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【The 451 Group予測】
2008年のオープンソース動向を読む

M&Aが活発化するなか、人材不足はさらに深刻に

(2007年12月10日)

 2008年のオープンソース業界は、米国MicrosoftやIBM、Oracleといった大手ITベンダーの動きが目立ち、M&Aが活発化して人材不足が深刻化する――。11月末にマサチューセッツ州ボストンで開催された、調査会社The 451 Group主催の第2回年次クライアント・コンファレンスで、レイベン・ザチャリー(Raven Zachary)氏はこう語った。同氏は、The 451 Groupでオープンソース調査担当ディレクターを務めている。

 Zachary氏は、2008年も引き続きオープンソース市場は堅調との見方を示している。コスト削減に余念のないCIOや幹部陣の後押しにより、オープンソース・ソフトウェアの導入は今の勢いを保つという。オープンソースの導入は、従来は企業内ディベロッパーやシステム管理の専門スタッフなど現場の人間から提案されるボトムアップが主流だったが、今ではトップダウンで導入される例が増えていると、同氏は指摘する。

 同氏はさらに、WebブラウザとOSだけでなく多様なアプリケーションがオープンソース化されつつあることも、2008年のオープンソース市場が順調に推移する理由として挙げた。ちなみにZachary氏は、米国のホテル・チェーンLa Quinta Innでインターネット・テクノロジー担当ディレクターの職に就いていたころ、オープンソースの電子商取引システムを開発した経験を持っている。

 オープンソース業界の明るい展望を予見させるもう1つの理由は、プロプライエタリ技術で知られる大手ITベンダーの動きにある。彼らはISV(独立系ソフトウェア・ベンダー)と顧客を巻き込みながら、オープンソースかつコラボレーティブな開発システムを積極的に採用していると、Zachary氏は説明する。同氏によると、大手ベンダー各社は、自社のビジネス・モデルやソフトウェア・ライセンス体系、製品計画を根本的に見直す「破壊的なインパクト」をオープンソース・ビジネスから受けているという。

 Zachary氏は講演の中で、Eclipse Foundationなどのオープンソース団体を舞台にしたIBMやOracleの活発な活動や、Sun MicrosystemsがJavaのオープンソース化に踏み切った経緯、さらにはMicrosoftがNovellと手を組んだ背景を説明。併せて、オープンソース・ソフトウェアがWindows上で確実に機能することに関して既得権益を有しているとされるMicorsoftが、今後オープンソース市場で活動の幅を広げてくるとも語った。

 ただし、MicrosoftからLinuxディストリビューションがリリースされるといった劇的な動きは向こう10年はないだろうと同氏は言う。「Microsoftは今でも独自戦略を貫こうとしている。だが、いずれはどんどんオープンソースを取り込んでいくはずだ」(同氏)

深刻化するオープンソース技術者不足

 オープンソース業界のM&Aについても、Microsoftなどがオープンソースに関心を寄せるのに歩調を合わせ、より活性化するとZachary氏は見ている。実際、2007年の買収件数は現時点で25件で、2006年の16件から増えているという。

 ただし、新興のオープンソース企業への資金提供は減少傾向にある。2006年は合計で5億1,300万ドルが53社に投資されたのに対し、2007年は2億7,000万ドルで39社にとどまっていると、同氏は説明した。

 もっとも、Zachary氏に言わせれば、2008年のオープンソース業界は必ずしも明るいニュースだけではなさそうだ。

 なかでも、人材不足はきわめて深刻だと同氏は強調する。オープンソース・ソフトウェアの需要が高まっているにもかかわらず、その開発やサポートをこなせるだけのスキルを有する人間は限られているのが実情だからだ。

 Zachary氏はその一例として、Jakarta Project(Apache Foundation内のプロジェクト)で開発されているJavaサーブレット・エンジン「Tomcat」を挙げる。「このプロジェクトの中心的なコントリビューターは現在のところ25人程度だ。その数はここ4〜5年ほとんど変わっていないが、Tomcatを採用する企業が急増していることから、人材が著しく不足している」(Zachary氏)

 ならば、こうした人材不足の状況を企業はどう乗り越えていけばよいのか。Zachary氏は、有望なオープンソース・プロジェクトを早期に見極め、特定分野の人材が不足する前に自社で確保すべきだとアドバイスする。

 しかし、たとえ優れた人材が見つかったとしても、雇用するのに高額なコストがかかるという現実もある。実際、Zachary氏の講演に参加した聴講者の1人は、人件費の上昇がオープンソース・プロジェクトへの貢献意欲を減退させる要因になっていると指摘する。

 Zachary氏は、人材不足に悩むオープンソース導入企業への朗報として、UnisysやEDSなどのSIer(システム・インテグレーター)がオープンソースのサポートに力を入れている点を挙げた。「(こうした製品が多く出回るようになれば)オープンソース専門家の雇用を急ぐ企業が抱えるプレッシャーは多少緩和される」と同氏は見ている。

 またZachary氏は、The 451 Groupが最近リリースした調査報告を紹介し、中堅企業は大手企業ほど多額のコストをオープンソースに費やす意思はなく、それゆえ中堅・中小企業をターゲットとするオープンソース市場の規模は限定されるとの見通しを示した。同氏によると、彼らの多くはオープンソースをシェアウェアと同程度にとらえているという。

 このほか、Zachary氏が講演で触れたのは次の2点である。

●オープンソース関連の買収で注目されるのは、9月に破産保護手続きを申請した米国SCO Groupの未売却事業について(関連記事)、どの企業が取得を名乗り出るかという点だ。また、Oracleがオープンソース・データベース分野でどこかを買収する可能性も十分にある。

●2007年はオープンソースVoIPに注目が集まった。しかし、期待が大きすぎた感があり、一大ブームに沸いたというより、むしろ成長を遂げた年だった。2008年は「Asterisk」などのテクノロジーが間違いなくVoIPに大きな影響を与えるはずだ(関連記事)。

(Bob Brown/Network World オンライン米国版)




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