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【解説】
SOA導入の「阻害要因」とそれを踏まえた「現実解」

課題を解決しうる「設計図の参照」や「ミドルアウト型アプローチ」

(2008年04月28日)

変化するビジネス環境に柔軟かつ迅速に対応しうるIT環境を実現するうえで、SOA(Service Oriented Architecture:サービス指向アーキテクチャ)の利用が有効と言われている。しかし、ベンダー各社がさまざまなSOA関連製品を出荷し、積極的なプロモーションを行っているにもかかわらず、ユーザー企業におけるSOAの導入はそれほど進んでいない。本稿では、SOA導入にまつわる現実の課題を明らかにしたうえで、ユーザーが進むべき新たな道筋を示したい。

生熊清司
アイ・ティ・アール シニア・アナリスト

国内ユーザー企業におけるSOA導入の現状

 ビジネス・モデルの革新、業界再編、グローバル化、法規制の強化──今日、ビジネスを取り巻く環境は加速度的に変化しており、企業のIT部門には、そうした動きに迅速に対応可能なITシステムの構築が求められている。その方法として有効とされているのがSOAであるが、実のところ、このアーキテクチャの導入はどの程度まで進んでいるのだろうか。

 アイ・ティ・アール(ITR)では、2001年から継続して「IT投資動向調査」を実施しており、主要なITトレンドについてのユーザー企業における重要度と実施状況を調査してきた。SOAに対しては、2005年度より「SOAによるシステム構築」の導入状況を項目に加え、確認している。同項目の実施率は年々増加してはいるものの、2007年度でも3.5%と非常に低い値にとどまっている(図1)。


図1:SOAによるシステム構築の実施率

 また、2005年度に「1年〜3年以内に実施予定」と回答した企業は13.0%であったにもかかわらず、2007年度に「すでに実施」と回答した企業は2005年度から1.6ポイントしか増えておらず、検討したとしても実際の導入には至らない場合が多いと見られる。さらに、「まだ検討していない」と回答した企業も6割以上を占めている。

 こうした調査結果から、国内企業におけるSOA導入の現状は、一部の先進的な企業での取り組みに限定されていることがうかがえる。さらに同調査では、IT動向に関しての重要度指数(注1)および3年後の2010年度の実施率に関しても確認を行っているが、「SOAによるシステム構築」に関する重要度指数は1.9ポイントで、13項目中9位と下位に甘んじている結果であり、3年後の実施率も27.7%で13項目中10位と、この先も積極的な動きが見られないという状況だ(図2)。


図2:主要なIT動向の重要度指数と実施率の変化

注1:本調査での重要度指数とは、重要度についての重みづけを「高い=5ポイント」「中程度=3ポイント」「低い=1ポイント」で行い、各項目の有効回答数で除した値のこと

 また、ベンダー各社が公表しているSOA関連のユーザー事例を見ても、これぞ理想的なSOAといった事例はわずかで、例えば、Webアプリケーション・サーバによる単なる3層構造システム、WebサービスのプロトコルであるSOAP(Simple Object Access Protocol)の利用、混在したアプリケーション環境でのアイデンティティ管理の統合、EAI(エンタープライズ・アプリケーション統合)やBPM(ビジネス・プロセス管理)によるアプリケーション連携など、ミドルウェアの活用事例の域を出ないものが大半を占めているようだ。

 これらのことから、国内における現状としては、“SOAの本質”をシステムに反映させた本格的な事例はごく一部にとどまり、全社的な戦略に基づいての導入というよりも、SOAを実現するためのミドルウェア製品の導入によるアプリケーション連携の実現といった選択的な採用が主流であると見なすことができる。


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