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[国内]
【CMO Summit Tokyo 2008】
CMOの役割――求められるマーケティングと経営戦略の融合
顧客満足度を起点とするビジネス・スタイルの確立を
(2008年03月27日)
| CMO Summit Tokyo 2008のオープニング・スピーチで、CMOの必要性を強く訴えた一橋大学の神岡氏 |
3月21日、マーケティング戦略の立案・遂行を担うビジネス・パーソンを対象にしたコンファレンス「CMO Summit Tokyo 2008」(主催:IDGジャパン)が東京都内で開催され、企業のマーケティング責任者やアナリスト、有識者がさまざまな講演を繰り広げた。
同コンファレンスではまず、一橋大学商学研究科教授の神岡太郎氏がオープンニング・スピーチを行い、日本企業のマーケティング上の課題・問題点に触れながら、CMO――すなわち、「Chief Marketing Officer(最高マーケティング責任者)」――の必要性を以下のように訴えた。
「日本企業のマーケティングは、多くの場合、事業ごと、もしくは、組織ごとに分断された状況にあり、それぞれのマーケティング戦略・活動と、全社的な経営戦略との間に溝ができている。また、日本企業のマーケティングは、市場やテクノロジーの変化・革新のスピードにも追随できていない。このような状況を打破するためには、経営の視点で全社的なマーケティング戦略を統率するリーダー(つまり、CMO)がどうしても必要になる」
| ウォルト・ディズニー・ジャパンの高橋氏は、氏の講演で、新技術を駆使したマーケティング戦略の事例を披露した |
神岡氏のスピーチに続いて行われた午前中のセッションでは、ウォルト・ディズニー・ジャパンの高橋雅美氏(ウォルト ディズニー スタジオ ホーム エンターテイメント エグゼクティブ ディレクター)や、日本ゼネラル・エレクトリックの宮森千嘉子氏(取締役/広報・渉外統括本部長)など、企業における実際のマーケティング・リーダーの講演も行われた。
このうち、ウォルト・ディズニー・ジャパンの高橋氏は、マーケティング責任者が直面するさまざまな課題に言及しながら、マーケティングにおける新技術(IT)活用の必要性を唱えた。
同氏によれば、今日のマーケティング責任者は、マーケティング活動・投資の効果を定量的に提示し、マーケティングの正当性を社内的に認めさせる必要があるなど、数多くの課題と対峙しているという。
そうした課題を解決する1つのソリューションとして、同社が推進しているのが、モバイルやCRMといったITの積極的な活用だ。高橋氏はこのように語る。
「厳しい生存競争で勝ち残るには、環境の変化に適応できる能力――すなわち、変化できる能力――が強く求められる。その意味で、ビジネスのイノベーションにチャレンジし続けることは、企業にとってきわめて重要であり、マーケティングについても、新しい技術、新しいアイデアを積極的に取り入れながら、そのイノベーションをドライブしていく必要があるのだ」
顧客ニーズ主導のビジネス・スタイル
今回のコンファレンスでは、マーケティング分野の市場調査・分析で定評のあるフォレスター・リサーチのシニア・アナリスト、ジョナサン・ブラウン氏による講演も行われた。
この講演で、氏が唱えたのは、顧客体験(顧客満足度)の向上を企業活動の中心に据えることの重要性だ。
「企業にとっても最も重要な資産は顧客だが、今日の企業の中で、顧客の声・ニーズを起点にしたビジネス展開・商品作りのプロセスを確立しているところは少数派だ。だが、企業が競争力を維持していくためには、顧客満足度を起点にビジネスを進めることが必須であり、そうしたビジネス・スタイル/カルチャーを組織全体に定着させる必要がある。その取り組みを主導するのが、われわれが“Chief Customer Experience Officer(CCEO)”と呼ぶリーダーだ」(ブラウン氏)。
同氏によれば、CCEOの職位・役割は恒久的なものではなく、顧客満足度を起点にしたビジネス・スタイルを自社に定着させた時点で、その任務は完了となるという。
「そのため、CCEOが率いるチームは少人数であることが望ましいが、CCEOとそのチームが担う役割はきわめて大きい。よって、企業の経営者は、CCEOの必要性を認識し、CCEOの活動をバックアップする体制なり、環境なりを築かねばならない」と、ブラウン氏は主張する。
一方、今回のコンファレンスでは、マーケティングのグローバル戦略も大きなテーマとして掲げられ、ジャルパックの代表取締役社長である梶 明彦氏が、同社におけるグローバル・マーケティング戦略の事例を紹介したほか、「アジア市場でのマーケティング戦略」にフォーカスを当てたパネル・ディスカッションも行われた。
このパネル・ディスカッションでは、神岡氏がモデレーターを務め、味の素の渉外企画部長、永井文治氏とライオンの国際事業本部・統括部部長 小磯正樹氏がパネリストとして参加した。
永井氏と小磯氏はともに、アジアの市場で、自社のマーケティング活動を推進してきた人物だ。両氏は今回、その経験に基づきながら、アジアの市場をターゲットにしたグローバル・マーケティングの課題や戦略についてさまざまに語った。
| CMO Summit Tokyo 2008のパネル・ディスカッションで、アジア市場に対するマーケティング戦略について語り合う、味の素の永井氏(写真左奥)とライオンの小磯氏 |
ちなみに、両氏によれば、アジアの諸国、とりわけ、ASEANの諸国は、長期的な成長が見込める有望なマーケットであり、この市場でのビジネス拡大は、日本企業の経営戦略上、必要不可欠な取り組みであるという。もっとも、アジア諸国の場合、国ごとに文化や人の嗜好に大きなバラツキがあるほか、(有望な市場であるがゆえに)欧米企業との激しい競争にもさらされる。
そうした中で、日本の企業が、自社商品・サービスの競争力を確保し、そのブランドを根づかせるには、ターゲット顧客の嗜好・購買力、さらには、商品の特性などに応じたかたちで、価格戦略やチャネル戦略、商品・ブランド戦略を入念に練り上げ、遂行していく必要があると、両氏は異口同音に指摘する。
さらに、今後は、日本の市場だけをターゲットにするのではなく、広くアジア市場での展開を前提にしたかたちで、商品・ブランドの企画・開発を進めるというスタイルも求められるようだ。
ともあれ、現在、商品そのもののパワーで、競合との差別化を図ることは、きわめて困難とされている。とすれば、経営におけるマーケティングの重要性は以前にも増して大きくなっており、経営戦略としてマーケティング戦略を立案し、遂行する必要性が、ますます高まっていると言えるだろう。CMOの登場を求める声は、そうした時代の要請なのかもしれない。
なお、IDGジャパンでは、今年7月にも企業のマーケティング・リーダーを対象にした「CMO Analyst Forum」を東京都内で開催する予定である。
(Computerworld.jp)
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