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「ストレージ2.0」いよいよ発進
ストレージもWebベースの時代に
(2007年07月02日)
主要ストレージ・ベンダーは
ストレージ2.0時代にどう対応するのか
米国の市場調査会社イルミナータのアナリスト、ジョン・ウェブスター氏は、オープンソース・ソフトウェアとグリッド・ストレージ技術の組み合わせは、コピー、バックアップ、障害復旧ソフトウェアを手がけるベンダーにとって重大な脅威になるおそれがあると警告する。
「このアプローチがうまく機能するようになれば、ストレージ管理のあり方が根本的に単純化され、(ストレージ市場の)競争環境に一大変革が生じる」(同氏)というのである。
他方、観測筋の中には、「基幹アプリケーションについては今後もプロプライエタリ製品が主力であり続ける」と予測する向きもある。
その理由としてまず挙げられるのが、インターネットが本質的に有している「レイテンシー(待ち時間)と予測不可能性」の問題だ。これがあるため、ストレージ・マネジャーはストレージ2.0サービスにおいて、確固たる信頼性と予測可能なレスポンス・タイムを得ることができず、Webサービス(ストレージ2.0)への移行をためらうというのである。
さらにもう1つ、「セキュリティ」の問題もある。米国カリフォルニア州トーランスにあるマーケティング・デザイン会社、ピーパー・アンド・アソシエイツが、オンライン・ストレージ・ベンダーから猛烈な売り込みを受けているにもかかわらずストレージ2.0サービスの利用に踏み切ろうとしないのも、まさにそのためである。
同社社長のジェフ・ピーパー氏は、「顧客と秘密保持契約を交わしているため、顧客データの安全性は絶対に確保しなければならない。よって、今後も日立の4テラバイトSANを使い続けていくことになる」と断言する。
もっとも、イルミナータのウェブスター氏が指摘するように、社内にグリッド環境を構築しているような企業であれば、自分たちで独自にネットワークをコントロールすることもできる。
つまり、セキュリティを確保することが可能なのだ。したがって、そんな企業では、プライマリ・ストレージとして分散ストレージ(ストレージ2.0)を導入することも可能なわけである。ただし、当然のことながらベンダーのサービスは受けられないため、それなりの手間はかかることになるが。
ところで、分散ストレージ(ストレージ2.0)にすれば、ユーザー企業はどれくらいのコストを削減することができるのだろうか。
フォレスターのライヒマン氏によれば、分散ストレージにかかるコストに関しては、初期費用はストレージ・ハードウェアを自前で購入する場合に比べるとはるかに少なくて済むことがわかっているが、長期的な管理コストがどうなるかについてはまだ明確な答えが出ていないという。
クレバーセーフのグラッドウィン氏は、コストについて議論をするのはまだ時期尚早であるとしながらも、削減額は、基本的に同社のソフトウェアを使った分散ストレージによって削減されることになるディスク・スペース、消費電力、設置床面積、管理作業に「見合ったものになるはずだ」としている。
いずれにしろ、これまでストレージ・ハードウェアを社内に設置していた顧客がWebベース・プロバイダーのサービスに移行するようになれば、ストレージ・ハードウェア・ベンダーのビジネスに影響が出ることは避けられない。もっとも、サーバも手がけているようなベンダーであれば、分散ストレージを構成する低価格サーバや「グリッドの構築要素」を販売することによって、「多少の穴埋め」はできるかもしれないが……。
一方、オンショア・ネットワークスのバラバニス氏は、ストレージ2.0はストレージ・ハードウェア・ベンダーにとって追い風になるとの見方を示す。
「たとえCleversafeによって低価格ハードウェアが利用できるようになったとしても、現実問題として、自社でグリッドを構築するような大手企業が安価なディスクを購入するようになるとは考えにくい。EMCのディスクを採用している企業が、グリッド・モデルに移行するからといって、果たしてEMC以外のベンダーからディスクを購入しようとするだろうか」というのが、同氏の論拠である。
