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【解説】
次世代仮想化プラットフォーム「Hyper-V」研究

サーバの仮想化はどう進化するのか!?

(2008年03月31日)

64ビットゲストOSと
マルチプロセッサのサポート

 Virtual Server 2005 R2以前、バーチャルマシンは非常にレガシーなハードウェアをエミュレートするものであった。エミュレートされるチップセット「Intel 440BX」は1998年の登場で、最大1GBのメモリに対応し、初めてACPI(Advanced Configuration and Power Interface)の電源機能とUSB(Universal Serial Bus)を実装したことで有名だ(バーチャルマシンはUSBをサポートしない)。

 バーチャルマシンでは、このレガシーなハードウェアに、最新のプロセッサとチップセットの仕様を超える最大3.6GBのメモリがサポートされる。x86ベースのコンピュータをエミュレートしたものなので、当然ゲストOSはx86(32ビット)OSのみのサポートになる。プロセッサは物理コンピュータのコア数に関係なく、シングルプロセッサ構成だ。

画面3● Hyper-Vでは、マルチプロセッサをサポート。バーチャルマシンに割り当て可能なプロセッサ数は最大8コアであるが、物理コンピュータのコア数が上限になる

 一方、世の中はサーバを中心に、マルチコアと64ビットコンピューティングの時代へと急速に進んでいる。ちなみに、Windows Server 2008は32ビット版が提供される最後のWindows Serverとなることが決まっている。

 このことからも、Virtual Server 2005 R2の仮想環境には限界が見えてきている。マルチコアや64ビット環境の大容量メモリのメリットを享受できないばかりか、64ビット化がさらに進めばレガシーOSの展開環境でしかなくなってしまうのである。

 Hyper-Vでも、Windows Hypervisor非対応のOS向けにレガシーなエミュレートされた仮想環境は引き続き提供されるが、ネイティブな環境は最新のサーバOSやアプリケーションの実行に耐えうるものとなる。従来のx86 OSはもちろん、x64 OSにも対応し、さらに最大8コアまでのマルチプロセッサに対応する(画面3)。

画面4● Hyper-Vのチャイルド・パーティションで動作する64ビット版のWindows Server 2008 Enterprise Edition。2つのプロセッサで動作しているのが確認できるだろう

 メモリに関しても、最大32GBの割り当てがサポートされる。64ビットゲストとマルチコアのサポートにより、大量のメモリを必要とする大規模アプリケーションやマルチスレッドアプリケーションの仮想化が可能になる(画面4)。ちなみに、バーチャルマシンにおけるUSBはサポートされない。

 Hyper-Vにネイティブに対応するゲストOSとしては、32ビット/64ビット両バージョンのWindows Server 2003およびWindows Server 2008が予定されている。また、Xenの開発元であるゼンソースやSUSE Linuxの開発元のノベルとの技術提携により、Xen対応のLinuxについても、Hyper-V上でネイティブに動作できるようになる予定だ。

 マイクロソフトはゼンソースと共同で「Hypercall Adapter」および「Linux VSC」というコンポーネントを開発する。これらはHyper-V上でXen対応のLinuxの実行を可能にし、VMBusによるI/Oをサポートするものである。マイクロソフトはノベルと共同で、SUSE Linux上でのこれらのコンポーネントのテストと最適化を行う。

【column】
業界標準「OVF」はVHDを置き換えるか!?

 2007年9月10日、仮想化テクノロジーで競合するマイクロソフト、ヴイエムウェア、ゼンソースの3社に、PCベンダーのデル、ヒューレット・パッカード、IBMを加えた6社が共同で仮想マシンの可搬性を高める業界標準フォーマットの仕様「OVF(Open Virtual Machine Format)」を、DMTF(Distributed Management Task Force,Inc.)に提出した。

 OVFの目的は、仮想マシンのパッケージ化の方法を標準化することによって、仮想マシンの導入や、相互運用性、セキュリティ、およびライフサイクルなどに関した仮想マシン環境の運用管理を簡素化することだ。システム構成を含む仮想マシン環境全体をパッケージ化するための標準仕様となるものである。

 では、既存のVHDはOVFに置き換わるのかといえば、そうではない。OVFはVHDを補完するものであり、仮想ハードディスクのフォーマットではないのだ。OVFは、VHDやブイエムウェアのVMDK(Virtual Machine Disk Format)など、既存の仮想ハードディスクフォーマットに可搬性、完全性、構成管理などの機能を提供するものになる。

 仮想化市場はいま、急速に発展しており、技術革新や競争も激しい。しかし、競合しながらもOVFの標準化作業のように、業界全体で仮想化を推進することが重要であるという意識がうかがえる。

パフォーマンスを向上させオーバヘッド削減する
新しい仮想化I/Oアーキテクチャ「VMBus」

画面5● VMBusはペアレント・パーティションとチャイルド・パーティションの両方に存在するシステムデバイス。チャイルド・パーティションはVSC(ネットワークアダプタの場合はMicrosoft VMBus Network Adapter)がVMBusを介して、ペアレント・パーティションのVSPと通信し、物理デバイスにアクセスする

 Hyper-Vのバーチャルマシンには、従来のエミュレートされたデバイスを置き換える新しい仮想化I/Oアーキテクチャ「VMBus」が提供される。例えば、これまでネットワークアダプタは「DEC 21140 10/100TX 100MBイーサネットアダプタ」がエミュレートされており、ゲストOS側にはこのデバイスに対応したデバイスドライバが必要だった。

 VMBusは、ペアレント・パーティションとチャイルド・パーティションの通信路(バス)として機能し、チャイルドパーティションの「VSC(Virtualization Service Client)」が、ペアレント・パーティションの「VSP(Virtualization Service Providor)」と通信を行い、物理デバイス(あるいは仮想デバイス)を利用することになる。

 ハードウェアのエミュレートではないので、オーバーヘッドが少なく、高いI/Oパフォーマンスを実現する。例えば、VMBusを利用する「Microsoft VMBus Network Adapter」は、10GBpsの規格で動作する(画面5)。

 ペアレント・パーティションについては、Hyper-Vを組み込んだ時点でVMBusが有効になる。チャイルド・パーティションについては、Virtual Server 2005 R2以前の「バーチャルマシン追加機能(Virtual Machine Additions)」に代わる「Integration Services」をインストールすることでVMBusがシステムデバイスとして組み込まれ、ストレージやネットワーク、ディスプレイ用のVSCとともに利用可能になる。


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