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【解説】
「ダビング10」騒動で、日本のコンテンツ市場を憂う
利用者を軽視したガチガチの著作権保護がコンテンツ産業を衰退させる
(2008年07月25日)
デジタル技術の進化で、音楽や映画といったコンテンツが簡単に複製できるようになった。その事実に大きな危機感を抱いているのが、コンテンツ著作権団体である。デジタル放送が拡大するに従い、「コンテンツの複製が拡大すれば、著作権侵害が横行する」と主張し、複製に対する規制強化に躍起になっている。その“騒動”が露呈したのは、「ダビング10」を巡るドタバタだった。本稿では、このダビング10に焦点を当て、著作権団体と機器ベンダーらの主張を紹介するとともに、日本の著作権保護対策が抱える課題をつまびらかにする。――コンテンツはだれの、そして何のために存在するのか――。読者諸君もいっしょに考えてほしい。
元麻布春男
すったもんだで1カ月遅れ最後は経産省が調整役に
ここ数カ月間、さまざまな議論がなされ、メディアをにぎわせてきたダビング10(※1)の運用が、7月4日午前4時から開始された。一度は6月2日午前4時からの開始が決定されたにもかかわらず、情報通信審議会、および情報通信政策部会の「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」での合意が得られず延期されていた。デジタル放送推進協会(Dpa)は、約1カ月遅れで(やっと)スタートにこぎつけたわけだ(図1)。
| 図1:ダビング10とコピー・ワンスの仕組み |
この最終決定は非常に慌ただしかった。まず6月17日、文部科学省と経済産業省が、私的録音・録画補償金制度(※2)の対象にBlu-ray Discを追加することで(唐突に)合意する。そしてこれを受けるかのように総務省は6月18日、「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会(第40回)」を翌日に開催すると告知。同委員会で7月4日のスタートが確定したのである。
この決定は、地上デジタル放送への移行を促進したい総務省が、私的録音・録画補償金の対象にBlu-ray Discを追加することで、文部科学省(著作権団体側)と経済産業省(録音/録画機器ベンダー側)とを手打ちさせた……とも受け取られかねない決着だった。
なぜ、これほどまでにダビング10の運用開始はこじれたのだろうか。それは、私的録音・録画の制限を求める著作権団体が、現行のコピー・ワンス(※3)から制限を緩和することになるダビング10の導入自体に反対した(現在でも反対している)こと、そして制限を緩和するのであれば、それに応じて補償金対象の拡大を要求したからである。
これに対して録音/録画機器ベンダー側は、DRM(Digital Rights Management:デジタル著作権管理)などの技術を適切に利用すれば、補償金制度は縮小させられるというスタンスだ。両者の主張が真っ向から対立しているのだから、話が簡単にまとまるハズがない。
※1 ダビング10:デジタル放送を録画した内容を、10回までコピーできる運用ルール。同ルールに基づくコピーを行うためには、ダビング10対応の録画機器を購入するか、既存の録画機器のソフトウェアをアップデートする必要がある。
※2 私的録音・録画補償金制度:1993年6月1日の著作権法改正によって設けられた制度。従来、私的使用目的であれば、個人または家庭内での複製は認められていた。しかし、同改定によって政令で定められたデジタル方式の機器/媒体(詳細は12ページの表1参照)に録音・録画する場合には、一定額の補償金を著作権者に支払わなければならなくなった。補償金の支払いは機器の購入時に文化庁長官に認可された補償金規定に従い、購入者から製造販売業者を通じて指定団体に支払われる。
※3 コピー・ワンス:デジタル放送を録画した内容を1回だけコピーできる運用ルール。2004年4月5日から2008年7月4日(午前4時)まで適用されていた。同ルールには「コピー中に不具合が発生したため、オリジナル・データが消滅した」といったユーザーからの苦情が多々寄せられていたという。
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