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[世界] 【Open World Forum予測】
オープンソース開発者グループ、ソフトウェア業界の「未来予想図」を発表

2020年、バラ色の未来を実現するためには?――クラウドやWebサービスのリスクも指摘

(2008年12月04日)

 12月1日からパリで開催中のカンファレンス「Open World Forum」で、オープンソース・ソフトウェアの開発者グループが、2020年までのソフトウェア業界のロードマップを発表した。

「2020 FLOSS Roadmap」報告書の表紙

 「2020 FLOSS Roadmap」と題されたこの報告書は、2020年時点のFLOSS(Free/Libre & Open Source Software)の役割に関する多数の予測と、ソフトウェア業界に対する80件の提案を示している。

 同報告書では、「2020年までにFLOSSはソフトウェア業界の主流となり、デジタル社会における貧富の差の縮小に貢献する」というバラ色の未来像が描かれている。社会はオープンなクラウド・コンピューティング・サービスの普及に支えられ、個々のユーザーは友人だけでなく、政府機関やさまざまな企業とのコミュニケーションも図ることができるようになる。また、単一ベンダーによる囲い込み(ロックイン)を警戒する企業のCIO(最高情報責任者)はFLOSSの利用を支持するようになり、グリーン・データセンターや環境負荷の少ないビジネスモデルといった取り組みにおいて、FLOSSが中心的な存在になると予測している。

 だが、このような理想的な社会を実現するには、“コンピュータ・オタク”のみならず、投資家、立法に関わる議員、有権者、教育関係者、そして一般消費者が、それぞれの役割を担い、実行しなければならないと、同報告書では強調されている。

 また、政府はオープン・スタンダードの概念およびサービスを支持するべきだという。それは、単なるイデオロギーとしての問題ではなく、異なるサービスやシステム間でデータがやり取りできる状態を維持するためだ。

 そのためには、オープン・スタンダードおよびそのサービスについての明確な定義を含む、中立的・安定的な枠組みの整備が必要となる。法的な枠組みが確立できれば、ソフトウェア・ライセンスの増殖を防ぐことにもつながるという。

 さらに、公的/私的な投資は、戦略的なFLOSS技術の開発につながる研究に対して投じられることが望ましいと主張し、政府や企業は、新世代のソフトウェア開発者を育てるため、FLOSSについての教育/職業訓練プログラムを設けることを推奨している。

 一方、同ロードマップでは将来的なリスクについても指摘されている。例えば、一部の行政システムが必要とする巨大なクラウド・コンピューティング・リソースは、ごく限られた大規模ベンダーにしか提供できない。その結果、一部の市場で少数企業の独占を許すことになり、ひいては特定のベンダーが国家そのものを“人質”に取ることができる事態を招く危険性があると警告する。

 そのうえ、高度なサービスが要求する費用を捻出できない企業や団体は、不安定かつセキュリティの低い“二流の”システムの利用を余儀なくされるかもしれない。

 クラウド・コンピューティングやWebサービスは、ほかにもリスクを抱えているという。これらのサービスでは、ソフトウェアは背後に隠れ、インタフェースだけが前面に表示されるので、動作しているアプリケーションのソース・コードをユーザーが閲覧することが制限されてしまう。そのため、FLOSSライセンスから外れてしまう、あるいはライセンスが無意味になってしまうことも考えられる。また今後、オープンソースのアプリケーションを作成する個人プログラマの活動が、限定的なAPIを通したWebサービスのマッシュアップだけに制限されてしまえば、イノベーションが妨げられるとして警鐘を鳴らしている。

 なお、同ロードマップの著者は主にフランス人だが、ベルギー、ブラジル、カナダ、ドイツ、インド、スペイン、米国などの専門家も加わっている。また、著者の中には、ネットワーク・ベンダーの仏国Alcatel-Lucentや、クラウド・コンピューティングを提供する米国Google、サーバ/ソフトウェア・ベンダーの米国Sun Microsystemsの社員も含まれる。

(Peter Sayer/IDG News Serviceパリ支局)




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