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【解説】
x86プロセッサの 「これまで」と「これから」

登場して30年――進化し続けるメインストリームCPUの軌跡

(2008年09月22日)

米国Intelは30年前の1978年6月8日、「the dawn of a new era(新時代の幕開け)」という大胆なキャッチコピーとともに、同社初となる16ビットCPUの8086を発表した。キャッチコピーは当時大げさに聞こえたかもしれないが、ある意味予言とも言えるものだった。8086自体は普及までに多少の時間を要したものの、後に「x86」と呼ばれるこのCPUアーキテクチャは、やがて業界で最も偉大な成功を収めた技術の1つとなっていく。本稿では、x86プロセッサがたどってきた30年間の軌跡を振り返り、大成功を収めることができた“真相”、そして“これから”に迫ってみる。

Gary Anthes
Computerworld米国版

x86――その30年分の歴史をひも解く

写真1:x86アーキテクチャを初めて採用した16ビットCPUの8086。ここがx86プロセッサの原点だ

 x86とは、Intelや複数の他社製CPUで採用されている機械語による命令セットやアーキテクチャのことを指す。Intel製CPUである8086(写真1)に始まり、80186、80286、80386、80486、Pentiumシリーズ、そして最新のマルチコアCPUやモバイル機器向けCPUに至るまで、x86プロセッサはその進化の過程でたびたびアーキテクチャを拡張したが、旧モデルとの下位互換性を常に維持してきた。

 x86プロセッサは、8086の登場から30年間にわたって体系的な発展を遂げ、デスクトップPCからサーバ、モバイル機器、スーパーコンピュータまで幅広いプラットフォームに対応してきた。その過程でさまざまなアーキテクチャや他のCPUベンダーが登場してきたが、x86はそれらを駆逐し、今日では競合はごく少数となっている。競合企業が長らく支配していた一部の市場(例えば、米国MotorolaがPowerPCを供給していたMac市場など)でさえ、近年ではx86に切り替わっている。

 Intelのx86プロセッサは、コンピューティングの世界をいかにしてここまで支配するに至ったのだろうか。以下、その歴史をひも解いていこう。

IBM PCへの採用を機に業界標準への道を駆け上がる

 Intelが最初に発表したCPUは、1971年に日本の電卓メーカー向けに開発された4ビットCPUの4004である。その後、まもなく8ビットCPUの8008が登場し、1975年に同じく8ビットCPUの8080がリリースされた。この8080は、組み立てキットとして通信販売された個人向けコンピュータ「Altair 8800」に採用されている。ちなみに、ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏とポール・アレン(Paul Allen)氏は、Altair 8800向けプログラミング言語「Altair BASIC」を販売するために米国Microsoftを設立したという経緯がある。

 8080のリリースから3年後、Intelは16ビットCPUの8086を発表する。そして1980年代初め、8086の派生版である8088が「IBM PC」(写真2)に採用されたのを契機として、x86プロセッサは今日へと続く業界標準の地位を築いていくこととなる。


写真2:IBMが1981年に発表したPC「IBM PC」(写真左)への採用を契機として、x86は業界標準への道を駆け上がっていく

 1985年には、32ビットCPUの80386が発表される。Intelのシニア・バイスプレジデント、パトリック・ゲルシンガー(Patrick Gelsinger)氏(次ページの写真3インタビュー「“ミスターx86”のパット・ゲルシンガー氏が語るx86プロセッサの成功秘話」へのリンク)は、386の登場がPC業界の勢いを加速させる“ターニング・ポイント”になったと話す。「当時は、それまでの16ビットから32ビットへとx86のアドレス空間を変更する必然性をほとんど理解してもらえなかった。人々には、『ミニコンやメインフレーム用でもあるまいし、32ビットにしたところでどんな用途で利用されるのか』と言われ、むだに贅沢な仕様だと嘲笑されたものだ」(ゲルシンガー氏)


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