他方、バークレー・データシステムズの創業者兼CEO、ジョシュ・コーツ氏は、ほかのオンライン・ベンダー同様、MozyProなどのオンライン・ストレージ・サービスを、テープ・ベースのバックアップ・システムをリプレースする技術だと見ている。
バークレーや競合のカーボナイトなどが提供するオンライン・ストレージ・サービスは、スピード、信頼性、使いやすさなどさまざまな点でテープ・システムに勝っており、顧客の「テープ・システム離れ」はとめることができないというわけだ。
コーツ氏が「急進派」であるとするなら、クレバーセーフのグラッドウィン氏は、はるかに「穏健派」である。実際、同氏はCleversafeを、現行のストレージ製品を「代替」するものではなく「補完」するものとだと位置づけている。
例えば、Cleversafeにも独特なバックアップ機能が組み込まれているが、だからといって、特定時間におけるデータの状態を把握するためのスナップショットを取らなくなるような顧客はあまりいないだろう──というのがグラッドウィン氏の見方なのである。
ところで、「置き換わる」にしろ「補完する」にしろ、オンライン・ストレージ・サービス(ストレージ2.0)は、どういった層から普及することになるのだろうか。
まずは「困難極まる」ストレージの管理作業から逃れたいと願う中小企業層から普及することになるはずだと予測するのは、フォレスターのライヒマン氏だ。そして、そこでこのテクノロジーのメリットが実証されれば、次に、より規模の大きな企業がセカンダリ・ストレージをサード・パーティ・ベンダーに移行し始めることになるだろうと、同氏は見る。
さらに、管理を他人の手にゆだねるのには抵抗があるがコストは削減したいというような大企業では、サード・ベンダーのサービスを導入するのではなく、ストレージ2.0の技術を社内導入するようなところも出てくるだろうという。
アマゾンのセリプスキー氏も、ライヒマン氏と同じような意見の持ち主であり、Amazon S3がエンタープライズ分野に参入できる可能性は十分にあると主張する。その主張の裏づけとして、「小規模企業は、可能な限りシンプルで、対話しやすく、統合も簡単で、信頼性が高いサービスを求めている」(同氏)という理由を挙げるところも、ライヒマン氏とそっくりだ。
セリプスキー氏はまた、大企業──本体ではなく、その部門や部署──も、有望なユーザーだと見なしている。大企業の部門や部署には、大型インフラ構築プロジェクトを立ち上げるほどの予算やパワーはないかもしれないが、「四半期当たり500ドルから5万ドル程度なら、コンセプトを証明したり新しい技術を試用したりする費用として使えるはずだ」(同氏)と見ているのである。
あせらず、時間をかけて
こうやって見てくると、とりあえず中小企業中心かもしれないが、近い将来、ストレージ2.0の波がユーザー企業に押し寄せることになるのは間違いなさそうだ。
だとすれば、導入に当たって、ユーザー企業は何に注意すべきなのだろうか。
「グリッド・ストレージへの移行は短期間で成し遂げられるものではないし、またそうする必要もない。特に、Cleversafeのような斬新なアプローチを採用する際は、周囲の理解を得るとともにテクノロジーをある程度知るため、十分に時間をかける必要がある」とアドバイスを贈るのは、オンショア・ネットワークスのバラバニス氏だ。
また、普及の時期については、クレバーセーフのグラッドウィン氏の次のような見解が参考になろう。
「一般的にIT部門がハードウェアをリプレースするサイクルは4年とされる。つまり、つい最近新しいアーキテクチャを導入したばかりの組織が、半年後にそれを入れ替えるということはまずないと考えてよい。しかしながら、今から2〜3年後ともなれば、大規模なアーカイブ・アプリケーションに分散アーキテクチャを採用することも、さほど珍しくなくなっているに違いない」
そしてそのころには、ユーザー側とディベロッパー側の「ストレージ革命の先駆者たち」も、自分たちが起こした変革がどれほど大きいものであったかに気づいているはずだ。
















