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[米国]
【Red Hat Summit 2008】
「仮想化は次世代のOS」――レッドハットが狙うオープンソース革命“再び”
ハイパーバイザとセキュリティ管理製品からなる「オープンな仮想化プラットフォーム」を強調
(2008年06月19日)
アイデンティティ/ポリシー/監査機能を提供する「FreeIPA」
2つ目は、仮想化環境の運用で求められるセキュリティ管理機能の提供だ。こちらを担うのは「FreeIPA」と呼ばれるオープンソース・プロジェクトで、すでに2007年よりベータ版が公開されていたが、今回、Red Hat Summitの開催に合わせて、Release 1と呼ばれるフェーズの製品版が公開された。
IPAはIdentity、Policy、Auditの略で、ユーザーが構築した仮想化環境において、アイデンティティ/ポリシー/監査の各管理機能を中央集中型で提供する。同ソフトは、業界標準のLDAPディレクトリ・サーバおよびKerberos認証サーバをサポートしている。
現状、仮想化環境のセキュリティは、ユーザー企業の多くが懸念する課題となっている。Red Hatによると、FreeIPAのベータ・テストには金融業界のユーザー企業が多く参加し、同業界の厳格なコンプライアンス・ニーズを満たせるかどうかが試されたという。同社は、今後、FreeIPAが、NIS(Network Information Service)のような旧来のユーザー情報共有/管理技術を置き換えていくものになると見ている。
なお、現行のFreeIPAは、IPAの「I」、すなわちアイデンティティ管理機能のみが実装されており(シングル・サインオン機能)、残りの2つは、2008年11月にリリース予定のRelease 2と呼ばれる開発の第2フェーズで実装されるという。
コンファレンスの基調講演では、同社の製品/技術を統括するエグゼクティブ・バイスプレジデントのポール・コーミア(Paul Cormier)氏が、仮想化管理プラットフォームのエコシステムを築き、それをRed Hatが主導して盛り上げていくと語った。
「仮想化とは、すなわち新しい世代のOSである。これからは仮想化について、これまでのOSを語るような形で検討していく必要がある。現在、仮想化製品の主流はプロプライエタリだが、われわれは、オープンソースの仮想化管理プラットフォームにユーザーからの強いニーズがあることを認識している」(コーミア氏)
| Red Hatのエグゼクティブ・バイスプレジデント、Paul Cormier氏は来場者に向かって、「仮想化プラットフォームは次世代のOSだ」と強調した |
金融業界の高度な要件を満たす「Red Hat Enterprise MRG」の進捗
仮想化以外のトピックとして、RHELにメッセージング/リアルタイム/グリッド機能を統合したディストリビューション「Red Hat Enterprise MRG(Messaging、Realtime、Grid)」の進捗状況がデモと共に説明された。
Enterprise MRGは、メッセージングやトランザクションの高速処理が要求される金融サービス業界向けのディストリビューションとして、昨年12月にベータ版が発表されていた。以降、Red Hatは顧客(JP Morgan Chase、Credit Suisseなど)やパートナー(IBM、Cisco Systemsなど)と共に、製品版に必要な機能、パフォーマンス、品質の実現を目指して開発に取り組んできたという。
Enterprise MRGで核となる2つの新しい技術がある。1つは、MRGの「M」にかかわる、システム間におけるメッセージの表示方法/処理方法などを規定したプロトコル「Advanced Message Queuing Protocol(AMQP)」だ。その策定は、Cisco Systems、Credit Suisse、JP Morgan Chaseなどが支援してきた。
もう1つは「G」にかかわるグリッド技術で、こちらはWisconsin大学で20年にわたって研究開発が進められてきたグリッド・スケジューラ「Condor」がベースとなっている。ただし、現時点のRed Hat Enterprise MRGは、このグリッドの部分のみ技術プレビュー版というフェーズになっていて、今後、Red HatはCondorの研究開発プロジェクトへの出資やOSI(Open Source Initiative)ライセンスに基づくソース・コード提出などを継続しながら、製品版にグリッド機能を実装していく構えだ。
「仮想化は次世代のOSである」――エンタープライズLinuxディストリビューションとして多くの実績を持つRHELのアドバンテージを生かす形で、Red Hatは仮想化製品市場への本格参入を果たした。この市場では、基本的にはプロプライエタリな製品がすでにシェアを積み上げている。そうしたなかで、後発も後発、ただし、Linuxベースのオープンな仮想化プラットフォームの提供という明快な特徴を持った同社のアプローチが、どこまでユーザーの支持を得られるかに興味をひかれる。
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