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【解説】
高速処理と省電力を共に実現する
新世代ストレージ「SSD」の可能性
ハードディスクに取って代わるか/企業向け製品でも普及が進むか
(2008年04月04日)
SSD普及のカギは低コスト化
処理速度や耐衝撃性、消費電力の面からすればノートPCにSSDを採用するメリットは大きい。だが、現実には、ようやく普及の緒についたばかりだ。最大の理由は、単純にHDDと比較して「割高」だからだ。
2006年7月にソニーが発売した「VAIO type U ゼロスピンドル」モデルが本格的なフラッシュ・メモリ搭載の小型モバイルPCのはしりと言えよう。同モデルは、20GB/30GBのHDDを搭載した「VAIO type U」のストレージ部分を16GBのフラッシュ・メモリに置き換えたものである。ゼロスピンドルとは、「スピンドル=回転軸」がない、つまりHDDを搭載していないという意味だ。Windows XPがプリインストールされており、出荷時の空き容量は約9.1GB、HDDタイプが直販価格14万4,800円からであったのに対し、フラッシュ・メモリ・タイプは20万9,800円からとなっていた。
現在では、パーツ・メーカーからPC用のSSDユニットも販売されている。2.5インチで32GBのものが4万円程度となっており、ほとんどのノートPCで、そのままHDDと入れ替えることが可能だ。
前述した東芝の2.5インチ、128GBのSSDは10万円程度になるという。2.5インチ、160GBのHDDが1万円程度から売られていることを考えれば、まだまだ価格差は大きく、普及の障壁になっていると言える。
2010年にはノートPCの16%が
SSDを搭載するとの予測
東芝はNAND型フラッシュ・メモリの最大手であるが、これまでSSDは手がけていなかった。東芝にとってSSDの量産を開始する2008年は、「SSD元年」ということになる。
| 図2:ノートPC市場におけるSSD搭載PCの台数/割合の推移予測 |
同社はSSDを市場に送り出すにあたり、MLCを採用した。SLCに比べると処理速度では見劣りするものの、MLCでは大幅なコスト・ダウンが可能となる。そして、何よりもSSDをノートPCの標準デバイスとして普及させるためにはコスト・ダウンが不可欠だ。「PCメーカーは、HDDにかけられる費用は100ドル程度と言っています。SSDがそこまで安くなるのはまだかなり先だと思いますが、3倍、つまり300ドルぐらいに落ちれば一気に採用されるでしょう」(東芝メモリ営業統括部ファイルメモリ営業部参事の江島克郎氏)
また、MLCの処理速度について西川氏は、「内部でパラレルにデータを読み書きすることなどで改善され、SLCに引けを取らなくなります」と語っている。
同社の予測では、2010年には世界中のノートPCの16%がSSDを搭載するようになるという(図2)。また、米国Gartnerは、SSDに使われるNAND型フラッシュ・メモリの世界市場が、2011年には2006年の20倍に成長すると予測している。2010年ごろには、モバイル性を重視した軽量タイプのノートPCはSSD搭載が当たり前となり、HDDは影が薄くなってしまうかもしれない。
大企業向けストレージにもSSD採用の流れが到来
現在のところ、モバイル用途として注目が集まっているSSDだが、ついに企業向け大容量ストレージにSSDを採用するベンダーが登場した。
EMCジャパンは、エンタープライズ・ストレージのハイエンドモデル「EMC Symmetrix DMX-4」に、73GB/146GBの2種類のSSDを搭載し、2008年3月末より販売を開始している(写真3)。採用されたSSDは、国防/宇宙航空業界に高信頼メモリやストレージを提供する米国STECが同社の「ZEUS-IOPS」をベースに、EMCと共同開発したもので、容量より高速性を重視したSLCタイプの3.5インチ・モデルだ。インタフェースはFC(ファイバ・チャネル)、HDD搭載モデルに比べてI/O処理能力は30倍、アプリケーションの応答速度は10倍向上するという。また、消費電力は同容量のHDD搭載モデルと比較して38%削減され、同等の処理性能を持つHDD搭載モデルと比べると実に98%削減されるとしている。
| 写真3:SSDに対応したEMCのハイエンド・ストレージ「Symmetrix DMX-4」 |
価格は公表されていないが、EMCによると「性能が30倍なので、それに見合った価格になる」(EMCプロダクトマーケティング部部長の中野逸子氏)という。前モデルのSymmetrix DMX-3が定価1億円程度からであったことを考えると、相当高価なものになりそうではある。
データセンターなどでは、増大する機器の消費電力量と放熱量を低減することが急務となっている。その両方を一度に低減できるSSDの採用は、エンタープライズ分野でも進むと見ていいだろう。


