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グリーン・コンピューティング

[米国]
ナノテク企業による環境汚染を懸念――環境保護団体が規制強化を要求

「今の環境規制はあまりに古く、ナノテク企業が対象に入っていない」

(2008年04月03日)

 米国の環境保護団体SVTC(Silicon Valley Toxics Coalition)は4月2日、環境汚染や疾患蔓延を防止するため、ナノテクノロジー企業にもっと厳しい規制を課すべきとの報告書を公表した。

 同報告書によると、ナノテク製造プロセスには環境上の懸念があるにもかかわらず、それを監視する法律はほとんどないのが実情だという。SVTCは、ナノテクの一大産業地シリコンバレーに拠点を置くメーカーを最も強く規制するよう求めている。

 SVTCは環境破壊のほか、疾患の蔓延にも懸念を示している。「微粒子が石綿症や珪肺(けいはい)症、肉芽腫、肺炎などの疾患と因果関係があるというのは周知の事実だ。このことから、ナノ粒子のような微細な粒子を吸引することも危険だと考えられる」(同報告書)

 こうした懸念を受け、ナノテク業界団体も動き出した。NanoBusiness Allianceの会員企業は、複数の環境保護団体および米国環境保護庁と意見交換しており、ナノテクが健康と環境に及ぼす影響について調査するための予算を増やすよう政府に要求している。

 もっとも、NanoBusiness Allianceのエグゼクティブ・ディレクター、ショーン・マードック(Sean Murdock)氏は、不安を煽るようなSVTCの言い分に不快感を示す。「彼ら(SVTC)はナノ材料に対する不安感を高めようと、がんなどの疾患についてあえて『感情に訴えかける言葉』や『恐怖心を煽る抽象的な表現』を利用している。(ナノ材料が)他の原材料より本質的に危険であることを示す証拠は、まだ見つかっていないにもかかわらずだ」

 さらにMurdock氏は、SVTCがナノテク業界に「危険性ゼロの証明」、つまりナノ材料が100%安全だと証明するよう一方的に求めていることにも不満を漏らしている。ナノテクと環境への影響について、SVTCともっと建設的に対話していきたいというのが、同アライアンスの考えなのだ。

 一方、SVTCのエグゼクティブ・ディレクター、シーラ・デービス(Sheila Davis)氏は、規制を厳しくしないかぎり、ナノテクの製造拠点であるカリフォルニア州などで毒物の浄化問題が再発する危険性は消えないと警告する。「IBMとFairchild Cameraが1981年にサンタクララ郡で報告した有毒物質の漏洩事故を思い出してほしい。同じ過ちを繰り返すべきではない」(Davis氏)

 Davis氏によると、ナノ材料が健康に与える影響についてはまだ未解明の部分が多いものの、魚の脳損傷を招いたり、肺の奥深くまで吸入されたりすることが考えられるそうだ。さらに同氏は、材料のナノシルバーが、貝類の生殖を阻害したことで知られる、銀による水質汚染に似た問題を招きかねないと強調する。

 現時点で、米国が実施しているほとんどの環境規制は、大量の規制材料、場合によっては1万ガロン以上の材料を生成する企業を対象にしている。だが、ナノテク工場が材料を1万ガロン以上も生成することはまずありえない。人間の毛髪でさえ直径約7万5,000nm(ナノメートル)もあるが、ナノ粒子は100nmにも満たないからだ。

 「新たなテクノロジーに対応することが急務だ。今の環境政策は100年前に開発された化学物質を規制するため、40〜50年前に策定されたものだ。あまりに古すぎる」(Davis氏)

 ナノテク研究に資金を拠出している米国政府のNNI(National Nanotechnology Initiative)の2008年度予算は14億4,000万ドルである。しかし、そのうち健康と環境に振り分けられているのはわずか4%にすぎないという。「資金割り当てのバランスが悪く、これで連邦政府は説明責任をほんとうに果たせるのか」とDavis氏は嘆く。

 SVTCが新たな環境規制として要求しているのは、ナノテク採用製品へのラベリングの義務化だ。また、同団体は地方自治体に対しても、ナノテク製造プロセスで使用する化学物質の公開を義務づける法案を可決するよう勧告している。

(Grant Gross/IDG News Serviceワシントン支局)




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