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会社を挙げて“緑革命”を――MicrosoftのグリーンIT戦略

同社が目指す「地球環境にやさしい」企業の姿とは

(2008年01月22日)

目玉はイリノイ州のグリーン・データセンター

 MicrosoftグリーンIT戦略の最大の目玉は、何と言っても、2008年4月に開業予定のイリノイ州ノースレークのグリーン・データセンターだろう。建設を手がけた米国Ascentは、総床面積43万762平方フィートの同ビルを当初、複数の店子から成るテナント・ビルにする予定だったが、Microsoftがビルをまるごと借り上げる形で入居し、「Windows Live」「Hotmail」「MSN Video」のデータセンターを運営することになった。

 ビル内部には、Microsoftによって独自のグリーン設計が施されることになるが、1998年からデータセンターの建設・運営事業に携わっているAscentの創設者兼CEO、フィル・ホルストマン(Phil Horstmann)氏によれば、建物自体の構造も独自性に富んでいるという。

 「(グリーン)ビルディングにとって重要なのは、そのサイズとスケール、送電線の近さ、施設内の専用変電所の能力、それに外気利用の冷却方式をとっているかどうかといったことだ」(Horstmann氏)

 同氏によれば、12エーカーの敷地に建つ同データセンターは、変電所から通常より約8倍も高い13万8,000ボルトで電力の供給を受けているという。この極めて効率的な電力供給をはじめ、同氏が上に挙げた条件も満たしていることで、ノースレークのデータセンターは、間違いなく米国有数のデータセンターになると目されている。

 また、データセンターの内部については、上述したように、Microsoft自身の手によって分野別にグリーン設計が施され、サーバ/ラック構成などの基準が設けられている。そのグリーン設計の考え方について、Microsoftのデータセンター・サービス担当シニア・ディレクター、マイク・マノス(Mike Manos)氏は、次のように意気込みを語る。

 「われわれが考案した設計をいかに現場に適用するか――これがカギとなる。最大の効果を発揮し、最も多くのサーバを運営することが可能で、かつ最も高いエネルギー効率と持続可能性を実現することができる設計でなければならない」

 他のサービス・プロバイダーと同様、Microsoftもまた、自社のデータセンターの内部構成や省電力技術の詳細については明らかにしていない。もちろん、それは同社が(他社も)、そこにこそ競争優位を保つ源泉があると考えているからにほかならない。

 実際、Microsoftのデータセンターの1つを訪れたことがある人物の話によれば、そうしたデータセンターでは、間違いなく最先端の技術が駆使されているという。

 ワシントン州ブレマートンにあるデータセンターの視察ツアーに参加したことがあるというKath Williams+Associatesのプリンシパル・コンサルタント、キャス・ウィリアムズ(Kath Williams)氏は、「なかでも、長期的に柔軟性を発揮することが可能な上げ床システムがすばらしかった。Microsoftが属するIT業界においては、特にこの強みが生きることになろう」との感想を漏らす。Williams氏は、2004年から2007年までWorld Green Building Councilのプレジデントを、また1996年から2003年まではU.S. Green Building Council(米国グリーン・ビルディング協議会)のバイス・チェアマンを務めた経歴の持ち主だ。同氏はMicrosoftのグリーン化計画の詳細については承知していないとしながらも、その姿勢を次のように高く評価している。

 「(どんな企業による)どのような取り組みであろうとも、企業の規模が大きければ大きいほど効果があるものだ。その意味で、今、Microsoftという巨大な船が、グリーン化に向けて前進し始めたことの意義は大きい」(同氏)

ソフトウェアもグリーン化に対応

 Microsoftの環境保護対策は、もちろん同社のソフトウェア製品をも対象としている。

 例えば、同社のBernard氏によれば、Vistaでデフォルト設定されている電力管理機能は、Windowsの旧バージョンに比べると大幅に強化されており、スリープ・モードへの移行時間もかなり短縮されているという。

 同様に、2008年春に出荷予定のWindows Server 2008についても電力管理機能の充実が図られている。具体的には、同OSに備わる新しい仮想化技術「Hyper-V」(開発コード名:Viridian)を通して、サーバの整理統合、CPUの有効利用、リアルタイムのキャパシティ管理などが実現されているのである。

写真1:マイクロソフトのビデオ会議用パノラマ・カメラ「Roundtable」

 そのほか、Web会議システム「Live Meeting」やビデオ会議用パノラマ・カメラ「Roundtable」(写真1)など、同社のユニファイド・コミュニケーション製品を利用すれば、出張回数が減らせるため、飛行機や自動車などの燃料消費が抑えられ、CO2の削減効果が得られることになる。

 さらに、Microsoftのグリーン化活動は社内だけにとどまらない。例えば、同社は2007年5月、Clinton Foundationとともに、ニューヨーク、ローマ、東京、パリなどの世界主要都市におけるCO2排出量の計測、追跡、分析を支援するソフトウェアとオンライン・サービスを無料公開するというプロジェクトを立ち上げた。このソフトウェアはLocal Governments for Sustainability(ICLEI:イクレイ。持続可能性を目指す自治体協議会、画面1)の科学技術を基盤としており、今春にもリリースされる予定だ。

画面1:ICLEI JapanのWebサイト(http://www.iclei.org/japan/

 また、2007年7月に創設した独立系ソフトウェア開発ベンダー(ISV)を対象にしたソフトウェア開発コンテスト「Ingenuity Point」では、環境保全に配慮したソフトウェアを募集するなど、MicrosoftはISVもグリーン化活動に巻き込んでいく構えだ。

 Bernard氏は、これら個々の活動の積み重ねが1つの巨大なグリーン・プロジェクトであり、「自分の仕事はそれを組織化し、発展させることだ」とするが、「当社にとっても、社会全体にとっても、現在はまだ、野球で言えば1イニング目に入ったばかりのところだ」として、あせらず、長期的な視点でグリーン化に取り組んでいきたいとしている。

 「最終的には、グリーン化をただ自社製品に反映させるだけではなく、そうした製品がどのように作られ、利用され、エネルギーを消費し、そしてリサイクルされるかといったところまで管理できるようにしたいと考えている。同時に、われわれが直面するとてつもなく大きな環境問題を解決するためには、業界を挙げてソフトウェアの開発に取り組んでいくといったことも重要になると認識している」(Bernard氏)


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