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Windows Server 2008

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【Windows Server 2008 特別インタビュー】
業界のトレンドに顧客からの要求をプラスし、シンプルなエクスペリエンスを実現する 【マイクロソフト】

目指したのは“シンプル”&“セキュア”

(2008年01月20日)

 Windows Server 2003の登場から、ほぼ5年――。これまでは“Longhorn Server”という開発コード名で呼ばれていた次期Windows Serverは、2008年第1四半期に「Windows Server 2008」として正式にリリースされる予定だ。「管理性の向上」「堅ろう性の向上」「柔軟性の向上」など、機能のハイライト部分はすでに発表されており、製品候補版(RC0)も公開された。しかし、Windows Server 2008の開発にかかわっていなければわからないこと――例えば、どのような意図を持って、Windows Server 2008の技術目標を設定したのか、など――については、知る機会がほとんどなかった。そこで2007年8月に開催された「Microsoft Tech・Ed 2007 Yokohama」において、基調講演「Dynamic IT for the People-Ready Business」のスピーカーを務めたイアン・マクドナルド氏にWindows Server 2008に込めたマイクロソフトの思いを聞いてみた。

米国マイクロソフト Windows Server マネージング・ディレクター イアン・マクドナルド

1998年からWindowsの開発に携わる
Windows Server 2008では技術目標を設定

――これまでの職務経歴を教えてください。Windows Serverにはどのようにかかわってきたのですか。

 16年前にマイクロソフトのオーストラリア法人に入社したのが、スタートです。当時は、主に電子メールの「MSメール」に携わっていました。その後、米国本社のレドモンドに異動になり、1年ほどで「Exchange Server」の開発チームに参加することになりました。これが、私にとって最初のWindows Serverベースの大型アプリケーション開発プロジェクトになります。当時は、Windows NT Serverでの開発になります。

 Exchange Serverの開発チームでWindows Serverプラットフォームにかかわる大型開発プロジェクトの経験を積んだあと、Windows全般を見ることになり、1998年の暮れからWindows 2000のプロジェクトマネジメントの担当になりました。そこでWindows XP、Windows Server 2003のプロジェクトマネジメントを行い、その流れでWindows Server 2008も担当しています。

――マクドナルド氏は「マネージング・ディレクター」とのことですが、具体的にはどのような職務を遂行するのですか。

 Windows Serverの企画、計画、出荷について全責任を持つ役職になります。また、サーバのコア部分の開発に関しても、ある程度は担当しています。

――ほとんどの開発プロジェクトでは、技術的な目標が設定されるものと聞いています。Windows Server 2008における目標設定に関して、マクドナルド氏はどのように関与したのでしょうか。

 Windows Server 2008における「技術目標の設定」、それこそが私の具体的な仕事になります。そもそも、何かよいアイデアが突然空から降ってくるということはありません。業界全体のトレンドや、ここはもう動かせないといった決まりごとの部分もあります。そうしたことをすべて把握し、さまざまなアイデアを融合します。

 業界全体のトレンドには、例えば、クラウドサービスやソフトウェアアズサービス(SaaS)などがあります。そうした業界全体の流れに、私たちが顧客から得たフィードバックなどを組み合わせることによって、よりすばらしいアイデアが生まれます。それらを集めて、新しい技術目標として設定するのです。

Windows Server 2008では
5つの大きな技術目標を設定

――それでは、Windows Server 2008における主要な技術目標には、どのようなものがあるのでしょうか。また、それぞれの概要と意義も教えてください。
▲Windows Server 2008の特徴。「管理性の向上」「堅ろう性の向上」「柔軟性の向上」の3つの柱を軸にして、各機能が実装されている

 Windows Server 2008では、5つの大きな技術目標を設定しました。

 1つ目は、新しいインストールオプションとなる「Server Core」の追加です。最近のOSでは、中核機能だけをコアに収め、そのほかの機能は外側に付属させるという流れになっています。あとは、そのコアシステムの上に何を搭載するかを考えることになります。

 2つ目は「コネクテッド・システム」を目指したことです。これは、組織間でユーザーIDやデータ交換をすばやく効率的に行う連携機能となります。

 3つ目は「ネットワークアクセス保護(NAP)の実装」によるセキュリティの強化です。NAPによって、ネットワークに接続するクライアントが必要なセキュリティ対策が適切に実施されているかどうかを、より確実にすることができます。

 4つ目は「運用管理の簡素化」です。日々の運用管理業務を簡素化するためのさまざまな機能を盛り込みました。例えば、スクリプトとタスクの自動化に役立つ「Windows PowerShell」やサーバ構成と役割の管理を容易にする管理ツール「サーバーマネージャ」があります。

 そして最後の5つ目が、新しい仮想化技術である「Windows Server Virtualization」になります。物理的な実体を仮想的なものに置き換えることと、両者の整合をうまくとることが課題でした。そのほかの技術目標が重要でないわけではありませんが、私たちにとってはこの5つの目標が特に大切でした。

――そのような技術目標に基づいて開発されたWindows Server 2008は、技術者にどのようなメリットをもたらしてくれるのでしょうか。特に、アプリケーション開発者とITプロフェッショナルにとってのメリットを教えてください。

 アプリケーション開発者は、スケールアップのメリットが十分享受できると思います。例えば、「IIS 7.0」では各機能がモジュール化されたため、実行する機能を自由にカスタマイズできるほか、アプリケーションの展開や拡大が容易になります。

