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【解説】
だれもいない「Second Life」
――仮想世界を生かしきれない企業の実態
Webよりも洗練された仮想体験を提供できなければ、ビジネス参入の意味はなし
(2008年04月10日)
いまや絶大な人気を誇るようになった仮想世界の「Second Life」。企業の中にはこの新しいサイバー・スペースを利用しようと躍起になっているところもあるようだが、実際のところ、本当に活用できているのだろうか。本稿では、Second Lifeの世界に迷い込んだ“ストレンジャー”である筆者が、Second Lifeのビジュアルや機能面などに関して率直な意見を述べつつ、企業の利用状況、その“現在地”を1週間にわたる検証結果を振り返りながら報告する。
Gary Anthes
Computerworld米国版
Second Lifeとは、死後の世界のことではなかった
最近まで私は、「Second Life」とは聖書における死後の世界のことを言っているのだと思っていた。しかし、今では、Second Lifeとは仮想世界のことで、世界中のコンピュータから膨大な量の情報が集まる場所であり、何よりも冒険やロマンス、ビジネス、あるいは単に娯楽を求めて集まる数百万人ものユーザー感情が具象化された空間であるということを理解している。
Second Lifeが何であるかを理解できたのは、担当編集者に勧められて試してみたからだ。この編集者から、Second Lifeについて何かしら記事を書いてほしいと頼まれたわけだが、もしこのような依頼がなかったら、私はSecond Lifeを詳しく知ろうとは思わなかっただろう。バーチャルな性体験を求める20代向けのアダルト・サービスのようなもの(と私は思っていた)にチャレンジするには、私は年を取りすぎているし、堅物すぎると思っていたのだ。
Second Lifeを始めるにあたって、私は2つのことを懸念していた。1つは、結婚生活を危うくしたり、仕事に支障をきたしたりするような秘密を告白するよう迫られるのではないかということだ。もう1つは、Second Lifeに完全にハマってしまうことだ。私はすでに“電子メール中毒”と“Webサーフィン中毒”の一歩手前であり、ふと気づけば午前3時にアバターを操りサイバー空間をうろついていた、などという事態には陥りたくないのである。
そこで担当編集者にこんな質問をぶつけ、せめてもの抵抗を試みた。「Second Lifeのどこに企業ITとの接点があるというのか。それよりも、『サーバ1,000台分のWindowsを労せずLinuxに置き換える方法』や『VSAMファイルをソートする10の方法』といった記事のほうがよいのではないか」
すると担当編集者は、ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏がSecond Life経由で主要なITコンファレンスに登場したり、Hewlett Packard(HP)がバーチャル・オフィスで就職面接を行ったりしているのだから、見るべきものはあるはずだと言う。それならば実際にやってみることで、何かしら企業ITとの接点も見えてくるだろうと始めたわけだ。
月曜日
Second Lifeの情報を収集する
はじめに行ったのは情報収集である。すると、確かにSecond Lifeにはバーチャル・セックスといったものも存在するが、ほとんどのユーザーはそれを目的にはしていないことがわかった。また驚いたことに、Second Lifeでは本物のお金を使用でき、多くのユーザーが実際にそうしているという。
次に、Second LifeのWebサイトにアクセスしたのだが、Webページのフォントが非常に小さく、Firefoxで2倍に拡大しなければ読むことができなかった。やはり、20代のユーザーがメイン・ターゲットなのだろう。
ここでアカウント登録を済ませ、クライアント・ソフトウェアをダウンロードする。本物のクレジットカードを使用して「リンデン・ドル」と呼ばれる仮想通貨を購入することもできたが、今回はやめておいた。
| 画面1:Second Lifeではアバターをさまざまな姿に“変身”させることができる |
次に氏名を決める。姓はあらかじめ決められたリストの中から選ぶ必要があるが、名は自由に付けられる。私は、この世界では「アイコン・シルバースパー(Icon Silverspar)」と名乗ることにした。名前が決まると、デフォルトで用意されている男女別の簡素な姿のアバターが与えられる。だが見たところ、ほとんどのユーザーは、アバターの外見をいろいろと変えているようだった(画面1)。
Second Lifeの世界に入ってきたばかりの新人は、まず、オリエンテーション島で4つのチュートリアルをこなさなければならない。このうち3つは簡単なものだったが、残りの1つはどうしても終えることができず、不本意ではあったが、同僚に助けを求めざるをえなかった。結局、この最初のステップには相当な時間を費やすことになり、かなりのフラストレーションを感じた。
しかし、始めたばかりのこの段階にして、仮想世界での情緒的な体験を早くも味わうことができた。若くてかわいらしいアジア系の女性アバターが声をかけてきたので、二言三言あいさつを交わしていると、私の(本物の)電話が鳴った。5分後、電話を終えてPCに戻ると、彼女がいらいらした様子で、「話しかけて!」と叫んでいたのだ。謝ろうとしたが時すでに遅く、彼女は立ち去ってしまった。
この感じのよい女性を無視する格好になってしまい、大変申し訳なく思った。しかし、この出来事は、理解しているつもりでいたが実際にはそれほど真剣に考えてこなかったこと、つまり、画面に映っているアバターの向こうには本物の人間がいるという事実を再認識するよいきっかけとなった。
火曜日
なかなか慣れない……
結局、チュートリアルをクリアするのに同僚の手助けは得られなかったが、Second Lifeのユーザー・インタフェース(UI)には少々お粗末なところがあるので、細かいことは気にせず先に進んだほうがよいと、その同僚はアドバイスしてくれた。そこで、すべてを覚えようとするのはやめて、出会った住人にどんどん話しかけてみることにした。そうすれば、彼らに教えを請うこともできるだろう。
その後、オリエンテーション島からヘルプ島へは比較的簡単に移動できたが、ここでは何の助けも得られず、そのうえ島から脱出できなくなってしまった。同じく住人になったばかりの新人に偶然出会ったので、大都市などのもっとおもしろい場所へ行くにはどうすればよいのか尋ねてみた。
その彼女によれば、新人がこの島から出るには「グリーター」がやって来るのを待つ必要があるという。彼女はそのグリーターを待っているところだったので、私もいっしょに待つことにした。だが、しばらく待っても一向にだれも現れない。私は待つのをあきらめていったんログオフし、すぐさまAmazon.comで『A Beginner's Guide to Second Life version 1.1』を注文した。

























