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【解説】
Windows Server 2008、日本のサーバ・ベンダーの期待度は?

各社は「信頼性」「可用性」「パフォーマンス」に注目

(2008年03月04日)

米国Microsoftは2月27日、Windows Server 2008の米国での提供を開始した。前バージョンにあたるWindows Server 2003の提供から約5年、その追加アップデートであるRelease 2の提供からちょうど2年が経過しており、ほぼ2〜3年サイクルを維持しての満を持しての登場となった。日本国内では3月1日から企業ユーザー向けの提供が開始され、パッケージ版やサーバ・ベンダー各社のOEM版は4月中旬をめどに順次提供が行われることになる。Windows Server 2008に対する日本のサーバ・ベンダーおよびユーザーの期待度はどの程度なのか。ロサンゼルスで開催されたローンチ・イベントでの様子を紹介する。

鈴木淳也

ユーザーの反応は良好
高信頼性に期待が

写真1:Microsoft CEOのSteve Ballmer氏。特にWindows Serverの信頼性の高さを強調し、その出来に自信を見せる

 日本の大手サーバ・ベンダー各社の状況を見る限り、ユーザーの関心は比較的高いようだ。Microsoft CEOのSteve Ballmer(スティーブ・バルマー)氏が「最もテストに時間を費やしたプラットフォーム」と豪語するように、TAP(Technology Adoption Program)を含むベータ版段階からの長期テストに参加したユーザーも多く、積極的に導入を検討しているユーザー企業も多いと、国内ベンダー各社の担当者はコメントしている。その決め手の1つは高信頼性にありそうだ。

 日立製作所 プラットフォームソリューション事業部 企画本部 Windowsソリューションセンタ 主任技師の多田公昭氏は「Windows Server 2008はクラスタリングなど、High Availavility(高可用性:H/A)の部分でのメリットが大きい。またIIS 7を使ったサーバ統合など、信頼性やサーバ統合の部分での引き合いが強いと考えている。早期のユーザーは2008年半ばにも導入を順次スタートするのではないか」とコメントしている。

写真2:日立製作所 プラットフォームソリューション事業部 企画本部 Windowsソリューションセンタ 主任技師 多田公昭氏

 同氏によれば、ちょうどWindows Server 2000/2003が提供された時期にサーバのリプレイスを行った企業のシステム更新サイクルが到来しつつあり、それが2008でのシステム刷新を後押ししている背景もあるという。

 ユーザーのWindows Server 2008導入を後押しするもう1つの理由がSQL Server 2008だ。NEC Corporation of AmericaのRedmond Technology Center(RTC)のバイスプレジデントを務める中西浩一氏は「(OSと実行アプリケーション)が64ビット対応となり、従来の制限が取り払われたことで、SQL Serverが本当の意味で企業向けの製品になったと言える」という見解を述べている。

写真3:NEC Corporation of AmericaのRedmond Technology Center(RTC)でバイスプレジデントを務める中西浩一氏

 NECはAsAmAなどのハイパフォーマンス・サーバ製品で知られており、Microsoft主催のコンファレンスで行われる技術デモでもたびたび紹介がなされている。こうしたハードウェアのパフォーマンスを引き出し、よりユーザーがシステム導入のメリットを享受できる点がリプレイスのモチベーションとなる。

 また別の意見では、「管理者でさえユーザーDBのデータを自由に閲覧できないアクセスコントロール機能など、セキュリティ面が非常に充実している」(前述、多田氏)というメリットもあるようだ。

 SQL Serverの正式リリースにはあと数カ月以上かかることが見込まれるものの、このようにWindows ServerとSQL Serverをセットに導入を検討するケースが今後想定されるため、今夏以降の導入の伸びに期待が持てそうだ。

日本のベンダー各社はそれぞれに
強みを生かしたソリューションを開発

写真4:イベント・テーマの「Heroes Happen Here(ヒーローはここにいる)」には、ITインフラの構築を担うエンジニアに光を当てるという意味が込められている

 富士通、日立、NECなど、日本の大手ベンダーは、4月中旬に行われるとみられるWindows Server 2008の国内でのローンチイベントに向けて最新ソリューションを大々的にアピールする計画だ。

 各社各様のソリューションが登場するとみられるが、それらに共通するのは「高可用性とパフォーマンスを売り物したH/A」の部分にフォーカスしている点である。もともとこれらベンダーはメインフレームでの実績もあり、可用性を高める技術に強みを持つ。Windows Server 2008の特徴が高可用性やパフォーマンス、セキュリティの部分にあるのならば、こうした強みを存分に発揮することができるだろう。

 各社ともにTAPなどのMicrosoftの早期ユーザー・プログラムに参加しており、特に製品コア部分の開発については技術者がMicrosoft本社のあるワシントン州レドモンドに張り付いて、両技術者がOSやアプリケーション製品開発の初期段階から意見交換やテストを繰り返している。

