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【インタビュー】
クラウド・コンピューティングでアウトソーシング産業の拡大をねらう中国

米国IBM副社長が語るクラウド・コンピューティングと中国政府の戦略

(2008年07月04日)

中国の無錫(ウーシー)市は先ごろ、IBMと共同で商用クラウド・コンピューティング・センターを開設し、その概要が、今年6月に行われた「LinuxWorld Expo/Tokyo 2008」の基調講演で披露された。ここでは、その講演を行った米国IBMの副社長、マット・ワン(Matt Wang/王麦特)氏に、クラウド・コンピューティングのの本質的なメリットと、ウーシー市の戦略についてあらためて聞く。

Computerworld.jp

「LinuxWorld Expo/Tokyo 2008」で、中国・無錫(ウーシー)市のクラウド・コンピューティング・センターの概要を紹介する米国IBMのマット・ワン(Matt Wang/王 麦特)氏(IBM Software Technical Sales&Services Vice President)。
――まずは、クラウド・コンピューティングの基盤と、従来のデータセンターとの違いについて説明していただきたい。

 クラウド・コンピューティングは、新しいコンピューティング・モデルだが、それはある意味で、データセンターの一形態とも言えるし、最も先進的なデータセンター・モデルとも言える。

 クラウド・コンピューティング・モデルを採用したデータセンター(クラウド・コンピューティング・センター)と、従来型のデータセンターとの大きな違いは、特定の用途、ないしはユーザーのために、ITリソースが固定的に割り振られているかどうかにある。

 ご存じのように、従来型のデータセンターでは、特定の処理、ないしはユーザーのために、ITリソースが固定的に割り振られている。対するクラウド・コンピューティング・センターの場合、ユーザー側は、センター内のどのマシンで、自分たちの処理が行われているかは見えないし、それを知る必要もない。つまり、クラウド・コンピューティング・センターでは、仮想化の技術により、きわめてダイナミックにITリソースの割り振りが行われるわけだ。

 その結果、ユーザーは、自分たちの処理に何台のマシンが必要なのか、または、使われているかを意識する必要はない。契約時に合意したサービス・レベルを、センター側が満たしているかどうかをチェックするだけで済むのだ。

 さらに、従来型のデータセンターでは、ユーザーによるシステム(ITリソース)拡張の要求に対応するまで、一定の期間を要していた。対するクラウド・コンピューティング・センターでは、ユーザーの要求に応じて、ダイナミック、ないしはオン・デマンドで、必要な分のITリソースをアロケートできる。この点は、クラウド・コンピューティング・センターと、従来型のデータセンターとの最大の違いと言えるだろう。

――そうしたコンピューティング・モデルは、従来からあるユーティリティ・コンピューティングやグリッド・コンピューティングのモデルに似ているが、何か違いはあるのか。

 確かに、ユーティリティ・コンピューティングやグリッド・コンピューティングのコンセプトと、クラウド・コンピューティングのそれは似通っている。ただし、ユーティリティ・コンピューティングは、ビジネス・モデルであって、技術的なモデルではない。かたや、グリッド・コンピューティングは、仮想化ベースの分散コンピューティングを実現するためのテクノロジー・モデルだ。一方、クラウド・コンピューティングは、サービス指向のコンピューティング・モデルと言えるだろう。

 確かに、クラウド・コンピューティング基盤を構成する重要な要素技術は仮想化の技術であり、その点で、グリッドの技術が取り込まれていると言える。

 ただし、クラウド・コンピューティングは、あくまでもサービス指向のモデルであって、それを実現するために、別に複数のコンピュータを使う必要はない。サーチ・サービスや財務管理サービスなど、各種のサービスを、オン・デマンドで、かつ、ユーザーが満足するパフォーマンスで提供できれば、それでいいわけだ。

 ちなみに、サービス指向アーキテクチャ(SOA)は、技術的な視点で見ると、オブジェクト指向のコンポーネント・モデルに似ているが、「サービスの視点」が中心にあるという点で、オブジェクト指向のアーキテクチャとはやはり異なる。クラウド・コンピューティングと従来のコンピューティング・モデルとの違いも、それと同じと考えてもらえばよい。


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