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[国内] 【LinuxWorld Tokyo 2007】
アマゾンが描く「ユーティリティ・コンピューティングの未来」

Webサービスとの共通性を指摘し、その大いなる可能性を示唆

(2007年06月01日)

 最終日を迎えた「LinuxWorld Conference&Expo/Tokyo 2007」コンファレンス。基調講演に登壇したのは、アマゾン・ドットコム日本法人でAmazon Webサービスを統括するエマーソン・ミルズ氏だ。

 ステージに上がったミルズ氏は開口一番、こう切り出した。「アマゾンが取り組んできたユーティリティ・コンピューティングはすでに現実のソリューションとして完成しており、サービスの形態でユーザーに提供されている」

「アマゾンのユーティリティ・コンピューティングはすでに現実のものとなった」と語るミルズ氏

 アマゾンは、Amazon.comサイトの構築と運用で培ってきた技術を生かして、昨年、「Amazon Simple Storage Service」(Amazon S3)および「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)というグリッド・ストレージ・サービス/仮想サーバ・サービスの提供を開始し、業界関係者一同を驚かせたわけだが、ミルズ氏が言わんとしているのは、これらの新サービスがユーティリティ・コンピューティングそのものということだ。

 「ご存じのように、ユーティリティ・コンピューティングとは、電気、ガス、水道といった公共サービスのように、コンピューティング・リソースを利用できるようにするモデルである」とミルズ氏。

 そして、「現在のコンピュータ・システムは、企業が自前で発電所を持っているようなものだと揶揄されることもあるわけだが」と前置きしたうえで、企業がユーティリティ・モデルの利用によるITシステムを採用することで、ITリソースを得るための原価は下がり、複雑なリソース群は抽象化された形で利用可能になり、初期導入の簡易化が実現される」と説明した。自前で発電所を建設するのではなく、料金を支払って電力インフラを使っているのと同じように、自前のサーバ・インフラを構築することなくコンピューティング・リソースを必要な分だけ得て、活用しようというわけだ。

「ユーティリティ・コンピューティング=Webサービス」?

 ミルズ氏は、2003年にアマゾンに入社。2006年から同社のWebサービス開発を手がけている。同氏によると、Linuxの経験は10年で、好みの開発プラットフォームは人気のUbuntu 6.10。X Window Systemをまったく使わずにコンソールで開発するというバリバリの現役エンジニアだ。

 WebサービスはHTTP、XML、XSLT、SOAP、REST、QUERYといった標準技術を用いることで、形態の統一化が図られている点が最大のポイントとなっている。また、リクエストでAPIを操作して結果を得るスタイルから、構築するサービスの内容に関しての制約はない。加えて、開発言語/プラットフォームも自由に選べるという敷居の低さも特徴である。

 ミルズ氏は、こうしたWebサービスの特徴の中でも特に、「複雑で難易度が高い作業を“代行”してくれる」「シンプルなAPIによって作業自体の効率化を図れる」「利用者が多いことによる効果でコストが安い」という3点においてユーティリティ・コンピューティングとWebサービスは同様のモデルだと強調した。

スケーリングの将来は「スケールウィズ」と「スケールダウン」

 また、ミルズ氏はコンピューティングのスケーリングについても言及した。スケーリングの手法には、リソースの追加によるスケールアウトと、効率向上によるスケールアップの2種類がある。同氏は、どちらの手法もハードウェア・コストや運用コスト、人件費といったコストがかかる点は共通していると話した。「その際には、製品の調達、インストール、構築の手順、エンジニアの確保・追加など、システムの規模によってはかなりの期間を要することになる」(ミルズ氏)

 そして同氏は、将来のスケーリングは、負荷の増量に合わせてリソースを最適化する「ジャスト・イン・タイム」形式のスケールウィズ(scale-with)、ないしは最適と見積もられたリソース量の中で工夫して安定運用するというスケールダウン(scale-down)が主流になっていくという持論を展開した。その際にカギとなるのが他ならぬユーティリティ・コンピューティング技術であり、必要なときに必要なだけスケーリングさせるスタイルが将来のスケーリング・モデルだとした。

 なお。アマゾンはLinuxプラットフォームの上に各種のサービスを提供していることで有名だが、ユーティリティ・サービスであるAmazon S3およびAmazon EC2でもLinuxが採用されている。同社の努力次第では、今後、Linuxプラットフォームとユーティリティの組み合わせが、サービス・プロバイダー、ひいては業界全体の標準コンピューティング・モデルとなって広く普及していく可能性があると言える。

(後藤大地)




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