 例えばNECの場合、RTCという専門の技術センターをMicrosoft本社に隣接するエリアに設置し、25人の技術者が専任で張り付いて共同作業を進めている。「(OSなどの)Microsoft製品開発初期から連携を行わないと、OSリリースから実際のソリューション提供までどうしてもタイムラグが生じてしまう」(前述、中西氏)というように、スケジュール的な都合もあるようだ。

 一方でベンダー側からフィードバックを返すことで、実際のOS製品等に意見を反映させるメリットもあるようだ。

 例えば2007年5月、カリフォルニア州ロサンゼルスで開催されたWinHECコンファレンスでは、同社のAsAmAを使った「ダイナミック・パーティショニング」という機能のデモが行われている。

 これはOSの実行中にシステムリソースの変更や置換などをダウンタイムなしでダイナミックに行うもので、メインフレームやハイエンドのUNIXサーバでお馴染みの機能だ。いわゆるシステムの信頼性を高める機能の代表的なものの1つであり、これがNECからのフィードバックを経てWindows Server 2008へと実装されることになった。

写真5:富士通 プロダクトマーケティング本部 グローバルシステムビジネス統括部の山下道子氏(左)と同パーソナルビジネス本部 WINDOWS開発統括部の治部将之氏(右)

 同様の試みは富士通などでも行われている。同社でも技術者がレドモンドのMicrosoft本社に張り付いて作業を行い、「ダイナミック・ハードウェア・パーティショニング(DHP)」と呼ばれる機能の実装を完了している。

 同社PRIMEQUESTシリーズに実装された同機能について、「従来のCPUリソースを動的に追加する“ホット・アド”機能に加え、新たにWindows Server 2008用に“ホット・リプレイス”機能をサポートしており、本当の意味でシステムの連続動作が可能になった」と、開発にあたった富士通 パーソナルビジネス本部 WINDOWS開発統括部の治部将之氏はコメントしている。

 「OSシステムの切り替えに10秒ほどラグがあるため、リアルタイム性のあるアプリケーションには一部影響がある」(治部氏)とはいうものの、OSやチップセット、ファームウェア・レベルでの微調整を早期から行っていたため、ダウンタイムをミニマム化した無停止動作が可能になったようだ。今回ロサンゼルスで開催されたローンチ・イベントの展示会場でも、PRIMEQUESTによるDHPの機能デモが紹介されていた。

日本のWindowsサーバ市場
2008年の展望は?

写真6:カリフォルニア州ロサンゼルス市内で開催されたWindows Server 2008製品ローンチ・イベント「Heroes Happen Here」の会場(Nokia Theater)

 Visual Studio 2008がすでに登場し、Windows Server 2008のリリースが行われたとはいえ、主要コンポーネントであるSQL Server 2008の正式リリースにはまだ数カ月のタイムラグがあり、最大の目玉機能であるHyper-Vに至っては登場まであと半年もの期間を必要とする。

 だが前述のように、日本国内の状況だけで言えばWindows Server 2008の導入が本格化するのは夏以降の2008年後半になるとみられ、製品リリース時期のばらつきも問題ないようだ。当面は4月中旬の日本での正式ローンチに向けたソリューション開発やエンジニアへの教育、既存アプリケーションの動作検証などにまい進することになる。

 ベンダーによってはWindowsサーバ環境向けの膨大なミドルウェア資産を抱えているところもあり、既存ユーザーからのリクエストも含めて、こうした検証に時間を要することになりそうだ。

 リリースタイミングが不定期だったクライアントOSとは異なり、Windows ServerはRelease 2も含めればほぼ2〜3年周期で更新されており、ユーザーにとってはシステム更新計画が立てやすい。Windows Server 2008が安定重視の進化版ということもあり、比較的保守的なユーザーも巻き込みながら、ゆっくりと段階的に導入が進んでいくことになるのではないだろうか。

 またWindows Server 2008については、2008年後半に同OSをベースにしたWindows Small Business Server(SBS)とWindows Essential Business Server(EBS)のリリースが予定されている。SQL ServerやExchange Server、ISA Serverの機能を包含した中小企業向けの企業統合サーバ製品だが、特に新製品となるEBSは「SBSではカバーしきれない中規模以上のユーザーのニーズに応える製品」(Microsoft Windows Server Solutions Group シニアディレクター Steven VanRoekel氏)ということで、競合他社の統合サーバ・ソリューションだけでなく、自身のWindows Server 2008のユーザーをもターゲットにした意欲的な製品になりそうだ。

 このように2008年内にWindows Server 2008のラインアップがさらに拡充されることにより、2009年以降の活躍の舞台が整うことになるだろう。

(Computerworld.jp)




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