 また、システム管理者には、さまざまな管理作業を自動化するためのツールや仕組みが提供されるので、これまでよりも簡単な操作と設定で、より多くのサーバインスタンスが管理できるようになります。

――Server Coreの機能が盛り込まれたのは、システム管理者などのユーザーからの強い要望があったからでしょうか。

 ユーザーからの声もありましたが、私たちとしては、コアのエンジニアリング作業もやってみたかったのです。OSのコア部分におけるコンポーネント間の依存関係を洗い出すことによって、最小サイズのシステム、つまりアプライアンス型のシステムを作り出せれば、おもしろいのではないかと考えたのです。例えば、過去5年間に修正が行われたシステムぜい弱性の60%は、コアコンポーネント以外の部分に存在していました。こうしたぜい弱性は、Server Coreによって大幅に削減されますし、仮想化環境でも大きなメリットがあります。

Windows Server Virtualizationは
十分に品質を高めてからリリースしたい

――Windows Server 2008の技術目標の5つ目に「仮想化」がありました。マイクロソフトの最新の仮想化技術「Windows Server Virtualization」について教えてください。

 Windows Server Virtualizationは、最先端技術なので顧客からの要求度も高く、できるだけ早くリリースするように求められています。しかし、私たちとしては、きちんと完成するまではリリースしません。顧客が納得できる適正な品質のものになった時点でリリースしようと考えています。毎日さまざま機能が修正されたり、追加されたりしていますが、すべてを搭載すればよいというものではありません。顧客がほんとうに必要とする機能を搭載し、高い品質になったときにリリースしたいと思います。

――顧客が望む品質をきちんと実現してリリースしたいという気持ちは、よくわかりました。しかし、すでに他社の仮想化技術もたくさんあります。それらについて、マイクロソフトはどのように考えていますか。

 ご存じとは思いますが、仮想化技術はけっして新しいものではありません。メインフレームの世界では、すでに「あたりまえ」の技術です。そして、仮想化技術については各社が多くの時間をかけて、さまざまなプラットフォーム上で製品を開発、リリースしています。中には、独自の技術、特定のハードウェアでしか実現できないものもあります。そうした他社の行ってきたことからは、私たちも学ぶべき点はたくさんありました。

 私たちのアプローチは、業界標準の技術を使ってエコシステムを作り上げることが目標です。そして、それはマイクロソフトだけでなく、IT業界全体で目指すことが重要であると考えています。

――ほかのOSとの相互運用性に関してはどのような方向性に行くのでしょうか。例えば、ノベルとの提携にはどのような意図があるのでしょうか。

 顧客はさまざまな目的を実現するために、Linuxやそのほかのシステムも利用しています。そこで、Linuxディストリビューターと知的財産やライセンスに関する契約を結ぶことで、さらに相互運用性にすぐれたOSを私たちも作れるのではないかと考えました。それが、ノベルと提携した最大の理由になります。

 相互運用性に対するマイクロソフトの現在のアプローチは、これまでとはまったく変わりました。すでに、Windows Server 2008では、ほかのOSとの相互運用性は十分配慮されています。さらに、Linuxディストリビューターとともに、カーネルやそのほかの部分で整合性を高める研究開発も進めています。

マイクロソフトが心がけているのは
“エクスペリエンスをシンプルに”

――マイクロソフトの社内では、Windows Server 2008をどのような環境でテストしているのですか。

 弊社のITシステムでも「インフラストラクチャアレイ」と呼ばれている部分では、すでにWindows Server 2008が稼働中です。例えば、私の個人メールボックスも、Windows Server 2008上で動作するExchange Server 2007上にあります。Netcraft(http://www.netcraft.com/)で確認していただければわかりますが、「www.microsoft.com」のWebサイトは、すべてWindows Server 2008ベースに切り替わっています。

――最後に、日本の技術者向けに、Windows Server 2008のマネージング・ディレクターとしてひと言メッセージをお願いします。

 Windows Server 2008に期待している技術者の皆さんには、2つのメッセージがあります。1つは、私たちは、皆さんのシステムを「よりシンプル」なものにしたいと考えています。皆さんの日常の業務において、さまざまな作業をより簡単に実現できるようにしたいということです。Windows Serverがすぐれたインフラであるという位置付けを保ち、さまざまな機能やツールを提供することで“最もすぐれた”システムを構築できるようにしたいのです。この「エクスペリエンスをシンプルに」という考えは、これからも変わらないでしょう。

 もう1つのメッセージは、Windows Server 2008は「非常にセキュアな」インフラということです。NAPの実装やServer Coreによるぜい弱性の削減により、前バージョンに比べてセキュリティや信頼性はより強化されていますので、安心して使っていただけると思います。

(取材/文 山口 学)

マイクロソフトにおけるサーバ製品の開発目標

■サーバ製品の開発目標(Common Engineering Criteria)

http://www.microsoft.com/windowsserversystem/cer/allcriteria.mspx

■概要

システムに求められる要件が高度化・複雑化する状況の中、各種サーバ製品の開発・提供にあたって、x64対応、仮想化環境への対応、スクリプト環境の提供など、遵守すべき要件・目標を明確に定義

■目的

ここに記載された要件に従って、製品の開発、テスト、提供を行い、イノベーションを提供し続ける

■年度ごとにアップデート

FY2005、FY2006、FY2007、FY2008と年度ごとに段階的に要件を追加




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集計期間:08/31〜09/06



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