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【解説】
ユニファイド・コミュニケーションの現状と課題を探る

過去のUCブームとは何が変わっているのか/導入のメリットは/本格普及の条件は……

(2008年05月09日)

UC再脚光のキーワードは小・中規模拠点へのアプローチ

 UCの概念自体は新しいものではない。それどころかIM、ビデオ会議、ボイス・メールなど個々の機能は、10年近く前から登場している。すでにこれらを業務で利用している人も多いはずだ。

 では、なぜ今、UCが再注目されているのだろうか。

 IDC Japanでコミュニケーションズリサーチマネジャーを務める眞鍋敬氏は、「VoIP機器ベンダーが小・中規模の拠点(企業)を対象に、積極的にUCのメリットをアピールしているため」と、その要因を語る。

 データと音声を統合するVoIPは、企業の通信コストの大幅な削減を武器として、大規模拠点を中心にユーザー数を伸ばしてきた。眞鍋氏は、大規模拠点のVoIP導入が一段落したことで、今度は小・中規模企業をターゲットとした新規ユーザーの開拓が進むと指摘する。

 一般的に小・中規模企業は、利用する電話回線が少ない。そのため運用コストの削減を武器に、VoIP機器の導入を訴えることは難しい。全体的にIP化は進んでいるというものの、VoIP機器自体の価格は低下が進んでいる。こうした状況を打破するため、VoIP機器ベンダーを中心に“付加価値の高いサービス”であるUCを提供しようという動きが活発化しているというのだ。

 「仮に小・中規模企業がVoIPに積極的になったとしても、VoIP機器の市場成長率が年率10%以上に達するとは考えにくい。VoIP機器ベンダーがUCを切り口にすれば、“生産性の向上”や“コスト削減”といった付加価値をアピールできる」(眞鍋氏)

 言うまでもなくUC導入のメリットは、業務効率および生産性の向上である。UCを導入すれば、在席しているかどうかわからない相手に電話をかけなくて済むし、連絡先を探すために名刺入れをひっくり返したり、過去のメールを読み返したりする必要もない。さらにWeb会議を利用すれば、“時間とカネ”をかけて会議に出席するといったことも不要になる。以前は、こうした環境を享受できたのは、自社でIP電話を導入している大規模企業に限定されていた。しかし、最近では企業に必要なUCのツールをSaaS(Software as a Service)モデルで提供するベンダーも登場しており、UC導入の敷居はかなり低くなっている。

画面1:日本テレワーク協会のWebサイト。行政の動向を把握するのには役に立つ

 もちろん、ネットワーク・インフラが整備されつつあることも、UCが再注目される一因となっている。ネットワークのブロードバンド化が進み、低価格で音声や映像をやり取りできる通信環境を享受できるようになったことは大きい。また、携帯電話と無線LANの両通信に対応した、モバイル・デュアル端末などの製品も登場している。さらに2008年4月に商用サービスが開始されるNTTのNGN(Next Generation Network:次世代ネットワーク)や、日本政府のIT戦略本部が掲げる「テレワーク」の推進も、UCの実用化に追い風となっているようだ(画面1)。

 これらを総合的に判断し、ベンダー各社は現在をUCの普及に向けた好機ととらえ、そのメリットのアピールに再注力しているというわけである。

 眞鍋氏は、「UCはハードウェアとソフトウェアで構成されるため、市場の伸びしろも大きい。将来的にはUC市場全体が年率30%で成長していく可能性もある」と話す。


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