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[米国]
「たとえジョブズ氏がいなくてもアップルはやっていける」――アナリストがその根拠を示唆

「心臓発作デマ報道」で株価を下げた同社への援護射撃?

(2008年10月07日)

 米国の市場調査会社Technology Business Researchのアナリスト、エズラ・ゴットヘイル(Ezra Gottheil)氏は10月6日、米国AppleのCEO、スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏が心臓発作で倒れたというデマ報道騒ぎを受けて、「Appleはもはやジョブズ氏がいなくてもやっていける」と語り、その根拠を示した。

 10月3日、健康状態が思わしくないと噂されていたジョブズ氏が心臓発作で倒れたというデマ記事がメディアに流れたことで、同社の株価は2007年5月以来初めて100ドル割れとなった。この記事は米国CNNの“市民ジャーナリスト”サイト「iReport.com」に投稿され、Appleは直ちに否定したものの、すでに株価は11%近く下落していた。

 「Appleはもうジョブズ氏を必要としていない。同氏はすでにMac、iPod、iPhoneという3つのビジネスを確立しており、Appleはデザインと使い勝手に対するジョブズ氏のマニアックなまでの姿勢をいかに製品として具体化するか熟知している。経営チームも安定しており、経営に不安はない」とゴットヘイル氏は述べている。

2007年9月、英国で講演するスティーブ・ジョブズ氏。以前よりも頬がこけてやつれた印象だ

 ジョブズ氏が6月に開催されたAppleの開発者向け年次コンファレンス「WWDC(Worldwide Developers Conference)2008」にやつれた姿を見せて以来、投資家の間で同氏の健康状態を不安視する声が挙がっていた。同社広報は“ごく一般的な風邪ウイルス”による一時的な体調不良だと発表したものの、同氏の姿はまた症状が悪化したのではという憶測を招いた。ジョブズ氏は2004年、膵臓にできた悪性腫瘍の摘出手術を受けたことを告白していた。同氏は今年7月、米国New York Times紙の取材に対し、体調は万全だと語っていた。

 その後も8月には米国の金融情報サービス会社のBloombergが誤ってジョブズ氏の死亡記事を掲載するなど、さまざまな誤報が流され、投資家の間ではジョブズ氏の身に不測の事態が起こった場合、同社の将来がどうなるのか不安視されていた。

 だが、ゴットヘイル氏は「それほど心配する必要はない」と念を押す。ジョブズ氏がこれまで果たしてきた製品宣伝効果を考えれば、「同氏がいなくなるとAppleは今までより広告費を増やす必要があるだろうが、ジョブズ氏はすでに会社組織とブランド、戦略をしっかり固めてきた。彼でなければこれらを発展させられないという理由はない」(ゴットヘイル氏)

 「ジョブズ氏がCEOを辞任した場合、現在COO(最高執行責任者)のティム・クック(Tim Cook)氏が引き継ぐはずだ」とゴットヘイル氏。クック氏は2004年、ジョブズ氏が癌の手術を終えた後、しばらく経営を代行していた。また、製品デザインについては、現在同社のインダストリアル・デザイン担当シニア・バイスプレジデントを務めているジョナサン・アイブ(Jonathan Ive)氏が引き継ぐだろう。

 「7月にAppleの新たなデザイン担当バイスプレジデントとして米国Segwayの前CTO、ダグ・フィールド(Doug Field)氏を採用したのは、アイブ氏を今の仕事からもっと製品デザインの戦略的な役割に移そうという考えからだと思う」(ゴットヘイル氏)

 「Appleが今後も変わらないと言っているわけではない。ジョブズ氏がいなくなると、今までよりは控えめな経営になるだろう」とゴットヘイル氏は見ている。「iPodやiPhoneを生んだような大ヒットにつながる創造力は失われるかもしれない」と同氏は分析する。だが、Appleが事業を続けていくうえで、そうした創造力はかならずしも必要でない。「もうリスクを取る必要はないと思う。今の経営チームは、ジョブズ氏が作ってきた製品をもとに非常に効果的に会社を運営していけるはずだ」(同氏)

 ゴットヘイル氏も、ジョブズ氏が会社を去ればAppleの株価下落が避けられないことは十分理解している。同氏はこう話す。「株式市場は当然反応するだろう。経営チームが今後もしっかりやっていけるという確信を得られるまで、投資家の動揺は収まりそうにない」

 「だが、私はジョブズ氏なきあとのAppleは、ヘンリー・フォード(Henry Ford)氏なきあとのFordだと考えている。ジョブズ氏の教えは同氏の信者たちに受け継がれた。ジョブズ氏が創り上げたプロセスと文化は、将来も続いていくことだろう」(ゴットヘイル氏)

(Gregg Keizer/Computerworld米国版)




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