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「消費電力」と「発熱」の限界 ── その克服に挑むサーバ・ベンダー
“エコ”コンピューティングの最前線を探る
(2006年12月26日)
ここ数年、サーバのパフォーマンスは著しい向上を遂げたが、それに伴って消費電力も急激に増大するところとなった。その電力は最終的には熱へと変わり、サーバの筐体内に蓄積されることになる。したがって、消費電力の低減と発熱対策は、一体のものとして取り組まなければならない課題であり、この課題をいかに克服するかがサーバ・ベンダーの腕の見せどころとなる。本稿では、日本ヒューレット・パッカード(HP)、日本IBM、富士通の3社の取り組みを紹介する。
小山健治
独自開発の冷却ファンで熱問題にアプローチするHP
日本ヒューレット・パッカード(HP)が今年6月に発表した「HP BladeSystem c-Class」は、同社の提唱する「アダプティブ・インフラストラクチャ」戦略を体現する、発熱と電力の抑止/コントロールを強化したブレード・サーバである。
HPは従来から、ASIC(特定用途向けIC)などのいわゆるカスタムチップを積極的に採用して、さまざまな回路の集約化を図り、部品点数を削減することでサーバ全体の消費電力の削減を図ってきた。これに加えてc-Classサーバでは、HPが独自に開発してきた「サーマル・ロジック・テクノロジー」と呼ばれる技術を採用することで、発熱対策が強化されている。サーマル・ロジック・テクノロジーとは、冷却、抑止、監視という3つの要素技術から、サーバの熱問題にアプローチするものである。
| 写真1:1分間に最大2万回転を実現するHP独自開発の冷却ファン。たわみ防止のため、羽はマグネシウム合金で作られている |
まず「冷却」において中心的な役割を担っているのは、HPが約2年間の歳月をかけて開発したアクティブ冷却ファンである(写真1)。従来のブレード・サーバに搭載されている冷却ファンが1分間に7,000回転の性能であるのに対し、アクティブ冷却ファンは、最大で2万回転を実現している。日本HPのエンタープライズ ストレージ・サーバ統括本部インダストリー・スタンダード・サーバ製品本部ブレード バリュープロダクト マーケティング部の山中伸吾氏は、同製品の特徴を次のように語る。
「アクティブ冷却ファン1台で、4台の1Uラック・サーバを冷却する能力がある。消費電力が66%削減されたうえ、騒音も半分に抑えられた。しかも、機構部分に特殊なグリスを採用するなどの工夫によって、同一性能のファンと比較した際の単体の寿命は約4倍に向上している」
この冷却ファンの開発により、従来のp-Classサーバで14U(「ProLiant BL20p」×16台)あったサイズは、10U(「ProLiant BL460c」×16台)へと約30%スリム化され、業界最高密度のブレードの実装が可能になった。そして、冷却ファンの能力をフルに生かし切るために、エンクロージャ筐体は「PARSEC(並列冷却)」と呼ばれるアーキテクチャに基づいて設計されている(図1)。
| 図1:冷却ムラを抑止する「PARSEC(並列冷却)」アーキテクチャ |
| 写真2:「HP BladeSystem c-Class」エンクロージャの背面。冷却ファンを10個取りつけることができる。抜き差しの際は自動的にシャッターが閉じられ、空気のもれを防ぐ仕組みになっている |
一般的なブレード・サーバでは、1つのエンクロージャに大型の冷却ファンが2個取り付けられているが、その配置の制約によって冷却ムラが発生していた。これに対しPARSECアーキテクチャでは、アクティブ冷却ファンを1つのエンクロージャに最大10個搭載可能なため、ゾーンごとに冷却コントロールを行い、均一に冷却することができる(写真2)。
一般的なブレード・サーバでは、1つのエンクロージャに大型の冷却ファンが2個取り付けられているが、その配置の制約によって冷却ムラが発生していた。これに対しPARSECアーキテクチャでは、アクティブ冷却ファンを1つのエンクロージャに最大10個搭載可能なため、ゾーンごとに冷却コントロールを行い、均一に冷却することができる(写真2)。
CPU利用率に応じて電力を動的にコントロール
サーマル・ロジック・テクノロジーのうち、2つ目の熱の「抑止」というアプローチでは、「Dynamic Power Saver」という機能がある。同機能は、CPU利用率が低い時は電源に電力を供給せずに消費電力を抑止する機能である。CPU利用率が上がったり、あるいは新たなブレードが追加されたりすると、Dynamic Power Saver機能が利用電力の上昇を検知し、待機していた電源を起動して電力を供給する。さらに、c-Classサーバには、CPU利用率に応じて動作周波数を動的に変更する「Power Regulator for ProLiant」という機能も搭載されている。「これらの機能によって、システム全体としてのパフォーマンスやスループットを落とすことなく、消費電力を抑えることが可能となった」と山中氏。
そして、3つ目の「監視」の観点から熱問題にアプローチする機能が、c-Classサーバに標準搭載されている電力・温度監視ツールである。同ツールにより、サーバ管理者は、エンクロージャ前面に設置された液晶画面を通じて、単体のエンクロージャだけでなく、複数のエンクロージャにまたがった、ラック・レベルでの電力や温度の管理を行うことができる。
「液晶やPCの管理コンソールから状況をリアルタイムで監視するとともに、温度リポートや平均/最大消費電力リポート、CPU利用率とクロック変動リポートなどを出力することもできる。これにより、サーバ・ルームやデータセンターにおいて、より効率的にサーバを配置することが可能になる」(山中氏)
これら3つの観点に加え、配線がほとんどないブレード基板、DIMM上に実装されたメモリ・コントローラなど、同社のハードウェア設計に対するこだわりはいたるところに見てとれる。特に注目したいのが、ブレードを抜いたスロットからの「空気漏れ」を防ぐシャッター機構である。
一般的なブレード・サーバでは、ブレードをエンクロージャから抜くと、その透き間から空気を一気に吸い上げてしまうため、エンクロージャ全体としての冷却性能が低下する。いわばストローに穴が開いてしまったような状態だ。このため、「ブレードの抜き差しは1分以内で行うこと」などと指示されているようなケースもある。
c-Classサーバでは、こうした空気漏れを防ぐために、ブレードを抜き差しする際に、シャッターを自動的に閉じる機構が取り入れられている。これにより、抜き差しの制限時間をなくし、冷却効率を高めているわけである。



























