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[米国]
“組織間の垣根を取り払う”WikipediaライクなWebサイトが米国情報機関で人気

(2006年11月01日)

 米国の情報機関でWikipediaライクなコミュニティWebサイトを活用する動きが広がっている。「Intellipedia」と呼ばれるこのWebサイトは、各種情報機関のメンバーが組織間の垣根を超えて情報を共有したり、情報評価(これにはイラク戦争の要因となったものも含まれる)に対する見解の不一致について討議したりするなどの用途で使われている。

 Intellipediaの開発者が10月31日の記者会見で明らかにしたところによると、このサイトは、テロリズムやアルカイダなどに関する情報についてメンバーが自由に意見を出し合いながら討議できるようになっているという。その基本的な仕組みはWikipediaと似ており、Wikipediaで使用されているオープンソース・ソフトウェアをベースとしている点も同じだ。

 今年4月に運用が開始されたIntellipediaは、8月にコロラド州デンバーで開催されたコンファレンスで正式に発表された。今回の記者会見に同席した合衆国国家情報長官(DNI)事務所と中央情報局(CIA)のメンバーは、この新しいツールの利用状況について説明を行った。

 Intellipediaが導入される1つのきっかけとなったのは、2001年9月11日の同時多発テロ事件の発生前に情報機関の間で情報が共有されていなかったことや、イラクが大量の破壊兵器を開発しているという誤った情報が報告されていたことに対する国民や議会からの批判だ。DNI主席情報官代理のマイケル・ウェスランダー氏は、「(議会、大統領、米国民から託された)われわれの基本的な任務の1つは、仕事のやり方を改め、情報の共有とコラボレーションを推進することにある」と語り、Intellipediaがそれに貢献している点を強調した。

 DNIとCIAの職員によると、すでに16の情報機関の幹部や他の米国政府機関職員がIntellipediaを使って公式文書を作成しており、その中にはさまざまなテーマに対する国家情報評価も含まれている。DINとCIAがIntellipediaの運用を開始して以来、このサイトでは1,300万を超えるページが閲覧されており、登録ユーザー数は3,300人、作成されたページは2万8,000ページに達した。同サイトを利用できるユーザーはセキュリティ手続きを経た米国政府職員に限られるが、その数は初期のWikipediaをしのぐ勢いで増加中だ。

 CIOの情報局長であるシーン・デネヒー氏によると、IntellipediaとWikipediaの間には、アクセス可能なユーザーを制限していること以外にも違いがあるという。アクセス可能なユーザーであれば、だれでもIntellipediaにポストされた情報を読むことができるが、内容を編集できるのはログインしたユーザーだけであり、だれでも内容を編集できるWikipediaとはこの点が異なっている。

 「(編集に参加できることで)コミュニティが生まれる。われわれがやろうとしているのは、まさにこれだ」(デネヒー氏)

 またユーザーは、Intellipedia上で行われる情報の変更作業を容易に追跡することもできる。例えば、公式文書に盛り込まれる予定の情報に関する討議や議論の過程を知ることができるのだ。DNIでIntellipediaの構築にかかわったフレッド・ハッサーニ氏は、イラクの大量破壊兵器問題で米国の情報機関が批判を浴びた経験から、さまざまな情報を記録できるスペースを作っておくことを重視したと語っている。

 ハッサーニ氏によると、Wikipediaと同様、Intellipediaにも百科事典のような情報が収められているが、その役割は単なる百科事典ではないという。同氏の言葉を借りれば、それは「経験豊かな情報分析官によって蓄積された情報の宝庫」だ。Intellipediaはセキュリティ手続きのレベルによっていくつかに分かれており、提供された情報について分析官たちが議論するためのページも用意されている。

 DNI分析担当次長兼主席技術官であるマイケル・ウェルトハイマー氏は、すべての情報分析官がIntellipediaを受け入れているわけではないとしながらも、この新しいツールへの期待をにじませた。

 「若い分析官の多くはIntellipediaを好んで使っている。これが彼らの仕事のやり方であり、彼らが望むやり方でもある」(ウェルトハイマー氏)

(グラント・グロス/IDG News Service ワシントン支局)




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