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[米国] 【北京オリンピック】
北京の映像をリアルタイムに米国で編集――シスコのWAN技術が変えたNBCの五輪放送

「現地で映像編集→米国へ送信」は過去のものに

(2008年08月11日)

米国NBC Universalのスタッフは、6,000マイル離れた北京でのオリンピック映像を、米国にいながら、ほぼリアルタイムで編集している。同社はかつては現地に編集スタッフを派遣していたが、今ではその必要はなくなった。米国Cisco SystemsのWAN高速化技術が米国内での作業を可能にしたのだ。

Stephen Lawson
IDG News Serviceサンフランシスコ支局

1時間の高解像度映像でも3分で米国に転送

 デジタル・フィルム形式で撮影された北京オリンピックの試合映像は、現地スタッフの手に渡されるのではなく、そのままニューヨークやその他の北米地域へはるばる転送され、米国在住のスタッフによって編集される。Ciscoによると、北京から6,000マイル離れたニューヨークにいながら、映像をリアルタイムで編集できるという。

NBCが開設した北京オリンピックのWebサイト

 これは、Ciscoの独自技術「Wide Area Application Services(WAAS)」によって初めて可能になった。太平洋海底に敷設されているケーブルは現在でも十分な太さがあるが、Ciscoが同技術によりこれをさらに強化したことで、NBCは従来以上の大容量コンテンツを配信できるようになり、400名を超える社員を北京に派遣する必要もなくなったのである。

 2週間にわたる北京オリンピック開催期間中、NBCは過去の夏期オリンピック全中継時間を合わせたのよりも長い、3,600時間に及ぶ放送を予定している。NBCはテレビ放送に加え、Web上で2,200時間のオンデマンド放送を視聴できるようにし、さらに3,000時間ぶんのハイライト放送およびその他の映像コンテンツの提供を予定しているという。

 NBCが北京から米国へ映像データを送信するのに用いるIPネットワークは、3本の150Mbps回線から構成されており、Ciscoの「12004/4」ルータを経由して1本の450Mbps回線として使用されることになる。ここでは、高解像度映像は400Mbpsで、音声は20Mbpsで転送できる帯域がQoS(Quality of Service)技術によって確保されている。これだけの帯域があれば、1時間ぶんの高解像度映像ファイルをわずか3分で米国へ転送できる。

まるで北京にいるかのような感覚

 Ciscoのアプリケーション配信事業部バイスプレジデント兼ゼネラル・マネジャー、ジョージ・クリアン(George Kurian)氏によると、遠隔地から映像を編集する新システムについても、このWANを使ってサポートするという。具体的には、エンコード技術によって低解像度化した映像を編集用として提供している。

 試合やイベントが高解像度映像として撮影されると、Ciscoの映像エンコード技術がこれらのデジタル・フィルムを容量の小さな低解像度MPEG-4ファイルへ変換する。米国内のビデオ編集スタッフおよび番組編成スタッフは、解像度の高いオリジナル・データの代わりに、こうした低解像度の映像を編集するので、実際には放送しない映像をWAN帯域を消費してまで転送せずに済む。

 米国内スタッフが選んだ放送対象に関する情報は北京に送り返され、それを基にどの高解像度映像を太平洋越しに中継するのかが決まるという仕組みだ。

 MPEG-4ファイルと、さまざまな種類のデータ・トラフィック(試合のスコアや北京入りしているリポーター用のテレプロンプト原稿など)を送信するのに使用されているのは、同回線の35Mbps帯域のみである。だがWAASの場合はこの帯域を140Mbpsに相当させることが可能だと、クリアン氏は述べている。WAASは、TCP/IPネットワークにつきもののレイテンシー(遅延)を短縮できるのだ。

 さらにWAASは、コマが変わっても動かない静止物などをビデオ・ストリーム中から認識し、それらの送信を一度かぎりにする機能も備えている。「データが重複していることを(WAASが)教えてくれるので、差分データだけを送れるようになり、帯域を節約できる」(クリアン氏)

 WAASは、北京と米国を隔てる距離を実質的に消し去ったと言っても過言ではない。「ニューヨークのスタッフたちは、まるでその場でアプリケーションを使用しているかのように感じているはずだ」(クリアン氏)

(Computerworld.jp)




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