「Openbravo」
SAPとOracleという2大ベンダーが支配してきたERPは、複雑なことで知られている。また、収益に直結していることから、ユーザーは混乱しそうなことは避けたいという意識が強く、ERPの改革スピードは遅い。こうしたことが、「Apache OFBiz(Open for Business)」や「Compiere」、「ERP5」、「Openbravo」、「OpenMFG/Postbooks」、「TinyERP」といったオープンソースERPの普及を困難にしている。加えて、これらは、バックオフィス機能やユーザビリティ、統合性などの面で「NetSuite」のようなSaaS型ERPより見劣りするのも事実だ。
それでも、中小企業向けのERP、Openbravoは注目に値する。このオープンソースERPは、資材調達や価格設定、倉庫および在庫管理、製造、財務会計といった一般的な業務管理で力を発揮するだろう。MRP(資材所要量計画)、販売/CRMモジュールもすぐれており、多段階プロジェクト管理やパートナー関係管理機能も秀逸だ。
HRM(人材管理)や顧客向けWeb、ドキュメント管理といった機能はないが、Openbravoのビジネス・インテリジェンス(BI)やバランス・スコアカード機能は、アドオン開発用のJava開発フレームワークとともに、エンタープライズ・レベルの信頼性を確保している。最近、リポート生成用のJavaライブラリ「JasperReport」が追加され、PDFやExcel、HTMLといった形式で見栄えのよいリポートを作成することも可能になった。
以上のような理由から、今回のBOSSIEには、Openbravoを選出した。だが、Compiereも注目に値する。2006年に開発メンバーの一部が離脱し、オープンソース業務アプリケーション開発の新プロジェクト「ADempiere」を立ち上げたことから、勢いは若干スローダウンしたものの、CompiereのPOSおよびCRMモジュールは一見の価値がある。
Apache OFBizについては、支持する声は多いが、これを扱うには高い技術力が求められる。ユーザー企業よりも、むしろSIerのサービス提供などの分野で活躍の場を見いだすことだろう。
もう1つ気になるのは、米国xTupleの「OpenMFG」である。これは、すぐれたリポート機能を備えたWindowsベースの製造業向けERPである。ライトウエイト版の姉妹ソフトウェアであるPostBooksとは異なり、オープンソースではないが、xTupleは社内カスタマイズのためにソースコードを提供している。
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- 第1回 業務アプリケーション
- 第2回 ネットワーク
- 第3回 プラットフォーム/ミドルウェア
- 第4回 セキュリティ
- 第5回 モニタリング
- 第6回 ストレージ管理
- 第7回 開発言語
- 第8回 開発ツール



