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【解説】
「GPUコンピューティング」の可能性――高速汎用計算に挑む
GPUの汎用的な計算処理への応用で、ベクトル型HPC市場を切り開くか
(2008年06月30日)
今、ベクトル型HPC(High Performance Computing)市場で新たな潮流が生まれつつある。画像処理専用プロセッサであるGPU(Graphics Processing Unit)を汎用的な計算処理に利用しようとする「GPUコンピューティング」がそうだ。GPUは、画像処理に特化することで、汎用的なCPUとは異なる独自の進化を遂げた結果、CPUよりも格段に高い処理能力を持つに至った。その高度な処理能力を画像処理以外の用途に応用しようという取り組みだ。本稿では、HPC市場の現状やGPUコンピューティングへと至るGPUの進化の過程などを通じて、GPUコンピューティングの全体像をひも解いていく。
中村維男
英国インペリアル・カレッジ計算機学科/慶応義塾大学理工学研究科
橋本昌嗣、正田秀明
日本SGI
「GPUコンピューティング」と「GPGPU」の違い
GPUコンピューティングを解説する前に、まず、GPU(Graphics Processing Unit)が何であるかを理解しないと始まらない。
GPUとは、通常、PCやワークステーションにおいて、コンピュータ・グラフィックスと呼ぶ画像処理を行う加速器の役割を果たすプロセッサのことである。したがって、GPUの機能と性能は、画像処理にかなり特化したものとなっている。CPUが、機能としてはプログラムに忠実であり、“何でも屋”的なプロセッサであるのに対し、GPUは、そのままでは融通の利かない、いわば“イノシシ”のような“突進型”のプロセッサである。
また、本論のGPUコンピューティングに入る前に、「GPGPU」の話もしなければならないだろう。GPGPUは、本来の正式な名称からして、語り手により呼称が異なっている。例えば、「General Purpose Computation on GPUs」や「General Purpose Computing on GPUs」、あるいは「General Purpose Computing with GPUs」などである。
しかし、それらが目指す地点はすべて同じである。要は、GPUの高速処理性能に注目し、それを汎用的な計算処理に応用しようという考え方である。したがって、イノシシには失礼だが、GPUをもっと“賢く”して、その“知能指数”をCPUに近づけたいという試みとも言える。
GPUコンピューティングとGPGPUとを正式に区別することは少々難しいが、平たく言えば、GPGPUよりも本腰を入れ、より汎用的なHPC(High Performance Computing)の実現に向けた取り組みがGPUコンピューティングだと言えるだろう。
ちなみに、グラフィックス・カード上のビデオ・メモリを利用するのがGPGPU、メイン・メモリを利用するのがGPUコンピューティングと、一応の区別はなされている。

























